2016年3月31日木曜日

ホステルスタッフに、向いている人・いない人。


東京都の桜の開花宣言があってから、すでにもう十日。ずいぶんのんびりとでしたが、やっと今日あたり、満開のようですね〜。“日本のベストシーズンは、桜の季節!”が外国人にも知られるようになったおかげか、YAWP! backpackersもここしばらく、ずっとフルです。そのままの勢いで、4月もすでに、ほとんどがフルです。どうも、ありがとうございます。




さて今回は、ホステルを経営するにあたり、というよりも、ホステルのスタッフになりたい方々に宛てるイメージで、文を書きます。



僕のところにホステルの起業相談に来る方々の多くからは、「トラブルとかありますか?」という質問をよく受けると、以前このブログに書きましたが、同じくよく受ける質問に、「英語ができないと厳しいですか?」というのがあります。

僕のその質問に対する応えは、明確です。「厳しいですよ」です。“英語を話せる”は、ベター条件ではないです。もはや、マストです。これは僕の主観だけでの話ではありません。ほとんどのホステルが、スタッフ求人要項には、“英語を話せる方”や“英語力必須”といった要件を入れています。


ホステルのスタッフって、いわゆる“労働内容”としては、ゲストのイン・アウト対応とお掃除がメインなのは間違いないですが、もう一つ、非常に重要なタスクがあります。“ゲストのストレスを減らし、安心感をあたえる”ということです。ゲストにとって、言葉が通じない環境というのは、もちろんストレスです。街ではいいんですよ。例えば原宿の靴屋で英語が全く通じなくても、値段さえわかれば、買い物には特に支障はない。試着したい、等の要望も、ジェスチャーだけで充分に伝わります。その程度のストレスであれば、一瞬で消えます。


対してホステルというのは、ゲストにとってはノンストレスでいたい場所。彼らは当然、リラックス空間を求めているわけです。短期間ながらも、そこで生活するわけですから、「試着したい」程度では済まない、いろいろな質問や要望が発生します。それが伝わらない、英語がすんなり通じないストレスフルな宿では、ゲストの居心地が良くなるわけがありません。


さらに宿のスタッフというのは、「いざとなったら助けてもらえる」という、期待と信頼を受ける立場でもあります。僕らスタッフは、そのポジションを自覚し、受け入れる必要があります。実際に、数は多くありませんが、ゲストが外でトラブルに巻き込まれ、エマージェンシーな連絡を受ける事はあります。その対応には、もちろん僕は、最善を尽くします。しかしスタッフが英語NGの宿では、「どうしよう!」という内容の電話を受けて、いったい何ができるのでしょう? トラブルの内容を理解できず、もちろん対処法のアドバイスも出来ず、頼りないこと、この上ないですよね。


というわけで、くどくどと書いてしまいましたがとにかく、ホステルのスタッフをやりたいという人は最低限、英語は話せてね、ということです。それどころかむしろ、それだけでは不十分。英語が話せる、だけのスキルでは、ホステルのスタッフとしては全然、物足りないです。




ホステルのスタッフには、“英語を話せる”よりももっと、重要な事があります。性格、メンタルの面です。他者とコミュニケーションをとるにあたり、相手の懐に入り込むことに、積極的かどうかです。


外国人、特に欧米人は、おしゃべりが大好きです。とにかく会話を楽しみます。ほとんど一方通行な、話す:聞くの割合が9:1くらいの外国人も少なからずいて、なかなか大変ですが。とにかく、“会話”というのは、彼らにとっては娯楽なのです。「話しかけないで!」なオーラを放つ外国人なんて、皆無に近いです。


なので、相手が日本人だと「こいつ、ウザいなぁ〜」と思われかねないくらいの積極性の方が、外国人にはちょうどいいのです。スキあらば、どんどん話しかけるべきなのです。僕は、外国人ゲストがお出かけする際には「いってらっしゃ〜い」の前に「どこに行くんだい?」と必ず聞きます。特に急ぎでないゲストとは、それをきっかけに「〜に行くんだけど、オススメの店とかない?」といった会話が始まり、そのまましばらく、くっちゃべったりします。もちろん、すぐに出かけたがっているゲストは、行き先だけ告げてそのまま出ます。

そしてゲストが帰って来たら、僕は「おかえり〜」の後に必ず「〜(街)はどうだった?」と聞きます。たいていのゲストは、嬉しそうに、楽しそうに、「アレがエキサイティングだった!」や「こんなのを見つけて買って来た!」といった話をし始めます。この、“今日の出来事トーク”を嫌がる外国人ゲストは、全くと言っていいほどいません。

彼らは旅の最中なのですから、日本での出来事に一喜一憂していますし、基本的には、その日の出来事を誰かに話したいのです。彼らのその欲求や熱を、いつでもウェルカム状態にしておくというのは、ホステルのスタッフにとってはとても大切なことだと僕は考えます。


外国人ゲストにだって、“空気を読む”という感覚はそれなりにあります。相手が話を聞きたがっているのかどうか、そのアンテナは、ちゃんと立っています。オトナなので、一方的に“聞いて聞いて”を押し付けることはしません。「どうだった?」という一言で、僕が“話を聞かせてよ”のスタンスを見せる事で、彼らはそのスイッチを入れるのです。




この、ちょっとウザいくらいの積極性と、ゲストの“話したい願望”の受け入れ態勢。要は、【聞くために、話しかける】。これを自然にこなせる人は、確実にホステルスタッフに向いています。間違いなく、皆から愛される良きスタッフになります。逆に、たとえ英語を満足に使いこなせようとも、外国人と接することに二の足を踏んでしまうような人や、話かけられるのを待ってしまうような人は、この仕事は全く向いていません。



考えてみたら、これってけっこう、狭き門のような気がします。なんで今回、こんなことを書いたのかというと、最近「ウチで働きたい」と言ってくれる日本の若者がすごく多いもので。要はこれが、僕がスタッフに求める最も重要なことなので、伝えておこうと思ったのです(このブログを読んでいなかったら、意味ないですが)。まずは、そこを理解した上で、若者達にはこの素晴らしきホステル業界に、どんどん飛び込んで来て欲しいと思います。




2016年3月23日水曜日

オープン1周年!!!


