2018年5月21日月曜日

立場が、マインドセットを変える!





5月は、ハイシーズンです。しかし去年は泊数185&稼働57%に留まり、業界の斜陽を痛感したわけですが、今年はどうやら、大幅に回復できそうです。 まぁ、去年はホームページとhostelworldだけでの集客で、今年はそこにexpediaが加わっていますから、回復してくれなければ困っちゃうのですが。というか最近は、予約のほとんどはexpediaとホームページからであり、hostelworldの存在感がどんどん希薄になっております(涙)。


というわけで今月のYAWP! は、集客は順調ですし、ノーショウや直前キャンセルも腹が立つほどは発生しておらず。長期泊のゲストだらけで大きなトラブルもなく、暑いけど風が心地よい気候も手伝い、とても穏やかでスランバーな毎日です。よかった・よかった。



ちなみに今月は、ゴールデンウィーク期間と金・土曜日を除き、再びの【二泊したら三泊目を無料!】キャンペーンを開催しております。実は4月の15〜19日にも、短期間でしたが開催しておりました。月頭に公表した4月の実績、240泊80%は、もちろん無料泊の分を引いた実質の数字です。名目では、254泊85%になります。

このキャンペーン、僕としてはもはやレギュラーの集客戦略になっておりますので、今後はその都度“やっていますよ!”と報告する必要もないかな、と考えております。テキトウにキャンペーンをしているという、その前提での業績報告だと捉えていただければ。逆に言うと、ほとんどの月では、僕が公表する稼働率よりも実はもっと混んでいる、ということになります。稼働率を高く見せて、見栄を張る的な欲は僕には全くありませんのでね。


この、稼働率。いくつかの宿では平均が90%超えだとか、ハイシーズンは常に100%だとか、威勢のいいことばかりを発信しています。言ったもん勝ちで、どうせバレないと思っているのでしょうね。僕のように、他宿の集客状況の覗き癖のある(最近はあまりやっていませんが)者からすると、あまりにウソだらけで笑ってしまうのですが。

一方で、僕の業界ネットワーク内では、皆さんけっこう素直なのです。稼働率を高く言う、なんてことは全くなく、なんならむしろ大げさ気味に「落ちまくっていて、厳しいよぉ〜!」を伝え合っている、という印象です。僕がこのブログで素直すぎる公表をしているので、それに合わせてくれているのかもしれませんが。


僕が繋がっている業界人は、ほぼ全員が小さなゲストハウスの経営者です。一方で、威勢のいいこと(ウソの実績)を発信しているのは、大きな宿。僕が定義するところの、ホステル(ドミトリーホテル)ばかりです。

例えばネットの記事で「〜にできた、大型のホステルA。オープンから半年だが、稼働は常に90%を越えている」といったものを見つけます。僕が「へぇ、あそこってそんなに流行っているんだ」と思いブッキングサイト等で掘り下げてみると、実際には全く入っていないことが判明(笑)。

要はこれって、ただの宣伝記事なんですよね。ウソというか、誇大広告。ネット記事の取材を、宿から依頼したのであれば、それは確実に広報戦略で。流行っている感をムリヤリに出して、それに引き寄せられる情報弱者を狙う、という。逆に、これがネットサイトからの取材申し込みなのであれば、宿側には「リアルな稼働率を言うのは恥ずかしい」とか「見栄を張りたい」とか、そんな気持ちがあるのでしょう。

しかしながら、「稼働が常に90%を越えている」という記事を読んで、「あらステキ! 私も泊まりたぁ〜い!!」となってしまう人って、多くいるのでしょうか? 僕は旅行する際には、混みすぎている宿はできるだけ避けたいタイプですので、仮に稼働90%が本当の数字なのだとしたら、それはむしろ却下の要素になるのですが。

日本人は流行に飛びつくのが大好き、というのはもちろん理解していますけどね。しかし、そんなゲストはそこを人気の宿だと期待して予約して、実際に行ってみたらスカスカでガッカリ、なわけで。ウソの高稼働率の発信が、集客に有効な策だと勘違いしている時点で、僕からすると「この宿、経営のセンスが全くないな〜」と感じてしまいます。



ここで、改めて僕の、このビジネスにおけるポジショニングを考えてみまして。

YAWP! backpackersは開業から三年、稼働は年平均がおおよそ80%→70%→60%と落ち続けておりますが、それでも充分にメシは食えています。50%を下回ると一気に厳しくなるのですが、今のところは60%代をキープできているので、まぁなんとかしぶとくやってこれています。

