急にガツンと寒くなりましたね〜。しばらくヌルい気候が続き、心地よかったのですが。揚子江気団さんには、今年はけっこう長く粘っていただき、ありがたく思います。
さてさて。
前回の記事を読んだ友人からメールで、「配色のノウハウ詳細を教えてオクレ〜」と言われたので、今回はそれについてをダラダラと書いていたのですが。しかし前回の記事は、閲覧数が全然伸びていない(笑)ので、キャッチーな内容でないことは明白でして。別に僕はインテリアのプロでもないし、なんだか、急に気が変わってしまいました。僕には明確なメソッドがありますので、興味がある方は、直接聞いてくださいです〜。
というわけで早速、話は変わり。
今年はあと一ヵ月強で終わりですが、先日、ちょっと前倒し気味でなんとなく振り返ってしまいまして。
そしてそれを一言でまとめると、今年の僕は、ゲストハウスの“純度”についてを、これまで以上に意識した一年であったと言えます。
僕は3月の時点で、このブログに
「ゲストハウスとは何ぞや?」を、この際はっきりさせる!!
という記事を書いています。そこでは僕は、ゲストハウスを、
・宿主が個人、もしくは夫婦で経営している。
・宿主が直接の接客をする。スタッフはゼロor少数で、掃除のヘルパーさん等。
・キャパは小さい。大半が10〜30ベッド。
・たいていで、ドミトリーと個室は両方共にある(ウチはドミのみ)。
・宿に及ぶ宿主の影響がかなり濃い。内装や雰囲気等、どこも個性的。
・交流が盛んで、ゲスト同士、ゲストと宿主との、距離が近い(もちろん、ゲストが全然おらず、交流がほとんど生まれない日もある)。
・交流は、しなくてもいい。宿主の基本スタンスは放置、but求めがあれば最大限サポートなので、ゲストは自由に過ごせる。
・交流は、しなくてもいい。宿主の基本スタンスは放置、but求めがあれば最大限サポートなので、ゲストは自由に過ごせる。
・ゲストからは宿ごとに好き嫌いが分かれると思われる。ハマった場合には、第二の我が家のような感覚で、リピーターになる。
・ただ普通の一軒家の大部屋に二段ベッドを並べただけ、という残念なところも多い。
と定義しました(思いっきりコピペで、すみません)。
もちろん僕のこの、ゲストハウスの定義は、今年になって確立したわけでも、したくなったわけでもありません。YAWP! の設立の時点で、というか起業を決意した時点で、僕の考えるゲストハウス像は、このようにはっきりしていたのです。ではなぜ今年になって、僕がそんな発信をわざわざするようになったのかといいますと。
それは、この1〜2年の間に、
僕にとってゲストハウスとは認められない宿、そしてそのオーナーたちが、業界についての発信を積極的にしているから
ですね。単純に言うと「いやいや、ゲストハウスって、そういうもんじゃないから!」という、僕の心の中にあるモヤモヤが、そろそろ限界を越えて抑えきれなくなったということです。
例えば、地域貢献。なんだか当たり前のように「開業します」→「まちとゲストを結びつけ、地域の発展を目指します」がセットになっている者が、この業界にはなぜか多すぎます。いやいや、ゲストハウスって、そういうもんじゃないから。なんなんですか、そのキラキラした使命感は? ちなみに僕は、YAWP! のオープン直後の時点ですでに、
金儲け、する気なし。地域貢献、する気なし。
という記事を書いています。
例えば、交流。もちろん、交流はゲストハウスの大きな魅力の一つですよ。しかしそれは、マストではない。「さぁ皆さん、交流しましょう!」という圧のある宿はけっこう多く存在しますが、いやいや、ゲストハウスって、そういうもんじゃないから。交流を期待するゲストがいるのは間違いありませんので、宿がオープンな雰囲気を演出するのは自然のことですが、そこに圧があるのはおかしい。なんならむしろ、「ウチは交流が全くない静かな宿ですが、ゲストハウスです」という所があったっていい。
例えば、ターゲット。あえて作為的に言い切ってやりますが、ゲストハウスの本来のターゲットとは、貧乏旅のバックパッカーや、ライダーやチャリダーなはずです。しかし、ビジネス客を対象に、「ゲストハウスに泊まり、出勤するってクールでしょ?」といった集客アピールをするところが、特に最近、増えています。いやいや、ゲストハウスって、そういうもんじゃないから。もちろん僕は、ビジネス客もwelcomeしていますよ。しかし、彼らにはあくまで「ここは旅人のための宿だが、あえて泊まる」というスタンス&理解でいて欲しい。仮にYAWPの毎日が、日本人のサラリーマンやノマドワーカーだらけになったとしたら、僕は「ゲストハウスとしては、ウチはもう終わったな・・・」と思うことでしょう。
僕のゲストハウスの定義は、もちろんあくまで、僕の主観です。前述のリンクの〈〜何ぞや?〉の記事にも書きましたが、これに他者を巻き込もうとか、議論をしようとか、そんなつもりは全くありません。ただ、僕のマインドをここではっきりさせているだけです。僕は僕の、理想とするゲストハウスの追求を、今後も頑なに貫きますよ、と。
これは、当然ながら、僕の実体験に基づいています。世界を放浪旅し、世界中でゲストハウス(&ホステル)に泊まり、そこで得たものです。もちろん、世界でもゲストハウスのキャラクターは千差万別ですから、「こういうものだ!」という鮮明な定義は、存在しておりません。
ただ、少なくとも、僕が泊まった世界の100軒以上の宿で、地域を僕にアピールして来たところなんて一つもないのです。「これは、この街で作られたワインです。試飲をどうぞ。気に入ったら買ってね」なんてシチュエーションの経験は、一度もない。ましてや、例えばワインの製造とか、手作りマトリョーシカ(笑)とか、そんな文化体験イベントへの参加を宿から提案されたことも、確実にない。
交流を押し付けて来た宿も、一つとしてありません。それはどこの宿でも、自然発生でした。宿の指示で名札を付けて自己紹介とか・・・あったら、超絶キモいので間違いなく覚えているはずです。
宿で、スーツ姿の人を見たこと・・・はあったかもしれませんが、覚えていない位に、ほぼ皆無です。ゲストはみ〜んな、旅人です。1泊の者も、ほとんどいません。それなりに長期の滞在で、ダラダラしています。仕事の話なんて、全くしません。会話のメインは、うまい飯と、面白い場所と文化、あとは風俗関係です(笑)。
畳み掛けるようにあえて言い切りますが、要は、“地域貢献”や“交流”がどうのこうのと、わざわざ訴えて来るのは、日本のゲストハウスだけの特徴なのです。なんなの、この変な独自性? なんなの、この面倒臭さ?