YAWP! の3月は、9日まではゲスト数3〜5人の間を彷徨い、なかなか寂しい日々だったのですが、10日に一気にゲストが増えて以降は、ほとんど毎日がフルで、楽しく賑わっております。



今日は3月23日。オープンしてから、ぴったりちょうど一年です。

この場を借りまして、この一年の間にYAWP!backpackersに関わってくださった方々、泊まっていただいたゲストのみなさまに、あらためてお礼を申し上げます。本当に、ありがとうございます。

以前にこのブログで宣言した通り、僕は特別なイベントのようなものを開催する予定はありませんが、昨晩はゲストとカラオケで盛り上がりました。今夜もゲスト達と宿で記念パーティで、明日も宿でパーティ。たまたまこのタイミングで来泊してくれたゲストは、毎日がパーティーナイトで、ビックリかもしれませんが。まぁ、年に一度くらいは、そんな時期があってもいいと思います。2〜3人は、三日間全部参加するっぽいです(笑)。





さてさて今回は、“なんか、すごいことになってる!”という話です。



このブログは、YAWP! backpackersのオープンよりだいぶ前、2014年7月からスタートしました。葛飾区高砂にある、ビルを購入した直後からです。

それから半年強、オープンの2015年3月までは、僕は「ブログやってまっせ」を公にはしていませんでした。よって当然、閲覧数は雀の涙。一日あたり1とか2とか、そんな寂しい数でした。

そして3月に、宿のホームページを立ち上げ、それと同時にこのブログの存在を公表し、少しは知られるようになったわけなのですが、それでも閲覧数は多くてもせいぜい20とか、その程度だったのです。


・・・それが、年末だったか年始だったか忘れましたが、二〜三ヵ月前のとある日になんとなくブログ閲覧数をクリックしてみたところ、なぜかいきなり爆発的に増えていたのです。一日100が当たり前のようになっており、日によっては200を越えている。僕は週に一度くらいは常に確認していましたし、明らかに“じわじわ増えた”ではなく。確実に、いきなりドカンと増えていたのです。


というわけで、前述の“なんか、すごいことになってる”の“なんか”とは、このブログの閲覧数のことなのでした。



それに初めて気付いた時は、僕には喜びの感情は全く起きず、正直「キモチわるっ!!」と思ったんですよね。いきなり5倍に増えるなんて、あきらかにおかしい。僕の気付かないうちに、よくわからない何かが起きたのかと・・・。

しかし僕の性格的には、そこからの連鎖で「なんでだろう?」の追求欲が発生するのは自然の流れでして。その日から“なんで急に増えたのか研究”が始まりまして。



その結果、けっこう簡単に辿り着いた結論は、

①このブログは、昨年8月8日の記事「ホステル(ゲストハウス)経営って、儲かるの?」だけが、断トツで閲覧数が多い。

②YahooやGoogleで“ゲストハウス”と検索すると、“ゲストハウス 経営”と予測キーワードが一番上に出て来る。

③“ゲストハウス 経営”で検索すると、前述の記事「ホステル(ゲストハウス)経営って、儲かるの?」が検索2位にヒットする。


つまりは、昨年の12月頃から、“ゲストハウス 経営”と検索した人の検索結果には、僕のブログが一発でヒットするようになり、そういう方々が読むようになった、ということなのです。



一日100人といっても、8月8日以外の僕の記事を読んでいる方も多いでしょうし、実際には初めて「ゲストハウス 経営」と検索して僕のブログを見つけ、それを初めて読む人は、半分とかそんなもんでしょう。逆に、何度も同じ記事を読むような人は少ないでしょうから、僕の勝手&テキトウな予想では、毎日50人くらいの日本人が、新規で僕のブログに触れている、と考えられます。過去にこの記事に新規アクセスした総件数(4500件超)を、50で割ると90になり、ちょうど3ヵ月くらいなので、だいたいそれで合っています。

つまり、毎日50人もの日本人が、「ゲストハウスを経営してみたいな」「ゲストハウスって儲かるのかな」といった興味を持ち、検索して僕のブログを見つけ、読んでいるわけです。毎日新規で50人、という数字が多いのか少ないのかは、人によって判断が分かれるかもしれませんが、僕は非常に多いと感じています。


ちなみに、Google のキーワードプランナーで研究すると、この三ヵ月の間に「ゲストハウス 経営」との検索があった数は3600件。検索サイト元はGoogleが約55%でしたので、Yahoo!等も含めた全検索数の推測値は6500。三ヵ月の間に、日本中の6500人が「ゲストハウス 経営」と検索している(その内、新規の4500人が僕のブログを開いた)わけでして、一ヵ月では2000超。もちろん、同じ人が何度も検索するケースを考慮すると、これよりも数は減り、毎日新規で50人(月に1500人)とした先ほどの計算と、似たような結果になります。


そんな、テキトウなくせに長々とやった計算ですが、要は“一ヵ月で1500人もの人々が、ゲストハウス経営に興味を持ちはじめている”ということなのです。日本全体での話とはいえ、それって、多くないですか? “ベッキー”の1700万、“清原”の230万なんかに比べれば、すごく少なく感じますが(笑)。




「俺のブログ、最近めっちゃ読まれてるぜ、やったぜウヒョ〜!!」という話では、もちろんないですよ(笑)。むしろ僕は、責任を感じています。なぜならおそらく、僕のブログを読んで「なんだ、ゲストハウス経営って厳しいんだ。ビジネスとしては魅力的じゃないね」と知り、手を引いた方が、それなりに多くいると思うのです。自意識過剰かもしれませんが、実際にウチに起業のアドバイスを求めに来る方々からも、そういったことをよく言われます。


まぁ、資金力も経営戦略もなく、ファンタジーレベルで「ゲストハウスやりたい!」になってしまっている方々には、業界の現実を伝えるのは悪くないと考えますが。しかし、ちゃんと資金があり、本気でやる気のある方々の、そのパッションを僕は決して削ぎたくありません。



というわけで、以前にこのブログに書いた“そろそろネクストステップの行動を起こそうか”というのは、そんな“本気でやりたい、資金もある人”を巻き込むものです。地方はまだしも、東京に新しくオープンするホステルはここのところ、企業が経営する大規模なものばかり。僕にはそれが、すごくつまらない。個人が経営する、個性的な小〜中規模のホステルの開業が、もっとあったほうが絶対に面白い。業界全体の活性化のためにも、確実に良い。


といっても僕は別に、起業や経営のコンサルをしたいわけではありませんよ(ショーンTとかに改名したりして笑)。むしろ、ゲストハウス開業のセミナーに参加したり、コンサルタントを雇うといった行動は、時間とお金のムダでしかないと考えます。最近はそんなのが日本中に大量発生していて、ウンザリです。ウチに来ていただければ、僕はいくらでも無料でアドバイスしますよ。そのビジョンがファンタジーだと僕が捉えれば、バッサリ切り捨ててしまうこともありますが。



とにかく僕は、、ゲストハウス経営を夢見る方々に対して、今まではその芽を摘んでしまってばかりいたわけなのですが、今後はその夢を叶えるサポート体制も、整えて行きたいと考えているということです。


まぁ僕の性格上、相変わらずマイペースでのんびりな進捗具合ですけどね。プロジェクトの骨格がまとまりましたら、このブログ上でまた報告します!!