いちおう黒字経営で、そんなに切羽詰まっていない立場ながらも、毎年10%のペースで落ち続ける現状を憂い、業界の需要と供給のバランスの崩壊、今後のますますの飽和に危機感を募らせ、「ヤバいよ!」の発信をし続けております。だいぶ前にも書きましたが、“僕は比較的余裕があるからこそ、業界を俯瞰で見て、客観的な分析の元にリアルを伝えられる”、と自認しております。経営が苦しくて首が回らない状態ならば、こんなことをいちいちブログに書いている余裕なんてありません。まぁ、その“ウチは大丈夫だけどさ”という点がヒリヒリ感に欠け、“業界全体が危機!”を、いまいち伝えきれない要素にもなっていると思いますが。

ウチは完全にワンオペで、雇用スタッフが一人もいないのでこれが成立する、というのも自認しております。完全に自分を中心にビジネスをしているので、他者に全く気を使うことなく、本音を丸出しでいられる。見栄を張ったり、カッコつけたりする、必要がない。それどころかこのブログは、僕の“素直でいられる立場”を利用している一面もありまして、実際にゲストから「タクロウさんのブログを読んで、この人は嘘がつけない人なんだなと理解し、泊まってみたくなった」と言われることがあります。僕のこのスタンスは、集客にも繋がっているということです。



前述の「稼働90%!」の宿のような誇張はせず、現状の素直な発信をしている宿オーナーは、僕以外にもたくさんおります。僕なりに、彼らのブログ等をそれなりに定期的に開いているのですが、これがけっこう、傾向が分かれているように感じます。

① 素直に業績の悪化を伝え、続出する競合宿のオープンに「ヤバいよ!」と訴える者
② 苦しい現状は充分に認めつつ、それでも「この業界の未来は明るい!」と訴える者

の、二派に。


①は、まさに僕のスタンスですし、その多くは僕と似たような立場の、“小さなゲストハウス、最小限のスタッフで経営”なオーナーです。

一方で②は、多くのスタッフを抱える中〜大規模宿のオーナーが、ほとんどです。彼らは、どう考えてもネガティブな流れである“宿が増え過ぎている”事象に対しても、「ライバルが増え、競争が活発になるのは、いいことだ」「業界が成熟する上で、よい傾向だ」という捉え方でして・・・。

同じ事実を目の当りにしていて、どうしてこうも真逆なのでしょうか(笑)? ②の彼らが「ヤバいよ!」発信を頑なにしないのは、なぜなのでしょうか?


僕はそれは、立場の違いによるものだ、と捉えます。多くのスタッフを抱える立場の彼らが、そんな弱音?を吐くわけにはいかない。本音を丸出しでいるわけにはいかない。彼らは一人の人間としてではなく、組織のボスとして、ポジティブ・マインドを発信し続けているのです。スタッフに対して「厳しいが、俺らは負けないぞ!」のポーズを見せる、必要があるわけです。


そう考えると、僕の立場の、なんと気楽なことか・・・(笑)。なんせ、欲の根本部分が“ほどほどに稼いで、あとはできるだけ多く休みた〜い”ですからね。スタッフをちゃんと養うとか、やる気を起こさせるとか、そういう面倒なのは一切考えなくていいですし。それどころか、扶養家族すらいないので、自分さえ食えればいい。ほんと、超がつくほどのお気楽人生です。

集客が滞れば「ヤバいよ!」を発し、ムカついたら「コンチキショー!」を発し、疲れたら「休みたい!」を発し、嫌悪の対象には「俺はコレが嫌いだ!」を発する。そんな、一切の仮面を被る必要がない立場、一人の人間としての素の面を丸出しに出来る立場というのは、我ながらサイコーです(笑)。



「ウチはこの4〜5月は好調だった」という報告とは矛盾しますが、僕はこの、宿泊業界の供給過多、しかしそれでも全く止まる気配すらない新規開業の大波は、もはや、病的なレベルだと捉えております。通常の市場経済では起こりえない、極めてクレイジーな状態です。そして、その先に明るい未来があると想像することは、難しいと言わざるをえません。共食い状態のサバイバルレースが、これから、というかもうすでに始まっています。

前述の②の彼らは、ウソをついているわけではありません。彼らは、考え方の方向性として、常に前を向く必要があるから、そういう発信をするのです。立場が、マインドセットを形成するんですね。彼らが心の底の底から、この業界の未来が明るいと本気で思っているのだとしたら、これはよっぽどセンスがないか、よっぽど何も考えていないかの、どちらかです。彼らの本音は「厳しい!ヤバい!でも、負けない! 絶対に勝ち残るぞ!!」であって、「でも、負けない! 絶対に勝ち残るぞ!!」の方を強めて言わざるをえない。一方で僕のような者は「厳しい!ヤバい!」だけをノンキに発していてもいいという、そんな立場の違いがあるということです。



