2015年11月2日月曜日

ホステル業界の展望。


11月です。いきなり寒くなりましたね〜。YAWP!でも昨日から、暖房を出しました。

現状、所有する1台だけでは確実に足りませんが、僕は相変わらず2階(リビング・ダイニング)にエアコンを設置するつもりはありませんので、夏に活躍したサーキュレーターのような、いい感じのあったか器具を今は探し中です。




さて、とりあえずまずは、いつも通りの国籍ダービーです。


【YAWP!来泊ゲスト国籍(4〜10月:計394名)】

アメリカ      51名(+11)
イギリス      43 (+9)
③日本        41 (+9)
オーストラリア   32 (+12)
⑤カナダ       28 (+4)
⑥ニュージーランド  23 (+6)
⑦台湾        18 (+1)
⑧ドイツ       17 (+6)
⑨フランス      14 (+2)
⑩スペイン      12 (+4)


【新規ゲスト数(泊数)の月別まとめ】

4月:22(81)
5月:28(132)
6月:11(60)
7月:65(205)
8月:98(312)
9月:79(278)
10月:91(253)


10月は、新規ゲスト数は8月に次いで多かったのですが、全体的に1〜2泊滞在のゲストが多く、総泊数では9月を下回りました。まぁ、月末の3日間の休みがなければ、どちらも上回っていたのは間違いないのですが。というわけで、なんだかんだで10月は、9月よりも忙しかったのでした。

前回、「10・11月はノンビリモードで、新規ゲスト目標数60、泊数210、一日ゲスト数平均7」と書いたんですけどね。結局、全然ノンビリできなかったなぁ。もちろん、ありがたいことです!!



さてさて、全然話は変わりまして、今回は3ヵ月ぶりに【宿を始めたい方へ】カテゴリの話をします。前回、8月の初めにこちらのブログで 「ホステル(ゲストハウス)経営って、儲かるの?」と題した記事を書きましたが、そちらは某ブログにて取り上げていただいたおかげもあり、閲覧件数が断トツでして、他記事の10倍に近くなっております。よって、注目度が高いのはやはりこういった記事なのだとわかりましたので、今後もたまにはこのカテゴリで、何か書こうと思っています。



今回は、業界の展望です。これからこのホステル業界がどうなるのか、日本のインバウンド環境の変化、需要と供給がどうなるのか、僕なりに予測し、考えていることを書きます。僕よりもこれらに詳しい方はたくさんいるでしょうし、そういった方々からすればツッコミどころ満載の記事になるかもしれませんが、「しがない小ホステルの自己満足オーナーが、独り言を言っている」程度のものだと捉えて下さい。


まず大前提として、皆さん(ホステル起業を検討中の方々)の多くが考えているであろう、「2020年の東京オリンピックに向けて、これからこの宿泊業界への需要はますます膨れ上がる」。僕はこれを、きっぱりと否定させていただきます。


理由は明確です。訪日外国人客数はここ数年、

2011年   620万
2012年   840万
2013年  1040万
2014年  1340万
2015年  1900万(予測)

と、急激に増加していますが、ウチに来る外国人ゲストたちとの会話で、東京オリンピックが話題に上がったことなど、一度もないからです。ほとんどのゲストは、5年後に東京で開かれることすら知りません。よってはっきり言いまして、このここ数年の訪日外国人数の急激な伸びと、東京オリンピックは、全く関係がありません。

開催直前の頃になれば、各国のテレビ番組等でも特集が組まれたりするでしょうし、それがきっかけで日本に興味を持ち来日するゲストがいるかもしれません。そしてもちろん、オリンピック開催期間中には増えるのは間違いありませんが、所詮は3週間弱の短期間のお祭りです。そもそも物価高や人混みを嫌う傾向のあるバックパッカーは、オリンピック期間中の訪日は避けるとも考えられますので、ホステル業界にとっての東京オリンピック開催は、たいしてプラスな要素ではない、と捉えておいた方が無難です。



では、なぜ今、訪日外国人客が増えているのかというと、一つは「円安」が理由としてあげられます。しかしこれも、ウチに来るゲストたちの間では、全くと言っていいほど話題に上がりません。彼らバックパッカーは、そもそも出費を節約しながらの旅の者が大半で、大きな買い物をするわけではないですから、円安による恩恵はほとんど受けません。それどころか、円安の影響で飲食店等の価格が上昇している現状は、彼らにとってはむしろ損だとも考えられます。“両替で入るお金が増える、しかし使うお金も増える” 状態では、彼らは何も得しません。

この価格上昇傾向、ホステル業界にも顕著に現れていますが、僕は低コスト旅を愛するバックパッカーのためにこそ、ホステルというものは存在すると考える人間です。3000円台ならばまぁ理解できますが、一泊4000円を超えるホステルが最近、都内に増えまくっていることを僕は正直、残念に思います。「そんなの、ホステルじゃないじゃん。」とすら思います。「日本のホステルの値段、すげぇ高い!」というイメージを、世界中のバックパッカーに植え付けて欲しくないんですけどねぇ。ビジネス的には “他はウチよりも高い” この状況は、おいしいのでしょうが。まぁ、余計なお世話かもですね。