2016年3月2日水曜日

データで紐解く!③


3月に突入!! まずは、いつもの月初めデータ公表です!!



【YAWP!来泊ゲスト国籍 ベスト10(4〜2月:計666名)】

 ①アメリカ      96名(+10)
 オーストラリア   78 (+5)
 ③日本        68 (+5)
 ④イギリス      67 (+8)
 ⑤カナダ       59 (+6)
↑⑥ドイツ       32 (+6)
↓⑦台湾        31 (+1) 
 ⑧ニュージーランド  26 (+2)
 ⑨フランス      18 (±0)
↑⑩韓国        15 (+4)



【新規ゲスト数(泊数:滞在日数平均:稼働率)の月別まとめ】

4月:22(81 :3.68:22%)
5月:28(132:4.71:35%)
6月:11(60 :5.45:17%)
7月:65(205:3.15:59%)
8月:98(312:3.18:93%)
9月:79(278:3.52:93%)
10月:91(253:2.78:94%)
11月:74(227:3.07:84%)
12月:84(229:2.73:82%)
1月:59(198:3.36:73%)
2月:55(194:3.53:78%)
計:666(2169:3.26:66%)



げげっ、総ゲスト数が666になっちゃいましたよ! しかも全体稼働率まで66%!

なんて不吉な・・・。


2月は合計泊数は1月よりも少なかったのですが、営業日数も二日少なかったので、稼働率は1月を上回りました。しかし前回の記事にも書きましたが、2月は1〜14日の14日間が143泊(稼働102%)、19〜29日の11日間が51泊(稼働46%)で、お休み期間の前と後では入りが大きく違ったのでした。

そしてここ最近、長期泊のゲストが多いなぁ〜とはなんとなく感じていたのですが、やっぱりその通りで、滞在日数平均はかなり高めでした。しかも、二度の長期滞在をしてくれたゲストも多く、いつも以上にたくさんのゲストと仲良くなれて、すこぶるエンジョイな一ヵ月間でした。

あとは、韓国人ゲストがようやく国籍ダービーのトップ10入りしてくれたのが、個人的にはとても嬉しいです。なんせ8月までは、一人もいませんでしたからねぇ・・・。




さて、タイトルにもありますように、今回は久しぶりの“データで紐解く!”です。といっても僕は、ゲスト国籍や泊数や稼働率の統計は、ずっと公開し続けております。そしてそれ以外の、以前調べていたゲストの男女比なんかのデータは、もう残しておりません。

では、なんのデータを調べるのかといいますと、それは、“ウチの強みは何なのだろう”の分析です。以前、「ウチはどこよりも家具にこだわってるぜっ!」・・という内容の記事を書きましたが、あくまでそれは僕の主観ベースのアピールだったもので。客観的に、YAWP! backpackersが来泊ゲストからは、どのように評価されているのか、今回はそこを分析してみようと思います。


といってもウチは相変わらず、HOSTELWORLDさんにしか情報を載せていません。よって評価の分析も、HOSTELWORLDさんにゲストが書いてくれたレビューからでしか、判断のしようがありません。


というわけで、本日(3月2日)時点での、HOSTELWORLDさんに載っているホステル(ゲストハウス)のレビュー%の詳細をまとめましたので、ここに添付します。全部載せるのはさすがに無理なので、レビュー件数が10以上で総合評価が90%以上の宿のみを、記載しています。







これを見てすぐにわかる東京のホステル事情は、まずはカオサン東京歌舞伎さんの評価が頭一つ抜けているということ。総合評価が90〜93%の宿はダンゴ状態ですが、カオサン歌舞伎さんだけが96%。いやはや、相変わらず素晴らしいですね。尊敬します!


そして、都内のホステルの項目別評価平均を見てみますと、都内ホステルの全体的な評価は、特に“立地”と“雰囲気”が低いのがよくわかります。逆に、“スタッフ”と“清潔さ”の評価は、ほとんど全ての宿で、とにかく高いです。


“立地”の評価が低い理由は、はっきりしています。一つは東京が巨大すぎる都市だということ。そして、新宿や渋谷が東京の中心だと思い込んでいる外国人ゲストが多すぎるということ。よって、昨年末に新宿にできた Imano Tokyo Hostel さんはさすがの93%ですが、都内の東部、主に浅草近辺にあるたくさんのホステルの立地への評価は、軒並み90%にすらとどいていません。

“スタッフ”と“清潔さ”に対する高評価は、そこはまぁ、日本の宿ですからねぇ。スタッフがヘルプフルでフレンドリー&宿がキレイなのは、もはや当たり前だということです。ウチに開業の相談に来ていた方々も、みなさん揃って“いい人”な上に真面目そうでしたが、そんなのはマストレベルの話なので、宿業ビジネスを勝ち抜く上での利点にはなりえません。あ、僕は決して真面目ではないか・・・(掃除はちゃんとやっていますよ)。




では、レビュー評価からみるウチの通信簿はどうかといいますと、

◯:価格・スタッフ・雰囲気
△:セキュリティー・清潔さ・施設
×:立地

という判断ができると思います。


ここで、僕が特に注目したいのは◯の3つの中にある、“雰囲気”です。この“雰囲気”、上記の表のとおり、全ホステル平均では82.6%と、全項目の中で一番、評価が低い。しかしYAWPは、95%という、東京都内全ホステルの中で最高の評価をいただいております。


しかしこの、“雰囲気”の高評価の理由だけが、いまいち判然としないんですよ。上記の通り、ウチの最大の強みは、おそらくこの“雰囲気”なのです。ウチは他と比べて、特に“雰囲気”に魅力があると、明らかにそう評価されているのです。



いったいなんなのでしょう、この“雰囲気”という、ファジーな表現の評価項目。ゲストがみんな仲良しで、いつもみんなで盛り上がる楽しい宿、というところはたしかに雰囲気のいい宿と言えそうですが、ブッチャケそれって、宿側の努力だけでどうにかなる問題ではないような・・。ウチも、基本的には明るく愉快なゲスト達が楽しそうに過ごしている宿ではありますが、それがいつも確実に、というわけではありません。たまたま皆でワイワイ好きのゲストが少なく、みんな自分のベッドにこもってしまい、リビングルームはすっからかん。そんな時だってもちろんあります。