僕は超ポジティブ思考の人間なのですが、そう捉えない人もいるよう(笑)なので最後にあえて書きますと、僕が考える、あるべきポジティブな姿勢というのは、

事実の把握→前向きな解決策を絞り出す

ことであり、そもそもの事実を前向きに捉える=ポジティブ、ではありません

財布に100円しか残っていない状況で、「ヤバい・・どうしよう・・・」とドップリ落ち込んで何もしないのは、もちろんながら、ネガティブ思考です。一方で「やった! 100円あれば、もやしご飯で数日は凌げる!!」となるのも、ポジティブではなく、ただの愚か者です(笑)。

真のポジティブ思考とは、「100円ではマトモな飯が食べられない」という事実をストレートに受け入れ、「では、この厳しい状況をどう改善するべきか」を考えることです。


その意味では、「業界の未来は明るい!」の方々と僕は、このままでは間違いなく共感が出来ません。彼らのそのスタンスは、あくまで組織のボスとして、その立場が生んだマインドセットであると、僕は認識します。

僕が彼らと接する機会があれば、彼らにはその仮面を脱いでいただき、素の人間同士として、真に生産的で未来志向な会話が出来ればいいな、と思います。


最近、カラオケに行き過ぎてる




2018年5月13日日曜日

夢を語るよりも、大切なこと。




以前に「あえて過去最低の閲覧数を狙う」と宣言した通りに、前回の超自己満足な記事は、最低記録を更新しそうです〜(笑)。なので今回は逆に、読者受けを狙った記事を書くことにします・・・と、いうのは冗談です。



二週間ほど前に、フジテレビの番組“ザ・ノンフィクション”にて、練馬区長選挙に出馬した25歳の若者がフォーカスされていました。僕はドキュメンタリーは好きなので、この番組もよく見ます。

この企画はとても面白かったのですが、同時にイライラもさせられました。この青年、田中まさゆき さんは、現在はフリーのジャーナリストだとのことで。番組があえて取り上げなかったのかもしれませんが、彼の政策や、思い描く未来のビジョンは、視聴者には全く提示されず。まぁ、僕は練馬区民ではないですし、別にいいのですが。


番組は、シンプルに彼の選挙活動を追いかけるような形をとっていましたが、これがまぁ、ツッコミどころが満載で。彼は実家暮らしで、出馬のための供託金100万円は、父親が立て替え。選挙活動の初日から、がっつり寝坊。区役所に立候補の届け出を提出する日には、必要書類を見失い、朝から大慌て。結局、遅刻して役所に到着。

路上での演説の第一声は、「何を話したらいいのかわかりませんが・・・」。そして「政策はホームページに書いてあるので、そちらを見てください」。しまいには、道行くオバちゃんから演説に対しての叱責というかアドバイスというかをされて、号泣。選挙結果は、言わずもがなの、大惨敗。


番組スタッフに悪意でもあるのか? と思わせるくらいに、彼の残念な部分がずっと丸出し状態で。ポジティブ要素がここまでないというのは、実際にこんな散々な選挙活動っぷりだったので、スタッフはどうしようもなかったということなのでしょうか? 本人も、番組に出たことを後悔しているのでは? テレビの取材が来ている状況で、遅刻等のユルユルをさらけ出し続けられるというのは、肝が座っていて凄ぇな〜、とも思いますが(笑)。ただ、そのレベルでダラシがないだけか・・。



といっても僕は、ここで彼についてを語りたいわけではなく。たった一時間の番組を見ただけでは、彼の本質を知れるわけがないですし。僕はただ、その彼を見ていて、とある者を思い出したのです。とある者、というか、者々というか。ウチに、ゲストハウス開業の相談に来る、若きドリーマーたちのことです。


中でも特に鮮明に、僕の記憶から蘇ったのが、同じく25歳(たしかそうだったはず)のH君。二年前の6月、彼は僕に「ブログのファンです! タクロウさん今、夏休み中ですよね? ぜひお会いしたいです!」と、メールをよこして来まして。返事をしてみると、「今週土曜、上野でいかがですか?」とのこと。話を伺いたい・・・のに、ウチの宿まで来ないんか〜いっっ!!でして。

ただ、ちょうどその日の昼に僕は都心で用事があったため、そんなケースもたまにはいいか、と思いまして。約束の7時、僕が上野駅で待っていると・・・来ない。僕は彼の顔を知らず、彼の方は僕の顔をブログの写真等を見て知っている関係で、僕にはどうしようもなく(僕はスマホではないので、外ではネットに繋がりません)。7時15分、僕がもう帰ろうかという気になった頃合いに、彼は現れまして。


