2021年8月17日火曜日

なんでもかんでも、炎上しすぎじゃない?

 



オリンピックが終わりましたねぇ〜。僕は結局、サッカーの日本vsスペインと、あとは野球の決勝トーナメント3試合(もちろん日本の試合)だけをライブで“狙って”“ちゃんと”観ました。他は・・テレビをつけて、たまたまやっていた競技をなんとなく観ただけで、愛犬と戯れつつだったりの“ながら視聴”でしたので、あんまり記憶に残っておりません。特に、水泳や陸上等の競争系は、全く観なかったな・・・

僕は元々、オリンピックへの興味はほとんどありませんので、これは“いつも通り”って感じなのですが。せっかくの東京開催だというのに、これまでと変わらずに熱が入らずで終わった要因はやはり、無観客だったから、という面が大きいかなと思います。あれじゃ、海外のどこかの都市でやっているのと、何も変わらんもんなぁ。期間中に都心に出ても、オリンピックやってるぜ!な雰囲気は皆無で。僕は夜型人間なので、中継時間との相性もむしろ悪かったですし(笑)。

まぁ、パソナや電通、大成建設らへんの政界ズブズブな利権団体を除いて、誰にとっても利の無い、まるで呪われたような大会で乱発されるしょうもないトラブルたちと、もう付き合わなくて済むというのはとても嬉しいことです。僕は開催に反対していたわけではないですし、その一方で開催されてよかったともすべきでなかったとも思わず、どちらかに偏ったスタンスではないです。「それなりに楽しめましたよ。選手の皆さん、ありがとう。しかし裏のゴタゴタにウンザリだったのでやっと終わってくれて嬉しいです」・・ってな感じ(笑)。パラリンピックはこれからなので、まだまだしぶとく、問題が湧き出るのかもしれませんがね。



さてさて。その、オリンピックに連なる話として。先日、名古屋市の河村たかし市長が、ソフトボールで金メダルを穫った後藤希友選手の表敬訪問の際に、彼女のメダルを勝手にガブリと咬んじゃったよオイッ!・・・で、大炎上していましたね。

僕があの映像を見た時には、怒りの気持ちは全く芽生えず、「うは〜っ!ムチャクチャなことするアホなオッサンだな!!」と大爆笑しました。不快、という念もなく、とにかく笑えた。しかし、世間で沸き上がった怒りの炎は、とんでもなく燃え上がったようで。「あれ?・・俺って、ズレてるのかな・・・?」と自分をボンヤリ見つめ直しましたよ。

写真でも笑ってしまう・・・

これは決して、河村市長への擁護ではないです。このオジサンが、“よろしくない行為を豪快にやっちまった”ことは間違いない。謝罪した方がいいだろうねぇ、とは、僕も思います。でも僕は、「世間がここまで怒ることかいな?」なんですよ。「後藤選手は大ショックだったろうに」といった、“当事者もこうであるはず”的な定点を勝手に作った上で、皆さんお怒りのようで、それにも強い違和感が。僕が後藤選手だったとしたら、あれには爆笑して、「ちょっとちょっと!買い取ってくださいよ!変なニオイするし~!!」とか言って場を盛り上げ、以降は「これがあの咬みつかれメダルでっせ(笑)」ってな感じで長く使える持ちネタにするけどなぁ。“アホなオッサンが調子に乗ってメダルを咬んじゃった”だけの三面記事レベルの案件が、まるで人でも殺したかのような狂乱の叩かれっぷりで。別に「河村市長がかわいそう」とは思いませんが、こんなくだらないことに感情的になって激しくヒートアップしている者々に対しては、全く共感できません。

後藤選手、怒ってましたか? そんな声明を出しましたっけ? 世間が河村市長を一斉に叩くことに、「いいぞいいぞ、もっとやれっ!」と溜飲が下がる思いになりましたかね? むしろ、あの程度のことでどエラく大きな火が着いちまって、かなり困ったんじゃないですか? おそらく彼女からのこの件に関する言及は今後もないでしょうから、真相はわかりませんが、世間には勝手に当事者ぶって代弁したがる人が多いようなので、僕も似たようなことをしてみただけです。同じ出来事に対したって、怒るか笑うかなんて、人それぞれでしょ。え、皆も怒るべき? それって何ですの? 正義感、的なやつの押し付けですか? いやはや、勘弁してよ。