よって僕は結局のところ、この“雰囲気”というのはすなわち、“カッコよさ”だと捉えることにしました。自分の宿を「カッコいい」と言うなんて、思いっきりナルシストな感じでキモチ悪いのですが。しかし僕にとっては、YAWP!backpackersというのは単に“自己満足”な世界で、あくまでも主観的な「カッコいい」の場。そもそも僕は他者から見た「カッコいい」の評価など全く期待せず、意識することもなかったのですが。しかし、ウチに泊まったゲストの多くから、「写真を見て、一番クールだと思ったからここを選んだ」といったことをこの一年間、たくさん言われまして。よってじわじわと、「なにやらカッコいいと思われてるっぽいぞ」と自覚するようになった、ということです。


そしてこの、他者からも「カッコいい」と思われる空間、これを作りあげたのはハッキリ言いまして、僕ではありません。おそらく、僕がすべてを自分で、好き勝手にやっていたとしたら、本当に自己満足でマイワールドな宿が出来上がっていたと思います。


僕にあったのは、全体的なイメージと、色彩感覚。あとは細かいアイディアがいろいろ浮かんでいただけです。それを具現化したのは、僕ではなく、建築家さんなのです。僕の自己満足な「カッコいい」を、「他者から見てもカッコいい空間」に昇華させてくれたのは、まぎれもなく彼なのです。そして、それを忠実に作り上げてくれた、工務店のみなさんのおかげなのです。



というわけで、僕が何を言いたいのかといいますと、「やっぱりプロに頼んでよかった!」ということです。セルフリノベーションで、極力出費を抑えて、自分(+仲間たち)の力で完成させたい、というゲストハウス開業希望者は今、すごく多いのですが、僕は全くもってそれをおススメしません。そもそも、費用面でもそんなに大きく違うわけではありません。セルフで100万、プロに頼むと1000万、とかいうならセルフにしたくなる気持ちも理解できますが、セルフでも確実に500万はかかります。500万で自己満足レベルな世界を作るより、たとえ1000万でもプロを交えてのクオリティの高い世界を作る方が、結果的には確実に得をすると、僕は考えます。


まぁ、都内にはセルフリノベーションでオープンした宿は、今のところは数えるほどしかありませんが。その中で、僕が心からステキな宿だなぁと思えるのは、東京ひかりゲストハウスさんしかありません(上記の表にないのは、東京ひかりさんはHOSTELWORLDに登録をしていないからです)。しかし彼らはアートのバックボーンがあってのリノベーションなので、スキルのレベルはプロフェッショナルです。プロだから、セルフでも成立するのです。完全な素人で、全くスキルを磨いていない者が、「できるだけ安く!」のためにいきなり工務にチャレンジしてみても、プロの仕事に敵うはずがありません。



というわけで今回は、

どうやらゲストから、ウチはカッコいい宿だと思われている。
ウチの一番の強みは、“雰囲気”である。
それは確実に、建築家さんや工務店さんによるプロの仕事のおかげなのだ。

という話でした。
それをまぁ、一言で言うと、「ケチらなくてよかった!」になるでしょうか(笑)



開業に向けての工事が終わり、ちょうど一年。立ち上げに関わっていただいた皆さま、YAWP! backpackersは、おかげ様で今日も元気に楽しく営業できておりますよ!!






2016年2月25日木曜日

夜明け前が、一番暗い!


春が近づいてきましたね。僕は15日〜18日の四日間にお休みをいただき、だいぶリフレッシュできました。次回のお休みは3月末の予定なので、再び40日ほどのブッ続け労働となりますが。ぐぁ〜。がんばろう。


しかし宿は19日から再開したものの、この一週間の宿泊ゲストは、実はあまりいませんでして。この一週間どころか、3月10日頃までは、平日は毎日ゲスト数3〜5人の間を彷徨いそうな感じです。2月前半は、稼働率が100%に近かったんですけどねぇ。19〜29日がヒドい有り様なので結局、月の稼働率は80%を下回るかもしれません・・・。まぁ、3月中旬以降はすでに予約フルの日が多発しておりまして、ヒマなのはあと二週間だけ。今はローシーズンの出口の装い、いわゆる“夜明け前が一番暗い”ってやつですね(ちょっとカッコつけてみました)。




さて、話は変わりますが、今日は2月25日。我がYAWP!backpackersは、昨年の3月23日にオープンいたしましたので、あと一ヵ月もすれば、一周年を迎えることになります。


無事に一周年を迎えられるのはもちろん、ハッピーなことです。よって、この一年の間にお世話になったたくさんの方々や、泊まってくれたゲストたちのために、3月末に何かしら一周年記念イベントのようなことをやろうかと、いろいろ考えました。


いろいろ考えましたが・・・、結論としては、何もやりません!! その日、たまたま泊まってくれたゲストたちには「一周年だぜぇ」を伝え、いつも以上に気持ちよく飲みたいとは思っておりますが。宿を閉めて、ゲスト以外の方々を招いて何かをする、といったスタイルでの企画の予定は、全くありません!!!


そもそもウチは、イベント好きな宿ではないです。ウチはというか、僕(オーナー)がそういうのに全く積極的ではないです。他の宿では、地域交流パーティーをしたりジャズライブをしたりワークショップをしたりと、企画が豊富なところも多いようですが。僕は、泊まってくれたゲストとは毎日のように飲んでいますが、ゲスト以外の方を招いて何かでワイワイと盛り上がる、というキャラは基本的に持ち合わせていないのです。



ただ昨年、オープン記念に開催した“サーメルを囲む会”、あれは最高に楽しかったので、あんな感じの企画は、いつかまたやりたいなぁ〜と考えております。サーメルご一家と、また会いたいですし。サーメル以外にも、日本人バックパッカー界によく知られている方(すでに何人かとは、連絡を取り合っています)が来日した際には、ウチに招待し、縁のあるバックパッカーをたくさん集めて、みんなで同窓会のようなことをしたいと思います。


もちろん世界には、サーメルのような有名人(inバックパッカー界)で、僕が知らない、僕が会っていない方もたくさんいるはずです。また、僕も会っているけど、現状、僕には連絡をとりようがない人もたくさんいます。

なので、これを読んでいるバックパッカーの方で、海外在住のどなたかとkeep on touchしており、「今度来日するってよ!」「みんな会いたがるだろうばよ!」な状況がもしありましたら、ぜひご連絡をいただけましたら嬉しく思います。


そういったイベントが今後開催された際には、バックパッカー以外の方の来客も僕はもちろんwelcomeです。ウチはとりわけバックパッカー臭が強めの、日本一の“沈没宿”を目指していますが、バックパッカーのみが集まるような閉鎖的な空間を求めているわけではありませんので。



というわけで今回は、“もうすぐ一周年だけれど、ウチは特には何もしません”の宣言を、ダラダラと書いただけなのでした。



一周年に合わせてのイベントはやりませんが、YAWP!backpackersはこの一年、おかげさまで順調に余裕を持って経営ができておりますので、そろそろネクストステップの行動を起こそうかとは考えています。「2店舗目!」とか、そういう話では全くないのですが(笑)。


ファミコンソフト、いっぱいあります





2016年2月13日土曜日

個人経営の民泊業に、得は無し!!