それからテキトウな飲み屋に移動し、トーク開始。しかし、共にした二時間の内のおそらく一時間半ほどは、ほぼ一方通行の、彼の自分語りや“こんな宿を開きたいんです!”話を聞かされるハメに。

彼の“夢を語りたい!”熱が一段落した頃に、僕が

 「で、その宿の実現にはいくらかかると想定してますの?」と切り出すと、
彼「1000万くらいですかね!」
僕「へぇ・・・で、自己資金はいくらあんの?」
彼「今は・・ゼロです!!」
僕「・・・(呆れる)。じゃあ、その1000万は、どうすんだい?」
彼「銀行から借ります!!!」
僕「・・・・(呆れ果てる)、銀行って、そんなにお人好しじゃないんだけど・・
彼「ではもし銀行がダメだったら、クラウドファンディングで集めます!!
僕「・・・・・(呆れ果て果てる)」

となり。


俺の二時間を、丸ごと返してくれ!ってくらいに、こいつは時間の無駄だったぜ、と完璧に確信した瞬間でした。


そんなわけで、以降はテキトウに会話を終わらせたわけですが、会計の段になって、僕が支払い約7000円をきっちり割り勘にしようとしたところ、彼曰く
 「実は今日、財布に2000円しかありませんでして・・」
僕「んぁっ!? どういうこっちゃねん、それ」
彼「飲み屋に決めたの、タクロウさんじゃないですか。僕は、レストランでよかったのに」
となり。あのぉ〜・・君もけっこう、飲んでたよね・・・。

僕はもう、空いた口が塞がらないほどに呆れ果て果て果て、もぅどうでもいいゃ〜になり結局、全額を支払いました。呼び出されて、駅で待たされて、夢物語を延々と聞かされて、なぜか人のせいにされて、払わせられる!! うぅぅぅぅ〜・・・・なんて日だッッッ!!!


というわけで、この上野で会った彼と、練馬区長選挙に立候補した彼が、僕の頭の中でダブって見えたのでした。“意識高い系の、モラトリアムの塊のような夢追い人だが、いろいろとちゃんとしていない”という括りで。




ちなみにウチは現在、オープンから三年と少しなわけですが、その間、僕のところにゲストハウス開業の相談に来た者は、最初の一年間でおそらく50人くらい。二年目に15人くらい。昨年は、ほんの数人です。なので合計としては、70人くらいでしょうか。


この70人は、大きく二つのグループに分けることが出来ます。

① これからゲストハウスをやりたい!こんなゲストハウスの経営を夢見ている!!

② 物件が決まった or 改装工事中 or オープン直前・・・等々の状況で、もう開業は決定している! よって具体的な経営の厳しさ、「ここはこうした方がいい」といった実務的なアドバイスを聞きたい!!

の二つです。


もっとビジネス的な表現では、

① コンセプト(私がやりたいことはこれだ)ばかりを考える者
② ターゲットから先(顧客から求められているのは何か、それをいかに届けるか)を考える者

と、言い変えてもいいです。


そのほとんどは、①です。彼らの多くは、物件探しの最中だったり、まだ物件探しすらしていなかったりという、スタートラインの段階です。しかし彼らは、自分の理想を、とにかくよく語る! 語る!! 語る!!! 稼働率は年平均90%、一ヵ月の内25日はフルになる、とまぁそんな妄想ばかりが膨らみまくりで、頭の中ではすでに、素晴らしい場所に素晴らしいゲストハウスを建て、経営が絶好調で素晴らしい生活、素晴らしい人生を実現させている!!


そんな彼らは、「私の(妄想中の)宿のコンセプトは、これです!」「この点が新しく、特化された魅力があるので、ゲストは必ず来ます!」といったことばかりを特に語りたがるのですが、そのほとんどが「いや、そういうの、すでにあるんだけど(しかも儲かってないんだけど)」でして。しかし僕が伝えると、「じゃあその宿は、努力が足りていないんですよ!」とか、平気で言う。

彼らはそもそも、起業における基本要素であるCTPT、C(コンセプト)→ T(ターゲット)→ P(プロセス)→ T(ツール)すら、全く理解できていない。なので、僕が「君はまだ、世間を知らなすぎる。ビジネスを、基本からわかっていない」といった厳しいことを言うと、なんと「知らないから、こうして話を聞きに出向いているんじゃないですか!」「失礼だ!!」と怒り出したりも。いや、僕はビジネススクールの先生じゃないんだが・・。君のような者が、既存のがんばっている宿々に対して「努力が足りない」とか言っちゃう方が、はるかに失礼なんだが・・・。