そして、つい先日には。メンタリストのDaiGo氏が自身のYouTubeチャンネルで、「生活保護の人のために税金を納めているわけではない」「自分にとって必要がない命は、僕にとっては軽い。ホームレスの命はどうでもいい」といった発言をして、大炎上しました。実は正直な話、僕はこれにも、不快感を覚えておりません。前述の河村市長の件とは違い、これに関しては“世間が怒って当然”だと思いますが。もちろん、不快感を覚えていない=共感している、ではないですよ。彼の一連の発言には1ミクロンも共感できず、特に表現の面では極めてよろしくないと捉えてはいるのですが、僕としては別に不快ではなく、怒りも起きなかった、ということです。「考え、思想が俺とは全く違うんだな」というだけの、乾いた感情の範囲内に収まっております。

なんだか判りづらいスタンスだと思いますので、詳しく書きますと。僕にはアメリカ人の親戚や、友人・知人がそれなりにおりまして、彼らの多くは明らかに“富裕層に属する”者々です。そんな彼らとの会話では、「俺らが必死に働いて得た金が、税金として奪われて、怠け者の貧乏人に配られるのは許せん」といった内容になることが普通にあります。アメリカ社会は、実に判りやすいんですよ。富める者と貧しき者の間に、かなり明確な線引きがある。大多数の富裕層が共和党支持で、共和党が政権を握れば(最近ではトランプ)、富裕層を優遇する“金儲け主義”の方針になりますし、貧困層は民主党支持で、民主党政権(オバマ、バイデン)になれば格差是正に動きます。シンプルな例で言うと、民主党時代に着手していた公立図書館の建設計画が、共和党に変わると一転して中止になるのです。「本を買えないほどの貧乏人のことなんて知るかよ!ちゃんと働いて、買って読め!」なのです。

ちなみに、ハリウッドスターや大企業の社長レベルの大富豪になると民主党支持が多いのですが、彼らには、税金として奪われても痛みを感じないほどに、資産が有り余っているから、という面があり。そして、一般大衆からの人気を得ることの方に、より大きなメリットがあります。“平均よりも裕福~小金持ち”のあたりの層が一番、「社会福祉なんてクソ食らえ!自分の力で勝ち取れや!」の傾向が強いんですよ。そしてこれこそが、まさに“ザ・資本主義”です。


というわけで僕はなんというか、DaiGo氏については発言自体よりもマインドの方に着目し、「小金持ちの彼は、マッチョで典型的な保守思想なんだねぇ」と思ったわけです。そして、「アメリカほどではないにしろ、ある一定の層からは強い共感と支持を得るだろうね」とも感じました。彼の発言の過激さは、差別と捉えられてもおかしくないほどのヒドいもんで呆れてしまいますが、同様の思想(「なんで俺らが、怠け者の貧乏人の生活を支えなきゃならんの?」)を内心に持つ者はけっこう多くいると思いますよ。DaiGo氏の発言そのものにひたすら憤りまくっている人は、「このような感覚の持ち主は、普通じゃない!クレイジーでサイコだ!!」とはならずに、「資本主義の急所、この社会の根元に普遍的に燻る問題を、彼は本音を丸出し過ぎる発信によりあぶり出した。その表現っぷりはサイテーだったが」くらいのバランスで捉えた方がいいと思います。


クドいようですが僕は、河村市長のように他者の所有物にいきなり咬み付くほどの厚かましさもなければ、DaiGo氏と同様の思想も全く持ち合わせていない、二人に対する共感度はゼロの人間です。というか、このブログを普段から読んでくださっている方々は、僕が純度100%に近いほどのリベラル思想だというのはすでにご存知でしょう。「社会(政府)から金を吸い取られている」という意識は薄く、むしろ僕は、“福祉の恩恵を受けて得をしている”側の立場に近い方の人間です。たまたま身近に裕福な側の者がそれなりにいただけで、僕自身の実力や怠惰性を鑑みると、金持ちになるよりもホームレスになる可能性の方が高いでしょうし。野宿とか、過去に何度もしていますし(笑)。