むぅ〜ん・・・疲れてます。ローシーズンの2月は、ゲスト数がそこそこでのノンビリ経営になると予想していたのですが。毎日メッチャ混んでいます。中国の春節の影響でしょうかねぇ。中国人ゲストは、相変わらずウチには全く来ませんが。あ、もちろん、ゲストがたくさん来てくれるのは、僕はありがたく思っていますよ。しかし1月8日からブッ続けの休日ゼロで働いていまして、正直ちょっと限界気味なので、来週15日〜18日は宿を閉めて休んじゃいます。なんだかテンションの低い書き出しで、すみませんです。




さてさて、前回の宣言通りに、今回はビジネス的な視点での民泊の話を書こうと思います。


先日、とある情報系テレビ番組で、民泊についてのレクチャーをしているのをたまたま観まして。そこでは大田区で「これから民泊宿を開きます!」という年配の方が紹介されていたのですが、いろいろツッコミどころが満載でした。ちなみに大田区では先月末に、東京都内で初めての、民泊条例を施行しています(もちろん何でもアリではなく、細かい条件付きです)。


その年配の方は番組で、民泊用に改装したというお部屋を、自信たっぷりに紹介してくれていました。戦国時代の殿様の屋敷をイメージしたとかなんとかで、壁一面には金箔が貼られ、宮大工に彫刻を依頼し、値の張りそうな掛け軸や仏像等もスタンバイ。占めて総額、1000万円だそうです。


「えぇ!? こんな・・・たったの一部屋に、1000万っすか・・・?」と僕は、その番組を見ながら目をパチクリさせましたよ。完全に余計なお世話ですが、その部屋でこれから民泊のビジネスをやるとして、何年かけてその1000万をペイするつもりなのでしょうか。前回、僕は民泊には「部屋とベッドを用意していますよ、以上の価値が必要」と書きました。金箔だらけのギラギラ部屋は、たしかに付加価値はあると言えるかもしれませんが、「泊まってみたい!」よりも「うぉっ、居心地、超悪そうだな・・」になりませんかねぇ、コレ。



民泊とは、とりあえず日本では今のところ二アリーイコールAirbnbとして、Airbnbが公表しているデータをここに書きますが、

2014年7月〜2015年6月(一年間)
東京で利用したゲスト数:25万人
ゲスト平均泊数:3.8泊
東京のホスト数:2470
平均収入:957000円

とのことでして。

これを年→月に換算すると、
都内総ゲスト数:約2万人
ホスト平均収入:約8万円

になります。

ざっくりな検算として、月に2万人ゲストがいて、それを2000軒の宿で割ると、月のウェルカム数は10人。一人は3.8泊だとのことなので、合計38泊。価格平均を一泊2000円とすると、38×2000=7.6万で、ちゃんと8万円に近くなったので、この数字に違和感はありません。



一方、東京都内のホステル事情はというと、こちらはきちんとした資料がないため、あくまで僕の感覚で計算した推測値なのですが、

月の総ゲスト数:3万人
ゲスト平均泊数:3泊
宿数:80
平均価格:2700円

あたりだろうと思われます。

そこから宿あたりの月の収入を計算すると、

月のウェルカム数375人、合計泊数1125泊で、1125×2700≒300万円となります。

もちろん、ウチのような小さな宿では、月の収入はどんなによくてもせいぜい100万。逆に床数100を越える巨大宿なんかでは、500万を優に越えるわけで、一概には言えませんが。

さらに、基本的には個人で経営する民泊と違い、ホステルはスタッフを雇うわけで、そして光熱費等にも差があるわけで、そういった支出の面でも大きく違いますが。


しかし、

民泊は一軒あたり   月8万
ホステルは一軒あたり 月300万

なわけでして。あくまで平均値ですが、それくらいに収入面での大きな差があるのです。



「いやいや民泊ってのは、副業でやるものでしょ」と思う方がいるかもしれませんね。たしかにそうです。たかだか月収8万のビジネスが、本業になりえるわけがありません。


しかし、民泊宿を開くのにも、当たり前ですが資金がいるんですよ。前述のテレビ番組での、年配の方が費やしたという1000万はさすがに行き過ぎですが、民泊用の部屋を準備するにあたり、リネンや家具、家電、消防機器を一通り揃えるだけでも、100〜200万はかかると思われます。しかも、それだけでは“必要最低限の設備しかない宿”です。内装をこだわったり、トイレやシャワーを増設したりすれば、投資額は200万を軽く越えるかもしれません。

にもかかわらず、そんなにお金をかけても、現状ですでに2500軒ものライバルがいるのですよ(都内だけで)。それらライバルたちを蹴落とし、平均値の月8万をはるかに越える収入を得ることは、簡単なことじゃあないです。本気で民泊業に取り組んでいる人の中には、月に100万稼ぐなんていうケースもあるのでしょうが、そんなのはよくても100人に1人とか、宝くじみたいなレベルの話でしょう。もちろん、開業資金をケチればケチるほど、勝ち残りの可能性は下がります。


要は、経営者(いちおう)である僕から見て、初期投資額がウン百万で月収平均が8万のビジネスなんて、ハッキリ言いまして、ショボすぎるわけです。民泊というのは、

開業時にお金をかけない→儲けがほとんどない
もしくは
開業時にお金をかけまくる→そこそこ儲かるが元を取れるのは果てしなく先

となるのが関の山のビジネスなのです。副業とはいえ、おいしくないにも、ほどがある。以前、週刊S◯A!(いちおう伏せておきます)で「この副業が儲かる!」的な企画があり、バッチリ民泊が紹介されていましたけどね。初期投資額や、平均値データ等の、ネガティブ情報は一切無しの、残念な記事でした。



その上で、民泊というのはこれまでに僕が書いてきた通り、

近隣住民からは歓迎されず厄介者扱い。
大小さまざまなトラブルが起きる。
いつブームが去るかは不透明。
法整備等が、これからどうなるかも不透明。


・・・そんなデメリット過多なビジネスの、どこに旨味があるのかなぁ。僕にはサッパリわかりません。資金が1000万円もあるのなら、普通に簡易宿所の営業許可を取って、正規のホステルを開いて、ガッツリとビジネスをすればいいじゃないですか。月収入平均300万のビジネスと8万のビジネスを比べて、8万の方を選ぶというのは、「どうかしてるぜ!」と僕は思うわけです。



