2018年4月27日金曜日

アベマTVの番組についてを、ここに清算する!!




どうもです〜。

春ですねぇ。う〜ん、気持ちのいい季節!



宿は22日から昨日26日まで、五日間のお休みをいただき、本日から再開しています。

ちなみに前回、僕は「今月は235泊78%ほどになりそう」と書きましたが、思ったよりも予約に伸びがあり、250泊83%には充分に届きそうです。休み過ぎずにマトモに経営した月の稼働が、80%を越えるのは、一昨年の9月以来ですね。ザ・ハイシーズン! 皆さま、どうもありがとうございます!!


さてさて、僕のこの五日間の休みはといいますと、相変わらず基本は映画鑑賞を楽しんでいたわけですが(レディ・プレイヤー1、最高でした!)、業界内友人との呑みの場も二度ほど
ありました。

その内の一件のお相手は、前々回の記事に書いた、Littele Japan 代表の柚木理雄氏です。その記事でお伝えした通り、先日のアベマTVの番組についての、話をしてきました。それ以外の話題の方が、大半でしたけどね。


ここで、そもそも僕がこの番組から受けたインタビューで、どんな話をしたのかを書きます。以前にfacebookに書いたので、もうお伝えしたつもりでいましたが、このブログではまだでしたね。というわけで、facebookのコピペを(手抜きですみません!笑)。


僕の話は、要約すると


①宿不足なんて、していない。政府発表の数字でも、そう出ている。しかしいまだに、そのおかしな先入観がこびりついたままの日本人が多すぎる。

②何も考えずに分析も市場調査もせずに、参入する者が後を絶たない。その結果、この業界は今やすさまじい飽和状態で、ほとんどの宿が経営難に落ち入っている。

③どこの宿でも、宿主やスタッフは一生懸命に働いている。素晴らしい接客をしているし、どうすればいいのかを、必死に考えている。しかしもはや、努力や工夫でどうにかなるレベルではない。

④何をやってもゲストは来ないので、完全にダンピング合戦になってしまっている。ついに、800円の宿まで出た(都内に)。

⑤2年後のオリンピックまではおそらく、この波は止まらない。このままだと、オリンピック期間ですら激安価格にしないと集客できない、なんてことにもなるだろう。

⑥オリンピックが終われば、一気に淘汰され、バブル期のペンションブームの終焉のようになる可能性を、俺は危惧している。

⑦明日のメシを食うことに精一杯の宿ばかりだってのにさぁ、「ゲストハウスの未来の可能性を・・・」とか、「地域における役割は・・・」とか、そんなんはどうでもいいんだわ。アホくさ。

⑧ゲストハウスとホステル(ドミトリーホテル)は全く違う宿泊のスタイルであると、きっちり分けたい。周知させたい。

です。(コピペ、ここまで)


これは、番組の放送の前、というかウチに撮影が来たその日の内に、柚木くんにも「こんな話をしたぞ〜」的に報告しています。この映像を元に、一方的に論評されるのは気持ちが悪いと思ったので、これらに対する意見を、僕はこの時点で彼から聞いています。

彼とは上記の①〜⑥、つまりは僕の意見というよりも、この業界の現状の客観的な認識については、一致しておりまして。③については、彼は多くの従業員を抱える立場だからか、「努力次第で、まだまだどうにかなるはず!」のスタンスでしたが。

というわけで彼とは、この①〜⑥について、シンプルに言うと「宿は不足していない! しかしガンガン増えまくっていて超ヤバい!!」を番組で強く訴えるという、密約みたいなものを交わしていたわけです。しかしながら僕のこのインタビュー映像は、すでに報告の通り、全カットでした。よってもちろん、これらについてを彼が語るタイミングもなければ、そもそも話題にすら上がらなかったわけです。


まぁ、インタビューの内容が話題に上がらないだけだったならば、僕の怒りはたいしたことはなく。番組では、話の展開が

司会 「ゲストハウスが増えているそうですね」(日本全国で1000軒、10年前の3倍、というフリップ)
柚木氏「いえ、2500〜3000はある、と言われています」
司会 「なぜそんなに増えたのですか?」
柚木氏「資産の運用先にと、建設を促す人たちがいるのです」

司会 「しかし、それでも利益が出ているわけですよね」

・・・で、おしまい。あっさりと次の話題に突入!


番組調べの全国のゲストハウス数が、1000軒!!?
しかも、10年前と比べて3倍だって!!???