一方で、前述の ① ② の内の、②の者は、ざっくり言うと“話が出来ます”。実際に開業に向けて突き進んでいる彼らの話は、はるかに具体的ですし、自分が“話したがる”のではなく、僕の話を“聞きたがる”。売上げ予測も低めに設定してきますし、その上で僕が問題点を指摘しても、「では、どうすればそれを解決出来るのか」を一緒に考えようという展開になり、生産的な“ビジネスの話”になります。それは僕としても喜ばしいことですし、そんな彼らであれば、この厳しい業界でも比較的うまく行く可能性が高いのではないか、と思います。


しかし①のドリーマーたち、君らはダメだわ・・。そもそも、起業には向いていないタイプ、と言い切ってもいいくらいです。ビジネスは、理念ではなく、ゴリゴリにシビアな数字の世界なんですよ。僕が君の妄想話には興味がないことくらい、このブログの読者なら、わかるでしょうに。君がウチに来て、リアルではなくファンタジーの世界についてを僕に語ってしまう時点で、はっきり言って君には、センスがないのです。

結局のところ、夢を語りたくてしょうがない者々というのは、現実逃避をしているだけなのです。夢を追いかけている、という立場の居心地がいいだけです。誰かに熱く語りたがるのも、そこには「私を認めて欲しい!」という念があるだけです。僕は、そのアンテナをビンビンに立たせながら開業相談を受けますので、「あ、そっち系か」と判断した際には、対応はかなり冷たくなっていると思います(笑)。



これまで、このブログでは前述の彼のような、“ウチに来た世間知らずのドリーマー”をネタにしたことはありませんでしたが、まぁ彼には、飲み代をおごったし許してちょうだいです(笑)。あれからもうすぐ二年ですが、その間に彼の存在が僕の業界情報網に引っかかったことは全くありませんので、もちろん開業には至っていないどころか、おそらくとっくに諦めていることでしょう。このブログも、もう読んでいないことでしょう。

今回は、彼の話だけをここに載せましたが、ドリーマー開業志望者に対して呆れちゃった系のネタは、他にも尽きないほどにあります。その全員が、僕の知る限りでは、開業には至っていません。


以前にこのブログでも書いていますが、僕は、若者が新しいことにチャレンジすること自体には、大賛成の立場です。しかしながら、彼らのそれが本気のものなのか、そのチャレンジと心中するほどの覚悟があるのか、どこまで深くそのビジネスの研究をしているのか、を僕は見ています。リアルな覚悟があれば、自主的に学習をしているはずですし、それなりの知識はあるはずです。発信よりも、吸収に欲が向かうはずです。経営者の多くは、皆さんが思う以上に、日々、勉強していますよ。


語りたがりのドリーマーに対して、僕が「君は向いてないよ」「やめた方がいい」とハッキリ言うのは、ある意味では親切心から来るものです。前述の、練馬区長選に立候補した彼をテレビで見て、応援する気持ちは全く芽生えず、むしろ「今の君では当選するわけがない」と僕が言いたくなったのも、おそらくは親切心です(笑)。

逆に、夢見る彼らを笑顔で受け入れ承認欲求を満たしてあげ、しかしその実は彼らをターゲットにビジネスを企む連中は、僕にとってはたいへん不愉快な存在なわけです。そんな夢追い系の自己啓発とか自分探しとかセミナーとかの類いは、それで金儲けをする連中もそれに引き寄せられる連中も、どちらも大嫌いなんですよ、僕は。


僕はとにかく、良くも悪くも、リアリストでド正直でド直球なのです。「君は音痴だから、歌手は向いていないよ」と、ズバッと言ってあげられる者が周りにいないジャイアンは、可哀想だという考え方です。しかし今は、僕のような人間がマイノリティで、ジャイアンに「君の歌は、素晴らしい。夢を叶えるためにサポートしますよ(有料で)!」と誘い込む大人の方が、むしろたくさんいます。


ファンタジーの世界に浸かる若者の、その現実逃避を助長させず、彼らに生々しいリアルを突きつける。それは美しい大人の姿だと、僕は思います。





2018年5月3日木曜日

春! ファッションが楽しい季節!!




ゴールデンウィーク!!!・・・って、こんなに暑かったでしたっけ? 汗ばむわぁ〜。



まずは、月初めのいつものやつです!