まぁこれはあくまで、「“個人で”民泊を始めることに、利点はまったくない」という話です。これから民泊が合法化に向かえば、不動産関係の大手企業(アパ◯ンショップ等)が、一斉に参入してきます。ずっと売れていない家や、借り手のいない部屋などを、一気に民泊として活用し出します。そのまま放り続けて1円も生まない状況よりは、確実にマシですからね。民泊業界への参入を表明している企業は、すでにたくさんあります。


要は結局、得をするのは大企業だけなのです。冷静に分析すれば、どう考えたって“個人でやる民泊業に、得は無し”なのです。大企業が得をするといっても、ゼロよりもマシだ、というレベルの話ですから、大儲けにはならないでしょうが。




気合いの入った、素晴らしく魅力的な合法ホステルが増えて、そのせいで僕のビジネスが逼迫した場合には「よし、ウチももっとがんばろう!」と思えますし、宿泊業界としてはとてもいいことです。しかし、至極つまらない、いかにもブームに乗りました、で安易に作られた民泊宿が、数だけとんでもないことになって、アホみたいな価格競争が起きて一泊1000円以下とかになって、それによってウチの経営にまで悪影響を及ぼすようになるのだけは、勘弁して欲しいのです。そんなの、みんな一緒に共倒れになるだけで、誰も得しませんよねぇ。


まぁ、くどいのもなんなので、民泊の話題はとりあえずこの辺で、お開きとします。そもそも政府は、暴走する無許可民泊業を、合法化という名目で審査の網にかけたがっているのだという一面は、このブログではあえて無視しました。これまで闇でやっていたチートな者々が、急に政府の言うことを素直に聞くようになるとは、到底思えませんし。あくまで「これから民泊が合法になるかもよ!」と最近知り、「おっ、やってみようか!」となってしまった方々に対して、僕は警笛を鳴らしています。

ここまで読んでも、「それでも俺は民泊業を始める!」と思える意志の強い方には僕は、法律などおかまいなしで法的責任や面倒ごとは登録者に押しつけまくりの海外企業なんかよりも、“とまれる株式会社”さんが展開するSTAY JAPAN ↓↓
https://stayjapan.com/?locale=ja)などのような、合法な民泊宿と共に合法なビジネスをしようとしている実直な日本企業との提携を、強く推薦いたします。



【まとめ】

①「日本では今、宿泊施設が足りていない」は完全にミスリード。よってその誤解から発生している「民泊を解禁しよう」は、そもそもからして、おかしい。
②日本人には、民泊を受け入れられるだけの“異文化に対する許容力”がまだまだ、育っていない。想像を超える面倒が、たくさん起きますよ。
③民泊は今、日本だけでなく、世界的なブーム。しかし現状ですでに、評判はあまり芳しくない。よって、このブームはそう遠くない未来に、必ず下火になりますよ。
④日本の住宅事情では、外国人が満足できるクオリティの民泊宿を作るのは、かなりの困難。「我が家の空いている部屋に泊めちゃおう」レベルではただの、カウチサーフィンです。
⑤それなりに開業資金が必要なのに、収入の平均は、たったの月8万。ビジネスとして、コレっておいしい話ですか?


以上が、民泊合法化に対する、僕の見解です!

ではでは!!




2016年2月6日土曜日

日本に民泊は向いていない!!


月初めなので、まずはいつものバカ正直データ公表をします(笑)!



【YAWP!来泊ゲスト国籍 ベスト10(4〜1月:計611名)】

 ①アメリカ      86名(+12)
 ②オーストラリア   73 (+8)
 ③日本        63 (+5)
 ④イギリス      59 (+4)
 ⑤カナダ       53 (+9)
↑⑥台湾        30 (+7) 
↓⑦ドイツ       26 (+2)
↓⑧ニュージーランド  24 (±0)
 ⑨フランス      18 (±0)
 ⑩スペイン      14 (+1)


【新規ゲスト数(泊数:滞在日数平均:稼働率)の月別まとめ】

4月:22(81 :3.68:22%)
5月:28(132:4.71:35%)
6月:11(60 :5.45:17%)
7月:65(205:3.15:59%)
8月:98(312:3.18:93%)
9月:79(278:3.52:93%)
10月:91(253:2.78:94%)
11月:74(227:3.07:84%)
12月:84(229:2.73:82%)
1月:59(198:3.36:73%)
計:611(1975:3.23:65%)


ぐぁっっ、ついに合計滞在泊数、1月は200を下回っちゃいましたよ・・・。個人的には、ローシーズン(12〜2月)は目標値を「新規60名」「泊数200」「稼働70%」に設定していますので、微妙に届かずの「新規59」「泊数198」は、なんだかモヤモヤしますね。年始に休みを、とり過ぎたかなぁ・・・。

しかしまぁ、今月(2月)は今のところ連日のフルですし、3月以降の予約もすでにたくさんいただいていますしで、僕は全然ヘコたれていません。そもそもウチは、稼働50%で利益が生まれるオペレーションですので、70%でも経営的にはOKです。とりあえずこの1月は、ローシーズンはローシーズンらしく、そこそこの利益になっちまうんだなぁ〜、という確認が出来てよかったです。今年はあえて何も対策を講じませんでしたが、来年以降の、シーズン戦略は充分に考察できましたし。





さて、話は大きく変わりまして、前回・前々回と同様に、民泊についての僕の見解をこれから書こうと思います。



前回、僕は「民泊というシステムが日本の環境には合わない」理由の一つとして、「日本人には、民泊を受け入れられるだけの“異文化に対する許容力”がない」と書きました。今回は、もう一つの“合わない理由”を記します。日本では、今のところ民泊とAirbnbはニアリーイコールだと思いますので、これから僕が言う「民泊」とは「Airbnb」のことだと捉えていただいてもかまいません。


以前、たしか昨年の9月頃でしたが、とあるフランス人ゲストがウチにチェックインした際に、とても印象深い一言がありました。そのゲストは、ウチに宿泊する一日前まで、都内で民泊を利用していたのですが、彼は

「日本の民泊のレベルの低さには、本当にガッカリした」
「日本人は、カウチサーフィンを知らないのか? 僕が昨日までいた民泊宿は、カウチサーフィンに登録するべきだ。あれは間違いなくAirbnbのレベルではない」