こいつら、何にもわかってねぇ!! まともな調査すら、できてねぇ!! 正しくは、3年前と比べて5倍だ!! ベッド数で言えば、10倍超だ!! 爆発的に増え始めたのは、ここ2〜3年の話だ!! この程度の事実認識レベルという時点で、この番組のセンスのなさ、スタッフの無能さが、よくわかります。


それに、柚木氏が発した資産の運用先にと、宿の建設を促す人たちがいる」。これは一連の流れの中で、唯一と言っていいほどの素晴らしく価値のある発信だったにもかかわらず、司会者をはじめ、周りの出演者たちは完全にスルー。そういうディープな部分には、全く切り込まない! なんちゅうショボイ、ジャーナリズム精神だ!!

で、なぜか最後には「それでも利益が出ているから増える」という事実誤認でサラリとマトメ。もはや、呆れを通り越して爆笑のレベルですよ。ほんと、バカばっかり。



・・・というわけで、話を戻しまして。


僕は柚木くんと呑み、いろいろと彼から聞きました。彼の名誉に関わるので、詳細はここには書きませんが。簡潔にまとめると、

・彼も当日、番組の内容を知って、驚いた。こんなん聞いていた話と違う、と憤った。
他の宿々や、彼が企画した業界関連イベントなど、それら全ての取材映像が、カットされていた。
・出演していた女(タコ部屋女)の、一連の無礼な発言はスタッフ曰く、打ち合わせにはないスタンドプレーだったとのこと。
・そもそもは、一週間前に放送の予定だった。しかし延期になり、その間に内容が変えられたようだ。
・なんでそうなってしまったのかは、彼にもわからない。

とのことで。番組スタッフが他にもいろいろ取材に行っていたことや、放送が一週間延期されたことは、もちろん僕も知っていましたけどね。


よって、この番組についてを僕なりにちょっと陰謀論っぽく(笑)まとめると、

①スタッフ(一部のみ?)が長期に渡り取材を重ね、この業界の皆が苦しんでいる現実を知り、それを番組に取り上げようと試みた。
②しかし、それは何者かによって撥ね除けられた。それどころか事実を湾曲し、“宿は不足なんてしていない!飽和している!!”の発信は、隠蔽された。
③その結果、極めて薄っぺらく、業界へのリスペクトの欠片もない、無意味で残念な内容に成り下がった。

ということです。



ここで、再び話は少し戻ります(行ったり来たりで、すみませんです)。実は件のインタビュー撮影にて、僕が唯一、答えに迷った質問がありまして。それは、上記②の「何も考えずに分析も市場調査もせずに、参入する者が後を絶たない」の後に聞かれた、「それは、なぜですか?」です。

少し考えた後、僕は「たった17日間のオリンピックをビジネスチャンスと捉える、バカがいるから」「ゲストハウス業を営むことが、まるでカッコいいことだと勘違いしている、ドリーマーが多いから」と答えました。

この二つの答えは、絞り出すのに難しいものではありませんし、問題の核心でもありません。実は僕は、「ゲストハウスやホステルを“作らせる”ことで、金儲けを企む連中がいるから」・・・と答えようかと迷って、思いとどまったのです。これはまさに、柚木くんの番組内での発信「資産の運用先にと、宿の建設を促す人たちがいる」と一致するわけです。柚木くんには、これには本当に「よく言ってくれた!」と思いましたよ!!



ドリーマーたちは、妄想だけ膨らんでいるがしかし自己資金はゼロ、みたいな人が多いですから(笑)、彼らが実際に開業に至っているケースは、そんなには多くない。そして、自ら能動的にこのビジネスに興味を持ち、「ゲストハウス or ホステルの経営は儲かるはずだ! 儲けよう!!」となった人も、実はそんなに多くないと僕は捉えているのです。


「今は、ホステルが来ていますよ! 」「絶対に儲かります!」「個室なら一室1万円、しかしドミトリーにすればそこに3000円で10人入れて、3万円! 利益が3倍ですよ!!」「 ほらほら、優良な投資先でしょ!?」・・・と、そそのかす連中がいるのです。そして、そんなペラッペラの口車に乗ってしまう、何も考えていない、自分で事実を調べようとしない、愚か者がいるのです。

実は僕にも以前、そのようなケースがありました。全ては開業一年目、ウチがかなり儲かっていた時代の話ですが、「2軒目、やりましょうよ!」「この物件、次の宿にどうでしょう?」といった連絡が、数件来ました(当然、すぐに断りました)。



最近、いろいろな報道番組等で、シェアハウスビジネスの裏側が、まさにこれと似たような実情だった、と暴露されています。とある個人に、億単位の借金を背負わせて、シェアハウス物件を作らせる。契約の際には「毎月〜円の支払いを補償します!」と謳い、「これは絶対に損をしない投資先だ」と刷り込みまくる。しかし全く儲からず、補償されていたはずのリース料もあっさりとストップ。しまいには、契約者(物件オーナー)は莫大な借金だけを背負わされ、放置される。