【YAWP!来泊ゲスト国籍 トップ10(2015年4月〜:計2127)】

 ①アメリカ     339
名(+12
 ②日本       306 (+20) 
 ③イギリス     233 (+4)
 ④オーストラリア  210 (+5)
 カナダ      178 (+4)
 ドイツ       99 
 ⑦フランス      61 
 ⑧台湾        56 (+1)
 ⑨韓国        50 (+1)
 ⑩ニュージーランド  43
 タイ        43 (+4)



【新規ゲスト数(泊数:日数平均:稼働率(キャパ))月別まとめ】

2015】
4月:22( 81:3.68:22%(12))
5月:28(132:4.71:35%(12)
6月:11( 60:5.45:17%(12)
7月:65(205:3.15:59%(12)
8月:98(312:3.18:93%(12)
9月:79(278:3.52:93%(10)
10月:91(253:2.78:94%(10)
11月:74(227:3.07:84%(10)
12月:84(229:2.73:82%(10)
【2016】
1月:59(198:3.36:73%(10)
2月:55(194:3.53:78%(10)
3月:72(242:3.36:83%(10)
4月:83(275:3.31:85%(12)
5月:100(278:2.78:80%(12)
6月:26( 72:2.77:60%(10)
7月:45(139:3.09:61%(12)
8月:81(247:3.05:66%(12)
9月:64(215:3.36:90%(10)
10月:56(152:2.71:61%(10)
11月:42(112:2.67:45%(10)
12月:68(191:2.81:68%(10)
【2017
1月:50(190:3.80:79%(10)
2月:22( 81:3.68:58%(10)
3月:55(151:2.75:97%(12))
4月:75(238:3.17:79%(12)
5月:61(185:3.03:57%(12)
6月:19(126:6.63:84%(10)
7月:54(186:3.44:55%(12)
8月:66(234:3.55:75%(12)
9月:39(149:3.82:54%(12)
10月:67(230:3.43:74%(12)
11月:50(151:3.02:52%(12)
12月:52(167:3.21:56%(12)
【2018
1月:41(132:3.22:46%(12)
2月:42(129:3.07:45%(12)    
3月:58(143:2.47:60%(12))
4月:73(240:3.29:80%(12)

計:2127(6819:3.21:62%※)
※稼働率のみ、直前一年間の平均



前回の記事に、「今月は250泊83%に充分に届きそう」と書いたんですけどね・・。残念ながら結果は、240泊80%。27〜30日、五日間の休みを終えて再開してからの四日間は、予約状況としては計39泊だったのですが、なんと、その内の半分以上、20泊が消えました。計8人ものゲストによる、ノーショウで!!!

先月は、3月に比べるとノーショウ&直前キャンセルの頻度はさほどでもなく、安堵していたんですけどね。最後の最後に、たたみかけて来やがったよコンチキショォォォーーーー!!! まぁ、それでもなんとか80%は越えたので、ハッピーですが。



さてさて、ゴールデンウィークのど真ん中。本日、5月3日は三年前に我がYAWP! backpackersが、初めてフルになった記念日でして。僕としては、実はオープン日の3月23日よりも、愛おしい日だったりするのですが。あの日に呑んだ酒は、美味かったなぁ・・。


なので宿の話を書くのかと思いきや、全然違います。先日、「僕の三大オタク要素の内の、まだ一度も書いたことのない“ファッション”についてを、今度書こうかな〜」と書いたことで、個人的にその欲が盛り上がってしまいまして。今回は、その話題です。


間違いなく、洋服について全く興味がない方々にとっては、超絶つまらない記事になります(笑)。一方で、僕の学生時代の友人たちがこれを読めば、けっこう懐かしんでいただけるのでは? とも思います。これを読む旧友は、そんなにはいないでしょうが。ザ・自己満足!!!



オカンがジャスコで買ってきたような服を着て、ダサダサでも全然気にならなかった時代は一気にスキップしまして、僕がファッションに目覚めたのは高校二年次。生まれて初めて、明確にハマったファッション・ブランドは、ステューシー(Stussy)でした。

そのきっかけの記憶はやや、曖昧です。当時の僕の周りには、古着好きの友人がけっこうおりまして。その内のケンタと、千葉に一緒に買い物に行くことになり、彼に連れられて入った古着屋に、StussyのTシャツがありまして。「超、カッケェー!」となりまして。

Stussyは、当時は値段はそれほどでもなく、僕は勢いで買ってしまったんですよ。そしてそれからの二年ほどは、僕は完全にStussyマニアになっちゃいました。下北沢に、ビンテージStussyの圧巻の品揃えの古着屋がある、との情報をキャッチし、下北沢デビュー(当時の僕の住む街、佐倉からは超遠い!!)。そこは実際に素晴らしいお店で、僕は完全にレギュラー客となり、しょっちゅう下北沢に行くことに。

僕は当時、激レアの“8ボール”や“ドラゴン”すら持っておりましたから、本当にけっこうなレベルでのマニアでした。親から貰った小遣いや、アルバイトの給料は、すべてStussyコレクションに消えました・・・。



まさにコレ!!