と言ったのです。


以前の更新で、僕はカウチサーフィンについて「気になる方は検索してみて下さい」と書いたくせにここでは説明しちゃいますが、カウチサーフィンというのは、一言で言えば“無料の民泊”のことです。しかしもはや宿という括りではなく、ホストは「なんならウチに泊まってもいいよ」程度の感覚ですので、ゲスト用の部屋がない、さらにはベッドがない、なんてことはザラです。そもそも“カウチ”って、ソファーのことですしね。「you、寝るとこないの? じゃあウチに来てソファにでも寝たらいいよ」的なノリです。


というわけで、要はこの前述のフランス人ゲストは、日本のAirbnb宿を、このレベルでしかないと評したわけです。金を払うほどの質じゃない、と言ったのです。



そして実は、この彼ほど明確に否定した者は他にはいませんが、ウチに来る、日本で民泊利用経験のあるゲストに「どうだった?」と聞くと、「よかった」や「また利用したい」と応える者は全くいません。ほとんどのゲストが、「つまらなかった」「ホステルの方がいい」と答えるのです(そういうゲストだからウチに来ているのだ、というパラドックスは成立しますが)。

さらに僕は、民泊経験のあるゲストに「いつからAirbnbを利用してる?」という質問もよくするのですが、たいていは「最近知った」と答えます。昨年くらいから、Airbnbは日本で大きく知られる存在になりましたが、実はこれって、日本だけの話ではないのです。ほとんどの国で、ここ1〜2年の間に一気に認知度が増しているのです。ゲストの多くは、年がら年中、海外旅行をしているわけではないですし、この1〜2年の民泊利用者の多くが、「民泊は今回が初めて」だというのが現実なのです。



というわけで、何を言いたいのかといいますと、民泊というのは今、世界的な“ブーム”なんだということです。ヨーロッパなんかでは、バカンス中に留守中の家を人に貸す、という文化は遥か前からありますけどね。Airbnbのように、はっきりと民泊をビジネスとして世界規模で大々的に展開する企業があらわれたのは、ここ最近の話です。


よって、この“民泊ブーム”に乗っかって、「おっ、面白そうじゃん。ためしに使ってみよう」となった多くの観光客が、使った結果「なんだ、あんまりよくないなぁ(日本では)」を知り、「今後はもういいかな」になっている、というのが僕が捉える現状です。これがどこまで続くのかは未知数ですが、彼らは国に帰ってから友人たちに「民泊はイマイチだったよ」を発信するでしょうし、このブームはやんわりと去るのではないでしょうか? そもそも宿泊業には、リピーターの存在が重要ですし、もちろん宿業に限らずですが、「ためしにやってみよう」が「またやりたいな」に繋がらないビジネスが、長続きするわけがないのです。民泊は、今のところはそんな印象です。



では、なぜ外国人にとって日本の民泊の評価が、こんなにも低いのでしょうか。

これは僕の意見というよりも、ゲストから聞いた話が軸なのですが、そもそもAirbnbの宿というのは、“ここに泊まってみたい!という、特別な価値”が必要なのです。単に寝ることだけを求めるのならば、カウチサーフィンで充分です。ゲストは「部屋とベッドを用意していますよ」以上の価値に、お金を払うのです。


しかし日本の多くの民泊宿は、普通の一軒家や、普通のマンションの一室。普通に僕らが暮らすような、思いっきり生活感のある、普通の部屋。特別な経験を得られる感が、全くない。「こんな素晴らしい部屋に泊まれた!」感が、全くない。

しいて言えば、古民家をいい感じに活用していたり、高層マンションの最上階だったりな所であれば、特別な価値があると言えるのかもしれません。そういった民泊宿ならば、外国人ゲストが想像するAirbnbのクオリティの期待レベルに、充分に応えられているのではと思います。しかし、そんなのはごく一部ですし、そういったところは間違いなく、価格を非常に高く設定しています。


要は、日本人にとっての民泊とは、「ウチの使っていない一部屋に、外国人を泊めちゃおう」程度の認識なのに対し、外国人は「付加価値のある、素晴らしい場所に泊まれる機会」という認識なわけでして。求めるクオリティのイメージに、大きなギャップがあるのです。そこから、「なんだ、いたって普通の家じゃん。なんでこんなのに泊まるのにお金が発生すんのさ」という不満が起きるのです。



ということが、僕が“日本に民泊は合わない”と考える、もう一つの根拠です。ウサギ小屋のように、とにかく狭く、個性の全くない普通の家だらけの日本では、外国人が満足できるクオリティレベルに応えられる民泊宿は、ほとんど作れません。よって、これからこのビジネスが日本で爆発的に発展するようなことも、ないと言っていいと僕は考えるわけです。


まぁ、これはウチに来るゲスト(ほとんどが欧米人)に限っての話ですので、民泊のメイン顧客である中国人観光客は、全然違うのかもしれませんね。民泊で儲けまくっている方々は、そんな中国人観光客をきっと、うまく魅了しているのでしょう。



次回は、もっとビジネス的な視点で、ホステルと民泊のどちらが得をするのか等の話を書こうと思います。


ゲストと鍋をシェア!




2016年1月31日日曜日

宿業にトラブルはつきもの!




早いもので、もう、1月も終わり。最近は、ウチにやって来るゲストハウス開業志望の訪問者が、すごく減りました。今年に入ってからどころか、12月くらいからは、一人も来ていないんじゃないかなぁ? 単に志望者が減ったのか、ブームが去ったのか、それとも “僕に” 相談に来る者が減っただけなのかはわかりませんが。


なのでこれは、いまさらの話なのですが、以前にチラホラ来ていた開業志望者たち(計40人くらいですかね)から僕への質問の多くに、「ゲストとのトラブルとかってありますか?」というのがありまして。

そりゃあ毎日、たくさんの外国人と接しているわけですし、国籍が違う以上は当然、文化も違いますし、「トラブル無し」なんてことはもちろんありえません。さすがに言い争いとかケンカのたぐいは、ほぼほぼゼロに等しいですが(怪しいのが一件あります)。



というわけで、ゲストの “困っちゃうなぁ行動” で思いつくのを20個挙げ、その頻度と、僕の困っちゃう度(カッコ内は僕の対処スタンス)を、★の数(1〜5つ)で表してみようと思います。僕が今、何かでゲストに腹を立てているとか、そういう動機では全くないですよ(笑)。「ゲストハウス業って、こんな感じでいろいろあるんですよ」を、ポジティブに発信したいだけです。わかりやすく、頻度が高い順にします。



①ゴミの分別をしてくれない
頻度:★★★★★
困度:★(僕がやる)