このシェアハウスの問題は、被害を受けた物件オーナーたちが全国で結託し、現在、集団訴訟になっています。その数800人、計1500億円の被害額だそうです。契約における説得材料だった「今、いかにシェアハウスビジネスが儲かっているか」の資料のデータが、ウソだらけのものだったそうで。さて、訴訟はどうなるか。



シェアハウスにしろ、ホステル or ゲストハウスにしろ、“経営する”のではなく、“作る”ことで儲かる者、儲かる団体や業界がどこであるのかは、これを読む皆さんは言わなくてもわかると思いますので、あえてここには書きません。とにかく、「今は宿不足!」とか「オリンピックはビジネスチャンス!」とか、そんなウソまみれの、ある意味では洗脳のような刷り込みが今でもしぶとく尽きないのは、

「それによって、儲かる者がいるから」

です!!!



もしかしたら件の番組も、これらの団体や業界から怒られないように、忖度しちゃったんですかねぇ(笑)? さすがはキャッチコピーが、「オトナの事情をスルーする」「真実をお伝えします」なだけは、ありますね(皮肉たっぷりに)!!


(※この記事における、アベマTVの番組への発信や見解は、あくまで僕の個人的なものであり、柚木理雄氏は関係ありません。)





3 件のコメント:

  1. そもそも事業分析が出来る人はすごく少ないですよ、たぶん。学校でも、会社でも、実務レベルで教わる機会は普通ないですし。

    かぼちゃの件も、拓朗さんが公開しているように、募集サイトで競合のスペックや募集価格・稼働率情報をボトムアップで調査すれば、躊躇したはずですけど。、普通はそこまでやらない気がします。

    番組制作側も「本当に市場が飽和している」と結論づけるデータが取れなかったのではないでしょうか。ご期待の趣旨で報道されるのは、カボチャなみに破綻者が続出してからかもしれませんね。

    ところで、おっしゃってるところの「ゲストハウス」は
    確かにそういう分け方もありかも・・とは思いますが、実際には私はホステルと区別して予約したことなかったです。サイトの検索とかで区別して探せるものでしょうか?

    私は宿はおおむね立地または価格または途中であった人からの口コミで選んで、たまたまたどり着いたところがゲストハウスだったという感じでした。特に思い出に残っているのは

    リマの江田イン、ブエノスアイレスの上野山荘、イースター島のハレカポネ、ビシュケクの南旅館とか・・

    あれ、全部日本人宿ですね(笑)西洋人からの口コミだと、普通はホステルにたどり着いてた気がします。

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    1. >そもそも事業分析が出来る人はすごく少ない

      おっしゃる通りです。しかし、億単位の借金を背負わされる状況で、能動的な調査なりをする人がここまでいないというのは、「なるほど、そりゃあ詐欺大国になるわな」という感想です(笑)。


      >番組制作側も「本当に市場が飽和している」と結論づけるデータが取れなかったのでは

      これもその通りなのですが、番組は逆に「利益が出ている」を、データもなく発信しており。全国に1000軒やら、10年で3倍やら、誰が調べたのか知りませんが間違いだらけで。撮影に来たスタッフからは、「現実を伝えよう」という使命感のようなものが感じられたんですけどね。「飽和している」が報じられなかったことよりも、「聞いていた話と全然違う」ことに対する、僕の憤りです。


      >「ゲストハウス」は
      確かにそういう分け方もありかも・・とは思いますが

      僕が勝手にゲストハウスの定義を明確にしたがるのは、そもそもウチに来るゲストがよく言っている「日本のホステルはドミトリーなだけで、実質はホテルだ」から来ています。僕も世界中&日本中のホステルに泊まった経験がありますが、たしかに日本のホステルの多くは、ドミトリーのホテルです。

      もはやそのギャップはどうにもならないので、彼らがホステルに対して期待する環境を持つ宿を、日本では“ゲストハウス”という括りにして、「僕らはそっちを目指していますよ!」と訴えたいということです。別に、ホステル(ドミトリーホテル)を否定するようなものではなく。

      要は単に、集客戦略ですよ(笑)。同じく“ゲストハウス”な宿々とは、連携を深めているところです。


      ヨシケイさんもゴリゴリのバッパーなんですねぇ(喜)。南米とか、滞在先はけっこう僕と被っていそうです。

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  2. >詐欺大国
    いや、ホントおっしゃる通りです(笑)

    >ゲストハウスの定義
    ドミトリーホテル、なるほどです。分類の意図が明確になりました。とても参考になります。

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