大学に入っても僕は、最初は相変わらずStussyばかりを着ていたのですが、サークルで出会ったアキヒロ&ススムと、三人で原宿に買い物に行くことになり。そこで立ち寄った、ミルクボーイ(MILK BOY)で売っていた、パンキッシュなアイテムの数々に、衝撃を受けまして。

そこで、Stussyはスパッと卒業。どっぷりと、MILK BOYマニアになりました。大学時代は、親からの仕送り有り+バイトしまくりの生活で、お金に余裕がありましたので、本当に、アホみたいに、ひたすらMILK BOYの服をかき集める毎日でした。店員さんとは、新作の入荷日の連絡を電話で受けるほどの関係になり、そして入荷日には、店員さんは僕を裏に入れ品出し前の段ボールの中を総チェックさせてくれまして。そうして誰よりも先に全商品を見ていましたし、特にクールなものは全てコンプリートしていました。


MILK BOY は、さすがにもう着れんな・・



デザイナーの大川さんとも、店で会えば普通に話す間柄になりましたし、ショーに招待され、最前列で見たりも。当時のファッション雑誌はSmartが軸でしたが、女性向けである Cutie や Zipper、KERAなんかも購読。そんな、今考えるとかなり行き過ぎな、引くほどのMILK BOY愛な三年間でした。


MILK BOYはパンクなブランドですから、僕はもちろん、洋服以外もパンク寄りでしたよ(笑)。頭を真っ赤に染めたり、ボンバーアフロにしてみたり。いやぁあの頃は、なんだか知らないけど何かと、戦っていた・・・。タク、という僕と似た名前のファッション仲間というか良きライバルというかが当時おりまして、僕は彼と競うように、奇抜な恰好にチャレンジしていましたね。



その後、2001年には雑誌Smartで見た、アンダーカバー(UNDERCOVER)のシリーズ“DAVF”のデニムパンツに衝撃を受け、5万円くらいしたけど購入。その後も2004年の“but beautiful”期くらいまでは比較的アンカバ寄りでしたが、マニアというほどでもなく。大学を卒業し社会人になり、服に金をかけまくるほどの時間も余裕もなかったのでしょうね。一方で当時のトップ・ブランドだったナンバーナインや、エディ・スリマンのディオール・オムは、僕には全く刺さらず。買ったことはもちろん、店に入ったことすらないです。


このデニム。今見てもカッコいいと思う



愛読雑誌は、いつの間にかSmartやCutieは読まなくなっており、もっぱらMEN'S NON-NOに。そして忘れもしない2005年、そのメンノンで特集されていた、ミスターハリウッド(ブランド名はn.hoolywood)のシリーズ“アラスカ”に、衝撃を受けまして。さらに、続く“ゴーリー期”の素晴らしさで、僕は完全にミスターハリウッドの、虜に。

特にこのゴーリー期は、僕は「全アイテムを揃える気かよ!」とツッコまれてしまいそうなほどの、コレクションっぷりでして。いやぁ〜散財した・・・。たぶん、このシーズンだけで僕は、商品20点以上、計50万円位は使っています。中でも一番高かったのは、デザインスーツのセットアップ、9万円!

当時の僕は、世界一周のための資金を貯めている真っ最中だったんですけどねぇ。この2006年は、僕の友人が大量に結婚した年でもあり、ご祝儀で貯金が消えまくったせいで、財布のヒモがバカになっていたのでしょう。もしくは、独り身の寂しさをそれで発散していたか(笑)。


ゴーリー期。今見てもカッコいいと思う



無事に世界一周を終えた後も、2010年くらいまでは、僕のフェイバリットは変わらずミスハリで、コーディネートはこのブランドが中心でした。2006年のようなバカ買いはさすがにもう、しませんでしたが。ミスハリは質がいいしクセも強くないので、今でもたまに着ますよ。太ってしまったので、ボトムはムリですけどね(涙)。

当時の愛読はメンノンと、ストリート・スナップ雑誌のTUNE。特にTUNEは、僕は創刊から廃刊まで、コンプリートしています。日本にいなかった期間の分も、取り寄せて購入しましたし。理由は忘れましたが、何冊かはダブっているくらいです(笑)。


それからは、やんわりとジュンヤ・ワタナベに寄り道したり、ジョルジオ・ブラットのレザーの柔らかさにウットリしたりもしましたが、ただ今2018年、僕がプライベートでもっぱら着ているブランドは、ポール・ハーデン(Paul Harnden)です。ここ数年は、このブランド以外はほぼ、買っていません。ポール、むちゃくちゃ高いですからね・・・。三ヵ月とか四ヵ月とか、グッ・・っと「洋服買いたい!」欲を押さえ込んで、そこで貯めた分で、ドカンと大きく買っている感じです。


ウム、粋である!!