では、なにが一番の観光客増の要因なのかといいますと、これは単純に、「ビザ(入国許可証)の解禁・条件緩和」です。特に中国においては、2010年頃から緩和が始まり(個人ビザの解禁)、今年の1月にはさらに大幅に緩和されました。今の発給条件はもはや、ざっくりと言ってしまえば、誰でも来れちゃうようなレベルです。

日本のテレビ番組でも昨今、“中国人観光客の爆買い” といった特集を見る機会が増えましたよね。実際、街に出ると多くの中国人グループに出くわしますよね。理由は単純です。これまで日本政府からずっと「来ちゃダメ」と言われていた方々が、最近「来てもいいよ」と言われるようになったから、来ているのです。これをアベノミクスの内の一つとしてもいいのですが、はっきり言いましてこれに関して安倍さんは、実はたいしたことはしていません。


というわけで、ここのところ訪日外国人客が急激に増えているといっても、実は増えているのは、中国やASEAN諸国からの方々ばかりです。元々訪日にビザが必要のない、ヨーロッパ諸国やアメリカなどからの観光客数は、さほど変わっていません。



今年の訪日外国人数は、上記の通り、1900万人に達すると見られています。近年の年あたり上昇率(平均1.3倍)が、そのまま継続すると仮定して今後を計算すると、

2016年  2470万
2017年  3211万
2018年  4174万
2019年  5427万
2020年  7055万

となりますが、当然こんなことはあり得ないです(笑)。僕の勝手な予想を言ってしまえば、政府が目標に掲げる2000万人に届く(停滞するようならばビザをさらに解禁すればいいだけですから、政府はそうやって確実にこの目標は達成させ、ドヤ顔をするはずです)のは間違いありませんが、おそらくその2000万で止まります。それ以降はむしろ、いかにこれを減らさないか、の方に苦慮することになります。


というわけで、今年の訪日外国人数は1900万(予測)、近年中に2000万に達するとして、そのまま2020年までは2000万人のちょっと上をウロウロすると僕は予想します。つまり、この先5年間は、ほとんど変わらない。これ以上、ほとんど増えないです、外国人観光客。逆にポジティブ面を付け加えるとすれば、前述の通りここ最近の訪日外国人の増加に東京オリンピックは関係ありませんので、オリンピック後もこの2000万前後はキープできると思われます。


しかしここ日本では、ホステル(ゲストハウス)が最近、増えまくっています。只今絶賛工事中のところもたくさんありますので、この先も、ガンガン増えまくります。たしかに現状は、需要が供給を上回っていると言えます。8月のお盆の時期や、9月のシルバーウィークでは、都内はもちろん、あらゆる観光地のあらゆる宿が、満員になりました。その点のみに注目する場合は、日本が現状 “宿不足” であることは、間違いありません。

ところが、何もない期間の、何でもない平日は、都内のほとんどの宿が空きだらけです。ウチは小さな宿ですので、稼働率はそこそこの高さをキープできていますが、以前は3ヵ月先まで予約で埋まっていた某人気宿などでも、最近は普通に空きがポツポツある状況です。要するに今は、多くの宿が苦しい経営をしている、というのが実情なのです。


ネットニュースなどでは、「宿が足りていない!」といった記事を目にすることの方が多いですけどね。それはあくまで、シルバーウィークなどの、“特別な期間” に限った話だということです。宿業というのは、時期による収益のアップダウンがもの凄いのだということを、僕は痛感しています。アップの事情にだけ注目して、「宿業って儲かるんだ!」となってしまう人は、いかにも短絡的で、想像力不足です。



というわけでこの記事は、【訪日外国人数の伸びは、そろそろ頭打ち】【しかしホステル(ゲストハウス)は、今後もガンガン増え続ける】という話なのでした。それをまとめると、【この業界、決して展望は明るくない】になります。需要が伸びないのに、供給ばかり増えるわけですからね。中学生でもわかる、シンプルな話です。


だからどうだ、があるわけではないのですが。前回に引き続き、「厳しい業界ですよ」の内容で書いているので、「要は新規参入が嫌なんでしょ」と改めて思われるかもしれませんが。僕が嫌なのは、あくまで “何も考えず、何も調査せずに飛び込んで来る” 新規参入の方々です。「もうすぐオリンピックがあるし」「宿が不足してるっていうし」→「宿業は儲かりそう!」の短絡的な発想で突き進む方々に、リアルな現状を突きつけています。


というか、僕のこの記事でこれらの事実を初めて知ったという宿開業志望の方は、その時点でかなりの勉強不足です。ビザの解禁のことなどは、この業界にいる or 入ろうという者ならば、知っていて当然の知識です。そういった、インバウンドの最低限の知識を備えるオーナーが、気合いの入った魅力的な宿を作られることは、僕はすごく嬉しく思います。



こんな記事を読むと、じゃあ正規のホステル(ゲストハウス)ではなく、民泊(Airbnb)で副業的にやろうかな、となってしまう人も多いかもしれません。民泊は問題が山積み(検索すればいくらでも出て来ます)ですし、僕も言いたいことが山ほどあるのですが、このホステル業界内に戦ってくれている方々がたくさんいますので、今しばらくは僕は彼らを応援する立場でいようと思います。


しばらく倉庫でオヤスミ




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