直接の面識のない方からは意外に思われるかもしれませんが、僕はこのブログ等で、何かや誰かを批判する記事をそれなりに書いてはいるものの、実は怒りっぽい性格ではないんですよ。特に、何かの事象に血の気が上がり感情的にウガーッとなる、なんてことは、ほとんどないです。クドクド・ネチネチと、理屈っぽい批判をすることはあります(笑)が、沸々と煮えたぎる怒りを伴いながら、ということはめったにない。どちらかというと、「これは、よくないわ。しかしあんたら、何でそんなに怒ってんの?」と眺めてしまうタイプです。ひろゆき氏あたりと、感覚は近いかもです。

そんな感じで、炎上案件には自ら首を突っ込み、俯瞰の視点でニヤニヤしていることが多い僕ですら、最近は「いやぁ~さすがに、なんでもかんでも燃やしすぎじゃない?」と、残念に思うことが増えました。僕の個人的な線引きでは、河村市長のあれは「炎上する程のことかいね?」で、DaiGo氏のあれは「まぁ、炎上するわな」です。


発信者は、

・弱者を攻撃しない
・嘘をつかない(エンタメ、笑わせネタとしての、誇張はあり)
自分のダメさ、愚かさを自覚し、ドヤ顔で優秀ぶらない

そしてそれを受ける者は

・自分の正義感?を、常に疑う
・自分が不快に思っても、それが当事者と同じだと決めつけない
・「○○もそう言ってる」的な主張をやめる。それはバイアスありきで似たような批判意見を抽出してるだけ
・自分の日常生活やビジネスに影響のある相手、以外に対しては「ま、俺とは関係ねぇや」のドライな視点を持つ


これらの単純なスタンスを双方で保つだけで、世にある炎上案件のほとんどは消えてなくなる&起こりもしないと思うんですけどねぇ。これはもちろん、自戒の念も込めてですが。芸能人の不倫とか大麻とか、オッサンがメダル咬んじゃったとかに怒るのは、当事者や家族だけでいいじゃないの。俺ら、全く関係ないじゃん。どこかの店主が何かやらかしたとして、同業者が苦言を呈するのはわかりますが、そうでなければ近所でないのならどうでもいいし、近所だとしても行かなきゃいいだけじゃん。誰がマスクしてないとか密になってるとか、ワクチン打つ打たないとか、相手が目の前の人間でないのなら、どうだっていいじゃん。政治絡みのアレコレは、僕らの生活に大いに関わりますから、叩きまくっていいと思いますがね。



僕の好きな言葉の内の一つが、「愚行権」です。僕ら人間は根本的に、すべからく、愚かな生き物です。あらゆる発言も行動も、全てが完璧でミスをすることがなく、一切の不快な思いを誰にもさせることのない者がどこかにいるのだとしたら、逆に気持ちが悪すぎて、僕は関わりたくないですね。み~んな平等に、ほどよい頻度で愚かな失敗をして、笑われようぜ。たまにはウンコ漏らしたっていいじゃない、人間だもの!


ハァ・・いつからこんなに、ギスギスした世の中になっちまったんだろうなぁ・・・



【追記】

今回のブログでは、長すぎるかな、と思い削除した同列の話題「張本勲氏の発言が女子ボクシングを侮辱?(僕の反応は“炎上する程のことかいな”)」に関して、被害者?である入江聖奈選手のインタビュー記事を読みましたが、これがとんでもなく素晴らしかったです。


明るく賢く、謙虚で素直な入江選手。大好きになりました。身近にいて同世代だったら、僕は確実に惚れていますわ。張本氏に対してやみくもに攻撃しまくっていた連中は、これを読んで恥ずかしくならないかな(笑)?





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