思えば、大学時代は1〜2万の服を月に3〜4着買い、2000年代は3〜5万の服を月イチくらいのペースで買い(2006年のみ、ド散財)、今は10万円以上する服を年に三〜四度買う、という感じですね。すると年平均だとだいたい60万→50万→40万という流れで変化していることになり、実はこれでも、今が一番「服にお金をかけていない!」のですよ(笑)!!


僕のポール・ハーデンのコレクションは、現状ではコート:2、ジャケット:1、ボトムス:2、バッグ:3、靴:3、の計11点だけですが。それでも、総額では100万は越えているかな。宿の経営にだいぶ余裕がなくなってきているので、昨年はコート:1、靴:1しか買えませんでしたが。仕事では確実に着ないので、たまの休みの日に誰かと会うような場合には、勇んでポール中心のコーディネートをします。インナーは、ヤエーカマルタン・マルジェラ等の、シンプルなものが多いですね。

実は僕は、ポール・ハーデンのアイテムには、10年以上前に恋に落ちておりまして。それは南青山のセレクトショップで見つけたレザーの中型のバッグでしたが、作り手の魂のような、醸し出す“ただもんじゃない”感がもの凄く。たしか8万円ほどのバッグで、買おうか本気で迷いましたが、「いや、これは今の僕が持っても、似合わない。いつかそれなりの歳、40前後になったら、このブランドに突き進もう!」と、決意したのです。そして39歳の今、その通りに、着ている服はポールばかりなわけです。


ポール・ハーデンは、デザイナーズブランドでは全くなく、アルチザン(職人的芸術家)ブランドですので、リリースされる商品は基本的に、いつも同じです(生地等は変わりますが)。しかしながら、表現が難しいのですが、とにかく“他とは違う”んですよ。全商品が手作りなので、ちょっと歪んでいたりホツれていたりもするのですが。そんな不完全さにも、なんだか物語があって、素晴らしい。ド直球でスタンダードなラインナップで、シンプルなものばかりなので、ブランド名がプリントされていたりとかは100%ないのですが、誰かがポールを着て街を歩いていれば、僕にはそれがこのブランドだとすぐにわかります。服からオーラが出ている、とでもいいますか(笑)。ふざけているみたいですが、マジの話です。


そんな、流行には全く左右されない、絶対的な安定感のあるブランドを愛してしまった以上は、僕はおそらくこれが今後もずっと続くと思います。ファッション大好きで、高校時代から服を買いまくってきた僕が、ついに辿り着いた終着点、みたいな感覚があります。このまま毎年2〜4アイテムを買い足しつつ、それらをずっと着続ける、みたいな人生が理想です。


まぁ、このブログで僕がポール・ハーデン愛を語りまくったところで、皆さんを置いてけぼりにするだけなわけですが。服に金をかけまくっているといっても、僕はタバコは一切吸いませんし、お酒もこの仕事を始める前までは嗜む程度でしたし。グルメでもなく車も持っておらず、スポーツもゲームもやらず。そもそも扶養家族がいないし、恋人もおらず、別に貯金が趣味でもなく。服を買う以外に、使い道がないだけです(笑)!!




学生時代の僕を知らない方は、最近の僕を見て「あいつ、そんなに洋服にこだわっているようには全く見えないんですけど! ウケるーーーっ!!」と思われるかもしれませんが、僕は全然それでかまいません(笑)。僕は、人から褒められると何でも素直に喜ぶ人間ですが、昔から「オシャレだね」と言われるのだけは、なぜか刺さらないというか、アマノジャクになってしまうんですよ。誰かからオシャレと評価された時点で、そのコーディネートがなんだか、つまらなくなると言いますか。

誰からもオシャレだと気付かれないアイテム&着こなしだが、僕だけが内心ニヤニヤしている、そんなのが好きですね。ポール・ハーデン自身も、ロンドンの街で見かけた、とあるホームレスの着こなしに強い影響を受けたりしていますし。そういうのが、カッコいいなと。いうならば、“意識的な、無意識”です。


ファッションとはあくまで、個人的なものだという捉え方なので、誰がオシャレだとかダサいとかを、僕が評価することは全くありません。しかしファッション関連の知識は、少なくとも僕の周りには、僕より詳しい者はいません。映画もサッカーも、あとは家具なんかもそうですね。僕のオタク気質、ハマったらトコトン突き進むっぷりは、我ながら行き過ぎと自覚しており、もはや変態だとすら思います(笑)。


そんなオーナーとのバチバチのディープな趣味トークをしたいという、同じ変態属性の方のお越しも、YAWP! は絶賛ウェルカム中ですよ!!