2022年8月18日木曜日

“すごくない”自分に、慣れ切ってしまった。






どーもです。東京では昨日までは猛暑な毎日でしたが、今後はだいぶ落ち着くようですね。実際に今夜は、ほどよい暑さで心地よい。今年の夏も、もう終わりですかね・・・


さてさて。YAWP! backpackersは梅雨休みを終えた7月15日から、8月15日までは、およそ一ヵ月の“けっこう開いてる”期間でした。三十二日の間に、営業日数は二十一日。同じく一ヵ月間開けていた5月には営業したのが十七日でしたから、今回の方が四日も多い(笑)。にもかかわらず、5月がゲスト数18人&26泊だったのに対し、この一ヵ月は9人&9泊のみです。全てのゲストが日本人で、1泊のご利用でした。

9泊・・というのは、コロナ前でしたら“一日”の数字だとしても少ない方で。それが今や、“一ヵ月”で9泊ですからねぇ。はっきり言いまして、ビジネスとしては崩壊状態です(号泣)。5月と比べると、ゲスト数で半分、宿泊数で三分の一でしたが、「あれ? 5月と7〜8月とでは、何が違ったんだ?」という分析をする気にもなりません。何か仕掛けたり、新しいことを導入したりすることは全くなく、良くも悪くも&相変わらずウチは“オープン以来の七年間、何も変わっていない”スタンスですから「まぁ、たまたまでしょ。業績不振が、業績ド不振になっただけさ」という感じです。5月の来泊ゲストから変なレビューを書かれた〜・・とかいったマイナス要素も、特にはないもんな(僕の知る限り)。


前回の記事に書いた通り、7月中(営業は十日間)のゲストは2名&2泊。よって8月5〜15日のお盆期間に、7名&7泊のご利用があったわけです。全員が、お独りでの来泊。7月は2名だけだった、、というのは当然ガックリですが、本来ならばド繁忙期であるはずのお盆に計7名というのも、さらに輪をかけてガックリです。平均すると、一日あたり0.6人ですよ。グァッ!! 観光業界にとって、8月は一年で一番の稼ぎ時。ウチでも例えば2018年には、計295泊で稼動95%、月商で70万以上を売り上げたんですけどねぇ。それが今や、月商2万。利益ゼロ・・・

ちなみに、このお盆にご宿泊いただいた(ありがとうございます!)7名のゲストさんの内、二人は「いつかゲストハウスを経営したい」の方でして。お一人はこのブログを知っており読んでおり・・で、「タクロウ氏の話を聞きたい」というテイ。もう一人はそうではなく、僕に相談しようとかいう気はなく、そもそも僕がそれ系の発信をしていたことも知らず。

しばらく休んでいたので当然ですが、僕がこのような相談を受けるのはすごく久しぶりだったので、なんだか懐かしかったです。とはいえ彼女も、“ゲストハウスを開く”という将来はそんなにリアルなイメージではなく、僕が何かを言う前から「まぁ、ムリですよね。コロナ禍があって宿業の難しさを理解しました」という前提で。なので僕もたいして掘り下げず、わざわざ「厳しいからやめた方がいいですよ」的なことも言っておりません。


しかしながら、「タクロウさんのブログの過去記事を読んで、とても勉強になりました」的なことを言われて、僕はなんだかモヤッとした感覚があったのですよ。そう言われて嬉しかったのはもちろんですが、それと同じ位かそれ以上に、あのような生産的な活動を全くしなくなった今の自分に改めて気付き、情けなくなった・・というか。

とはいえ、その上でも「よしッ!! また精力的に何かをしよう!」とはならないのがさらに、情けない話でして。なんというか僕は、マインド的にそのステージはすでに降りちゃっています。その一番の要因は、コロナなのかな? よくわからん。


高校時代の友人たちとの飲み会で、僕以外の皆が年収1千万超えと知っても、以前であれば「マジかよ! 負けとるがな! 俺ももっと稼がねば!」と思う芽はあったと思うのですが、今では「まぁ、人生はそれぞれだわ。俺は年収300万くらいが心地よいけど、嫁・子供がいるとそうはいかないよな。みんな、大変だねぇ~」となる。

一般的に、女性は自身の存在価値を、男性は社会的評価を求めると言われていて(女性は「愛してるよ」で喜び、男性は「すごい!」「頼りになる!」で喜ぶ)、僕もその論説は的を射ていると思うのですが。僕はもう、社会的評価はいらないかな・・・。「タクロウってすごい!」と他者から思われるために、何かをもっとがんばろう、という気には全くならない(笑)。

僕はそれこそ、嫁も子供もいない、独身一人暮らし生活ですからねぇ。努力して苦労してカッコ良い“オヤジの背中”を手に入れたとしても、それを見せる相手がいない。「がんばるオイラを認めてくれ!」の相手がいない。起業以来の五年間は基本的には順調で、知名度も評価もそれなりに得ていたであろう宿のビジネスがアッという間に廃れ、ズルズルと二年半。僕はいつの間にか、無職のプータローみたいな日常(笑)が当たり前になり、“すごくない”自分自身を鏡で見ることに、慣れ切ってしまいましたよ。

