2016年2月13日土曜日

個人経営の民泊業に、得は無し!!


むぅ〜ん・・・疲れてます。ローシーズンの2月は、ゲスト数がそこそこでのノンビリ経営になると予想していたのですが。毎日メッチャ混んでいます。中国の春節の影響でしょうかねぇ。中国人ゲストは、相変わらずウチには全く来ませんが。あ、もちろん、ゲストがたくさん来てくれるのは、僕はありがたく思っていますよ。しかし1月8日からブッ続けの休日ゼロで働いていまして、正直ちょっと限界気味なので、来週15日〜18日は宿を閉めて休んじゃいます。なんだかテンションの低い書き出しで、すみませんです。




さてさて、前回の宣言通りに、今回はビジネス的な視点での民泊の話を書こうと思います。


先日、とある情報系テレビ番組で、民泊についてのレクチャーをしているのをたまたま観まして。そこでは大田区で「これから民泊宿を開きます!」という年配の方が紹介されていたのですが、いろいろツッコミどころが満載でした。ちなみに大田区では先月末に、東京都内で初めての、民泊条例を施行しています(もちろん何でもアリではなく、細かい条件付きです)。


その年配の方は番組で、民泊用に改装したというお部屋を、自信たっぷりに紹介してくれていました。戦国時代の殿様の屋敷をイメージしたとかなんとかで、壁一面には金箔が貼られ、宮大工に彫刻を依頼し、値の張りそうな掛け軸や仏像等もスタンバイ。占めて総額、1000万円だそうです。


「えぇ!? こんな・・・たったの一部屋に、1000万っすか・・・?」と僕は、その番組を見ながら目をパチクリさせましたよ。完全に余計なお世話ですが、その部屋でこれから民泊のビジネスをやるとして、何年かけてその1000万をペイするつもりなのでしょうか。前回、僕は民泊には「部屋とベッドを用意していますよ、以上の価値が必要」と書きました。金箔だらけのギラギラ部屋は、たしかに付加価値はあると言えるかもしれませんが、「泊まってみたい!」よりも「うぉっ、居心地、超悪そうだな・・」になりませんかねぇ、コレ。



民泊とは、とりあえず日本では今のところ二アリーイコールAirbnbとして、Airbnbが公表しているデータをここに書きますが、

2014年7月〜2015年6月(一年間)
東京で利用したゲスト数:25万人
ゲスト平均泊数:3.8泊
東京のホスト数:2470
平均収入:957000円

とのことでして。

これを年→月に換算すると、
都内総ゲスト数:約2万人
ホスト平均収入:約8万円

になります。

ざっくりな検算として、月に2万人ゲストがいて、それを2000軒の宿で割ると、月のウェルカム数は10人。一人は3.8泊だとのことなので、合計38泊。価格平均を一泊2000円とすると、38×2000=7.6万で、ちゃんと8万円に近くなったので、この数字に違和感はありません。



一方、東京都内のホステル事情はというと、こちらはきちんとした資料がないため、あくまで僕の感覚で計算した推測値なのですが、

月の総ゲスト数:3万人
ゲスト平均泊数:3泊
宿数:80
平均価格:2700円

あたりだろうと思われます。

そこから宿あたりの月の収入を計算すると、

月のウェルカム数375人、合計泊数1125泊で、1125×2700≒300万円となります。

もちろん、ウチのような小さな宿では、月の収入はどんなによくてもせいぜい100万。逆に床数100を越える巨大宿なんかでは、500万を優に越えるわけで、一概には言えませんが。

さらに、基本的には個人で経営する民泊と違い、ホステルはスタッフを雇うわけで、そして光熱費等にも差があるわけで、そういった支出の面でも大きく違いますが。


しかし、

民泊は一軒あたり   月8万
ホステルは一軒あたり 月300万

なわけでして。あくまで平均値ですが、それくらいに収入面での大きな差があるのです。



「いやいや民泊ってのは、副業でやるものでしょ」と思う方がいるかもしれませんね。たしかにそうです。たかだか月収8万のビジネスが、本業になりえるわけがありません。


しかし、民泊宿を開くのにも、当たり前ですが資金がいるんですよ。前述のテレビ番組での、年配の方が費やしたという1000万はさすがに行き過ぎですが、民泊用の部屋を準備するにあたり、リネンや家具、家電、消防機器を一通り揃えるだけでも、100〜200万はかかると思われます。しかも、それだけでは“必要最低限の設備しかない宿”です。内装をこだわったり、トイレやシャワーを増設したりすれば、投資額は200万を軽く越えるかもしれません。

にもかかわらず、そんなにお金をかけても、現状ですでに2500軒ものライバルがいるのですよ(都内だけで)。それらライバルたちを蹴落とし、平均値の月8万をはるかに越える収入を得ることは、簡単なことじゃあないです。本気で民泊業に取り組んでいる人の中には、月に100万稼ぐなんていうケースもあるのでしょうが、そんなのはよくても100人に1人とか、宝くじみたいなレベルの話でしょう。もちろん、開業資金をケチればケチるほど、勝ち残りの可能性は下がります。


要は、経営者(いちおう)である僕から見て、初期投資額がウン百万で月収平均が8万のビジネスなんて、ハッキリ言いまして、ショボすぎるわけです。民泊というのは、

開業時にお金をかけない→儲けがほとんどない
もしくは
開業時にお金をかけまくる→そこそこ儲かるが元を取れるのは果てしなく先

となるのが関の山のビジネスなのです。副業とはいえ、おいしくないにも、ほどがある。以前、週刊S◯A!(いちおう伏せておきます)で「この副業が儲かる!」的な企画があり、バッチリ民泊が紹介されていましたけどね。初期投資額や、平均値データ等の、ネガティブ情報は一切無しの、残念な記事でした。