②靴(or備え付けのサンダル)を履かずにベランダや屋上に出ちゃう、もしくは靴を履いたままベッドルームに入っちゃう
頻度;★★★★★
困度:★(あらダメよ、と超軽く言う)

③暖房or冷房中だってのにドアを開けっ放し
頻度;★★★★★
困度:★(僕が閉める)

④使ったお皿やコップを洗ってくれない
頻度:★★★★★
困度:★(僕が洗う)

⑤トイレットペーパー等の備品を尋常じゃないレベルで使う
頻度:★★★★
困度:★(誰かわからないし、まぁしかたない)

⑥夜中に外でワイワイ
頻度:★★★★
困度:★★★★(時間にもよるが、基本はすぐに注意)

⑦ドミトリールームで深夜や早朝にガサガサ・ペチャクチャ
頻度:★★★★
困度:★★★★(すぐに注意)

⑧イビキがものすごい
頻度:★★★
困度:★(こればっかりは、しょうがない)

⑨ハイヒールやキャリーバッグ等の荷物で床や壁を傷つけまくる
頻度:★★★
困度:★★(まぁ、しかたない)

⑩ベッドシーツが飲食物やらペンのインクやらで汚されまくる
頻度:★★★
困度:★★★(がんばって手洗いで落としてます)

⑪シャワールームをずっと独占
頻度:★★★
困度:★★★★(待ち人がいたらノックしちゃう)

⑫一つのベッドに二人で寝ちゃう
頻度:★★★
困度:★★(状況によって判断)

⑬暖房or冷房の温度を勝手に変える
頻度;★★
困度:★(最もフェアであろう適温に、僕が戻す)

⑭共用のパソコンを独占
頻度:★★
困度:★★(待ち人がいたら交代を促す)

⑮宿のフリー飲食物を一人で食べ飲みまくる
頻度:★★
困度:★★(フリーな以上は、OKにしている)


以下は、すべて頻度★(というか、過去に1or2度あったのみ)

⑯勝手に家具のレイアウトを大きく変える(困度:★★)
⑰勝手に寝るベッドを替える(困度:★★★)
⑱勝手に洗濯機を使う(困度:★★★)
⑲ベッドで男女が例の行為に及ぶ(困度:★★★★)
⑳他のゲストの所有物を勝手に使う(困度:★★★★★)


・・まぁ、こんなところですかねぇ。パッと思いつく限りでは。



個人的に悲しくなるのは、⑤の“備品使いまくり”(コスト的にではなくエコ精神的に)や、⑨の“傷つけまくり”あたりなのですが、そこはグッと我慢。といいますか、これらのゲストの行動に対しての、僕が注意するorしないの線引きには、明確な基準があります。


それは、僕だけが困るのか、もしくは他のゲストの快適さの阻害になるのか、の違いです。僕が一人で困り、僕が一人でやれば解決するようなことには、基本的に僕はわざわざ注意はいたしません。


僕だけが困るのは、
①ゴミの分別 ②靴脱ぎ ③ドア ④皿洗い ⑤備品 ⑨傷 ⑩シーツ汚れ ⑫二人寝 ⑮食べまくり ⑯家具 ⑰ベッド替 ⑱洗濯機

ゲストの皆が不快なのは、
⑦部屋で騒音 ⑪シャワー独占 ⑬エアコン ⑭PC独占 ⑲例の行為 ⑳人の物

という感じで分類されますので、僕が注意するのは真上↑の6パターンくらいしかないわけです。ゴミの分別なども、あまりにひどいゲストには言いますけどね。



ゲストは平均で3泊以上していますし、ホステル業で顧客一人一人と接する時間が、他の業種よりも長いのは間違いないことでしょう。特に僕は、スタッフとしてではなく旅仲間として常にゲストたちと接しており、一緒に飲んだりカラオケしたりの毎日ですので、他のホステルのスタッフさんたちよりも、人間関係の密度は確実に高いと思われます。

そして関係が密な分、ゲストの行動に困ることや残念に思うことも他より多くあると思うのですが、この“僕だけが困るか、他のゲストも困るか”の線引きを守ることは結構、重要なことだと僕は考えるわけです。キャリーバッグで床をガリッとされたくらいで、いちいち怒ってなんかいられません。そんないらちなスタンスでは、世界中の人々が集まるホステルという交流場のスタッフなんて、とてもじゃないけど勤まりません。



というわけで、上記に羅列したように、“外国人が、とある場所に寝泊まりする=大小トラブルが発生する”なのです。僕やスタッフの目が常にある、ウチのような宿でも、そうなのです。これが民泊となると、いったいどうなるんでしょうかねぇ? 管理者がいる環境ならまだしも、ただ部屋の鍵だけを渡してあとは「I don't care〜」なスタイルの所では、どうやってトラブルを回避するのでしょうか?


そして、ちゃんと簡易宿所業の営業許可を取り、できるだけトラブルが無いよう常に気をつけているウチでも、近隣からいろいろとクレームが入ります。ベランダでゲストが携帯で普通に話しているだけで、「うるさい」と言って怒鳴り込まれたりします。外国人ゲストが泥棒に入るかもと考えるのか、いきなり屋上に刑務所みたいな有刺鉄線の柵を設置されたりもします。



はっきり言いまして、多くの日本人にはまだまだ、外国人観光客を心から歓迎するマインドが育っていません。外国人というのは、ありがたくない存在だと考える者が、想像以上にたくさんいます。僕は、文化の違いから困った行動を起こしてしまう外国人ゲストに対しては全く腹は立ちませんが、そういったun-welcomeな日本人に対しては、心の底から失望します。


今後、民泊施設が増えるとすれば、これらのun-welcomeな方々はますますガミガミと「うるさい」「汚い」「怖い」等、絶え間なく言いまくることでしょう。民泊が、日本には合わないと僕が考える要因の一つが、そこですね。日本人、特に年配の方々の多くには、民泊を受け入れられるだけの“異文化に対する許容力”が、全くありません。



外国人ゲストだってもちろん、自分が周りから歓迎されているのか、されていないのかは、感覚でわかりますよ。外国人観光客が民泊を利用した場合に、近隣住民の態度から「僕は歓迎されていないんだ・・・」と感じ、孤独感を味わう可能性は、そんなに低くないと思います。実際に、そういった理由で「日本が嫌いになった」と外国人が書いたコラムは、すでに存在しています。


僕は、はるばる日本に来てくれた観光客の皆さんに、そんな思いは絶対にさせたくないのです。“鍵を渡すだけ”の民泊経営者は、そこを放棄している時点ですでに失格!! そんな無責任な連中の、撲滅を僕は望みます!!!


まくら犬