僕は若い頃にテレビに何度か出演したり、海外のイベントに呼ばれたり。さらには世界一周、そして起業。世間一般と比べればエキセントリック寄りな経歴で、他者から「すごいですね」と言われることの多い人生だったと思うのですが、もうそのラインに僕の居場所はないかな・・・。コロナ禍で失ったものはいろいろとありますが、僕にとって最もなのは“社会的評価への欲”。“向上心”は、元々ないけれど。


改めて世間を見渡すと、全くお客が入っておらずビジネス的に成功しているわけがない文房具屋やら布団屋やらが、街にはたくさんありますよね。また、所有アパートの家賃収入のみで生活している、なんて者も実はかなり多い。それらの店主や大家さん達は、社会的評価という面では満たされているはずがないと思うのですが、では彼らの“ビジネスにおける喜び”は、どこにあるのでしょうかね? 別に皮肉でも批判でも嫌味でもなく、素直で純粋な興味があります。


社会的評価を求めないステージに入った、、とはいえ、僕なりに最低限は稼いで、メシを食わなきゃなりません。僕は八年前にYAWPの開業のために1500万を借り、それを六年で完済し「コロナ禍の最中に借金返済に追われる」という危機的状況はギリギリで回避することが出来ましたが、昨年、ビル1階店鋪の改装のために改めて500万を借りましたので、実は余裕は全くないです。今は返済猶予の期間なので、痛みを先送りにしているだけです。

完済プランは、同じく満期六年。前回は1500万を返したのだから、三分の一の500万なんて余裕でしょ、と思われる方がいるかもしれませんが。不思議なことに、1500万を借りたあの頃の方が僕は「この程度の額、どうってことねぇ! 二年で返しちゃるわい!」とオラオラモードで(結局六年かかりましたが笑)、今は逆に「んあぁ、500万の返済が迫って来る・・。それまでにインバウンドが回復してなければオシマイかも・・・」という、ヤバいよヤバいよモードです。


コロナ禍を乗り越えるために、あの人は◯百万借りた、あの宿は◯千万借りた、あの宿会社は◯億借りた、という情報を僕はそれなりに知っておりますが(もちろん、ここに書く気はありません)。宿業界だけではなく、2020年春にスタートした実質的・無利子無担保融資の政策を受け、「とりあえず限度額まで借りておこう」という現状打破策を採用した企業はとても多いです。その返済猶予は、ほとんどが三年なので、実は2023年の春を境に、とんでもない重荷がドスンッ!とのしかかって来ます。来年の春からは、日本中の多くの場所で経営破綻が大量発生、倒産企業が増えまくることでしょう。


僕の返済開始までは、それよりかは期間があるので、まだマシですけどね。もともとの予定では、2020年の東京オリンピックの前までに借金を完済し(それは実現)、オリンピックでチャッチャと稼ぎ、以後は年の半分だけ宿を開き、残り半分は海外に行ったりで遊びまくりな経営スタイルに!・・というビジョンだったのですが。
(2016年10月の記事〈出口戦略についてを、考える!!〉)
(2018年9月の記事〈六ヵ月働いて、六ヵ月休む・・が理想!!〉)

それが、、、2020年から世界中がハチャメチャになり、僕は改めて500万の借金を背負い、「返せなかったらどうしよう」という将来へのストレスを抱え続けるハメになるとは。他者から“すごい”と思われたい〜という欲が、ここまで消えてなくなるとは。あ〜ぁ。ガックリ。


人生は、うまくいかないもんですねぇ〜






2 件のコメント:

  1. 「マインド的にそのステージはすでに下りちゃってる」すごーく分かります、状況やテーマは違いますが、最近、同じような気持ち感じます。

    タクロウさんの場合、Yawpで一度ゲストハウスの成功を成し遂げてるので、「社会的評価」は満たされてちゃってるし、生活コスト低そうなので、
    そんなに頑張らなくても(少なくとも今は)大丈夫モードなのでしょうか?それって幸せですよね、嫌味じゃなくて。

    私は日本の観光産業「だけ」は未来があると信じています。ご指摘の通り、今の超円安で周回遅れのコロナ開国きたら、インバウンドは爆発必須としか思えないので、その時は今の「すごくない自分」なんて、記憶から消し飛ぶくらい忙しくなるのではと思ってますよー。

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    1. 返信が遅れまして、すみませんです!

      ちょうど先日、友人(女性)から「私もこの二年で、上司に認められたい、とかいう意識が無くなった」と言っており。僕は“男は社会的評価を求める~”と記事に書きましたが、このあたり、ジェンダー差はあまりないのかもしれませんね。

      僕の生活は、貯金が毎月だいたい8万ずつ減る~というのが現状ですが、服を売ったりしてテキトウに乗り越えております。今は宿の収益はほぼないので、正直、何のために開いているのかよくわかりません(笑)。

      もちろん、僕だけでなく既存の宿主は皆「いつか、報われるはず!」と思っていることでしょうが、「この春こそは!」「この夏こそは!」「来年こそは!」・・と二年以上も繰り返してきて、その度にガッカリさせられてきて、もはや未来への希望を語る者は全然いなくなりました・・・(涙)。

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