その上で、民泊というのはこれまでに僕が書いてきた通り、

近隣住民からは歓迎されず厄介者扱い。
大小さまざまなトラブルが起きる。
いつブームが去るかは不透明。
法整備等が、これからどうなるかも不透明。


・・・そんなデメリット過多なビジネスの、どこに旨味があるのかなぁ。僕にはサッパリわかりません。資金が1000万円もあるのなら、普通に簡易宿所の営業許可を取って、正規のホステルを開いて、ガッツリとビジネスをすればいいじゃないですか。月収入平均300万のビジネスと8万のビジネスを比べて、8万の方を選ぶというのは、「どうかしてるぜ!」と僕は思うわけです。



まぁこれはあくまで、「“個人で”民泊を始めることに、利点はまったくない」という話です。これから民泊が合法化に向かえば、不動産関係の大手企業(アパ◯ンショップ等)が、一斉に参入してきます。ずっと売れていない家や、借り手のいない部屋などを、一気に民泊として活用し出します。そのまま放り続けて1円も生まない状況よりは、確実にマシですからね。民泊業界への参入を表明している企業は、すでにたくさんあります。


要は結局、得をするのは大企業だけなのです。冷静に分析すれば、どう考えたって“個人でやる民泊業に、得は無し”なのです。大企業が得をするといっても、ゼロよりもマシだ、というレベルの話ですから、大儲けにはならないでしょうが。




気合いの入った、素晴らしく魅力的な合法ホステルが増えて、そのせいで僕のビジネスが逼迫した場合には「よし、ウチももっとがんばろう!」と思えますし、宿泊業界としてはとてもいいことです。しかし、至極つまらない、いかにもブームに乗りました、で安易に作られた民泊宿が、数だけとんでもないことになって、アホみたいな価格競争が起きて一泊1000円以下とかになって、それによってウチの経営にまで悪影響を及ぼすようになるのだけは、勘弁して欲しいのです。そんなの、みんな一緒に共倒れになるだけで、誰も得しませんよねぇ。


まぁ、くどいのもなんなので、民泊の話題はとりあえずこの辺で、お開きとします。そもそも政府は、暴走する無許可民泊業を、合法化という名目で審査の網にかけたがっているのだという一面は、このブログではあえて無視しました。これまで闇でやっていたチートな者々が、急に政府の言うことを素直に聞くようになるとは、到底思えませんし。あくまで「これから民泊が合法になるかもよ!」と最近知り、「おっ、やってみようか!」となってしまった方々に対して、僕は警笛を鳴らしています。

ここまで読んでも、「それでも俺は民泊業を始める!」と思える意志の強い方には僕は、法律などおかまいなしで法的責任や面倒ごとは登録者に押しつけまくりの海外企業なんかよりも、“とまれる株式会社”さんが展開するSTAY JAPAN ↓↓
https://stayjapan.com/?locale=ja)などのような、合法な民泊宿と共に合法なビジネスをしようとしている実直な日本企業との提携を、強く推薦いたします。



【まとめ】

①「日本では今、宿泊施設が足りていない」は完全にミスリード。よってその誤解から発生している「民泊を解禁しよう」は、そもそもからして、おかしい。
②日本人には、民泊を受け入れられるだけの“異文化に対する許容力”がまだまだ、育っていない。想像を超える面倒が、たくさん起きますよ。
③民泊は今、日本だけでなく、世界的なブーム。しかし現状ですでに、評判はあまり芳しくない。よって、このブームはそう遠くない未来に、必ず下火になりますよ。
④日本の住宅事情では、外国人が満足できるクオリティの民泊宿を作るのは、かなりの困難。「我が家の空いている部屋に泊めちゃおう」レベルではただの、カウチサーフィンです。
⑤それなりに開業資金が必要なのに、収入の平均は、たったの月8万。ビジネスとして、コレっておいしい話ですか?


以上が、民泊合法化に対する、僕の見解です!

ではでは!!




3 件のコメント:

  1. こんにちは、初めまして王炎と申します。

    最近ずっと中園さんのブログを見て色々勉強になりました!私は昔からずっとホステルをやりたいで、どうしても男として自分の事業がほしいです。こういう半端なの気持ちじゃなく、ほんとにやりたいです。もう一つの理由は彼女は日本人で、将来日本で生活するつもりです。もしよければぜひ連絡してください。Facebook:hono yan Wechat:244493097

    ありがとう

    返信削除
  2. コメントを、どうもありがとうございます。しっかりとした自己資金とビジネス観があり、本気でホステル業をやりたいと考える方には、僕は惜しみなくアドバイスをしますよ、というスタンスです。

    ただ王炎さん、facebookで検索させていただいたのですが、なぜか見つかりませんでした・・・。

    返信削除
    返信
    1. ご返信ありがとうございます! 

      返信はこのページしか開かないと見られないので、今日まで見ました。もし良ければ、中園さんのfacebookを教えてくれませんか(電話番号も)?今は海外にいるので、連絡もなかなか難しいです。しかし、6月日本に行くは決まりだが、あの時ぜひ見てみたいです!

      再びありがとう!

      王炎

      削除