その原因が何なのかを別に追求する気はないのですが、簡単に言うとまぁ、いわゆる意識高い系の連中の、承認欲求でしょうね。“貢献”とか“繋がり”とかは、彼らが大好きな典型的なキラキラ・ワードです。彼らはとにかく、人の役に立ち、それで褒められたいのでしょう(笑)。僕にはその要素は全くありませんが、まぁ、そういう人が多くいるというのは、理解ができます。
僕の理想のゲストハウス像は、実際に僕が泊まり、居心地がメチャよくて大好きになった世界中の宿々の経験がベースにあります。その傾向を、例を含めつつ挙げると、
・宿主がいい意味で、がんばっていない。リビングで昼寝していたりする(笑)。
・とにかく自由。ルールやモラルの範囲内で、何をやってもいい。
・ビジネス臭が全くしない。宿主が会計を忘れちゃったりするくらい(笑)。
・とにかくフラット。人種、国籍、年齢、宗教、等々がいっさい関係ない。
・何も強制されない。各々で話したければ話し、食べたければ食べ、寝たければ寝る。
・リビングで寝間着姿でも、全然OK。なんならパンツ一丁でもいい。
・出会いや別れは、あっさりスッキリ。超仲良くなったアイツが、翌朝には消えている。
・・・という、そんなところです。そしてもう一つ、【毎日顔を合わせる、魅力的な宿主がいる】ことが重要です。すると宿の名前は忘れるのに、宿主の名前の方を覚えていたりしまして(笑)。旅人同士で「へぇ、Youもヨルダン行ったことあるんだ。アリさんの宿?」なんていう会話が発生するのが、すなわち良宿の証。確実に僕の理想とする、ゲストハウスです。ヌシがおもしろい宿には、おもしろいゲストが集いますしね。
一方で、意識高い系の宿オーナーたちは「ゲストの目線に立って〜」的なキラキラ発信をすることも多いので、重ねて言い切りますが。仮に僕が彼らの宿のゲスト(もちろん、スタイルは放浪旅バックパッカー)になったと想定しての、僕の思いはというと、、、
地域やら交流やらの圧を受ける→「マジでウザい!」
積極的なおもてなしをされる→「余計なお世話だって。放っておいてくれよ!」
顧客満足度? ゲストとの信頼関係?→ 「そんなことばかりをクドクドと考えている面倒くさいところになんか、泊まりたいとは全く思わねぇ〜」
なわけです! 僕のようなタイプが“訪日観光客”のマジョリティだとは決して思いませんが、僕は僕で、“バックパッカー客”としての目線に立って、僕の宿スタイルを確立させているんですよ!!
僕は旅をする際には、宿泊先のゲストハウスには、ただただ、
世界中の旅人が集い、
自由で居心地がよく、
宿主が魅力的
・・・の、三要素のみを、期待します。そして、すなわちこれが、僕が追求する純度100%なゲストハウス像の、根幹でもあるわけです。これ以外の要素は、全て余計。無駄に濁らせるだけなので、いっさいやる気は無し。魅力的・・・はファジーすぎるので、僕が心がけているのは「常に愉快でいること」ですけどね。
これを読む、噛み合わない価値観が確定している(笑)一部の同業者からは理解を得なくても全然かまいませんが、放浪旅バックパッカーの方々にだけは、共感していただけるととてもありがたいですね。以前、違う宿でスタッフとして働く方(元バックパッカー)がウチに泊まりに来て、「日本にはなんだかズレているところが多いけれど、YAWPさんは、まさにゲストハウスですね!」と言われたことがありまして。あれは、嬉しかったなぁ。
というわけで、この、もはや何でもアリになっている日本のゲストハウス業界で、僕は自分の経験をベースにした、“海外の”“ユルい”安宿の文化を踏襲し、放浪・長期旅のバックパッカーをメインターゲットにしたビジネスしかするつもりはない、ということです。そして、ズレのあるゲストハウス(?)主の、ズレのある“意識高い”アピールに対しては、「いや、そういうのじゃないから」の反逆活動を、今後もやって行こうというわけです。
ここにそれを、僕のゲストハウス原理主義宣言、とさせていただきます。