2016年3月31日木曜日

ホステルスタッフに、向いている人・いない人。


東京都の桜の開花宣言があってから、すでにもう十日。ずいぶんのんびりとでしたが、やっと今日あたり、満開のようですね〜。“日本のベストシーズンは、桜の季節!”が外国人にも知られるようになったおかげか、YAWP! backpackersもここしばらく、ずっとフルです。そのままの勢いで、4月もすでに、ほとんどがフルです。どうも、ありがとうございます。




さて今回は、ホステルを経営するにあたり、というよりも、ホステルのスタッフになりたい方々に宛てるイメージで、文を書きます。



僕のところにホステルの起業相談に来る方々の多くからは、「トラブルとかありますか?」という質問をよく受けると、以前このブログに書きましたが、同じくよく受ける質問に、「英語ができないと厳しいですか?」というのがあります。

僕のその質問に対する応えは、明確です。「厳しいですよ」です。“英語を話せる”は、ベター条件ではないです。もはや、マストです。これは僕の主観だけでの話ではありません。ほとんどのホステルが、スタッフ求人要項には、“英語を話せる方”や“英語力必須”といった要件を入れています。


ホステルのスタッフって、いわゆる“労働内容”としては、ゲストのイン・アウト対応とお掃除がメインなのは間違いないですが、もう一つ、非常に重要なタスクがあります。“ゲストのストレスを減らし、安心感をあたえる”ということです。ゲストにとって、言葉が通じない環境というのは、もちろんストレスです。街ではいいんですよ。例えば原宿の靴屋で英語が全く通じなくても、値段さえわかれば、買い物には特に支障はない。試着したい、等の要望も、ジェスチャーだけで充分に伝わります。その程度のストレスであれば、一瞬で消えます。


対してホステルというのは、ゲストにとってはノンストレスでいたい場所。彼らは当然、リラックス空間を求めているわけです。短期間ながらも、そこで生活するわけですから、「試着したい」程度では済まない、いろいろな質問や要望が発生します。それが伝わらない、英語がすんなり通じないストレスフルな宿では、ゲストの居心地が良くなるわけがありません。


さらに宿のスタッフというのは、「いざとなったら助けてもらえる」という、期待と信頼を受ける立場でもあります。僕らスタッフは、そのポジションを自覚し、受け入れる必要があります。実際に、数は多くありませんが、ゲストが外でトラブルに巻き込まれ、エマージェンシーな連絡を受ける事はあります。その対応には、もちろん僕は、最善を尽くします。しかしスタッフが英語NGの宿では、「どうしよう!」という内容の電話を受けて、いったい何ができるのでしょう? トラブルの内容を理解できず、もちろん対処法のアドバイスも出来ず、頼りないこと、この上ないですよね。


というわけで、くどくどと書いてしまいましたがとにかく、ホステルのスタッフをやりたいという人は最低限、英語は話せてね、ということです。それどころかむしろ、それだけでは不十分。英語が話せる、だけのスキルでは、ホステルのスタッフとしては全然、物足りないです。




ホステルのスタッフには、“英語を話せる”よりももっと、重要な事があります。性格、メンタルの面です。他者とコミュニケーションをとるにあたり、相手の懐に入り込むことに、積極的かどうかです。


外国人、特に欧米人は、おしゃべりが大好きです。とにかく会話を楽しみます。ほとんど一方通行な、話す:聞くの割合が9:1くらいの外国人も少なからずいて、なかなか大変ですが。とにかく、“会話”というのは、彼らにとっては娯楽なのです。「話しかけないで!」なオーラを放つ外国人なんて、皆無に近いです。


なので、相手が日本人だと「こいつ、ウザいなぁ〜」と思われかねないくらいの積極性の方が、外国人にはちょうどいいのです。スキあらば、どんどん話しかけるべきなのです。僕は、外国人ゲストがお出かけする際には「いってらっしゃ〜い」の前に「どこに行くんだい?」と必ず聞きます。特に急ぎでないゲストとは、それをきっかけに「〜に行くんだけど、オススメの店とかない?」といった会話が始まり、そのまましばらく、くっちゃべったりします。もちろん、すぐに出かけたがっているゲストは、行き先だけ告げてそのまま出ます。

そしてゲストが帰って来たら、僕は「おかえり〜」の後に必ず「〜(街)はどうだった?」と聞きます。たいていのゲストは、嬉しそうに、楽しそうに、「アレがエキサイティングだった!」や「こんなのを見つけて買って来た!」といった話をし始めます。この、“今日の出来事トーク”を嫌がる外国人ゲストは、全くと言っていいほどいません。

彼らは旅の最中なのですから、日本での出来事に一喜一憂していますし、基本的には、その日の出来事を誰かに話したいのです。彼らのその欲求や熱を、いつでもウェルカム状態にしておくというのは、ホステルのスタッフにとってはとても大切なことだと僕は考えます。


外国人ゲストにだって、“空気を読む”という感覚はそれなりにあります。相手が話を聞きたがっているのかどうか、そのアンテナは、ちゃんと立っています。オトナなので、一方的に“聞いて聞いて”を押し付けることはしません。「どうだった?」という一言で、僕が“話を聞かせてよ”のスタンスを見せる事で、彼らはそのスイッチを入れるのです。




この、ちょっとウザいくらいの積極性と、ゲストの“話したい願望”の受け入れ態勢。要は、【聞くために、話しかける】。これを自然にこなせる人は、確実にホステルスタッフに向いています。間違いなく、皆から愛される良きスタッフになります。逆に、たとえ英語を満足に使いこなせようとも、外国人と接することに二の足を踏んでしまうような人や、話かけられるのを待ってしまうような人は、この仕事は全く向いていません。



考えてみたら、これってけっこう、狭き門のような気がします。なんで今回、こんなことを書いたのかというと、最近「ウチで働きたい」と言ってくれる日本の若者がすごく多いもので。要はこれが、僕がスタッフに求める最も重要なことなので、伝えておこうと思ったのです(このブログを読んでいなかったら、意味ないですが)。まずは、そこを理解した上で、若者達にはこの素晴らしきホステル業界に、どんどん飛び込んで来て欲しいと思います。




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