2017年7月30日日曜日

彼らの「いらないものは、いらない」を、理解する。



僕は昨年の8月に、“日本人は、親切ではない!”という記事を書きました。今回は、しばらく間が空きましたが、それの第二弾のような気持ちで書きます。


前回、僕は日本人の親切心の問題点として、アクティブ(能動的)ではなくパッシブ(受動的)なのが良くない!と訴えました。日本人は、困っていたり具合が悪かったりな人に対して、向こうが「助けて!」と訴えれば皆で助けに向かうものの、そうではない人に対して「何かお困りですか?」「大丈夫ですか?」と能動的に声をかける者は皆無だと。特に日本人の“電車での席を譲らないっぷり”は、外国人達はちゃんと観察していて、けっこう失望しているんですよ、と。


なので、アクティブに親切な行動を起こせる人は素晴らしいと僕は思うのですが、そのアクティブな方々にも、伝えておくべきことがあります。



以前、まだ肌寒い時期の夜に、イギリス人カップルのゲストがYAWPに来泊しました。彼らがウチに着き、チェックインの手続きを進めていると、大きな袋を持つ一人の中年女性(地元の方)が、ふらりとウチにやって来まして。話を聞くと、イギリスの彼らが高砂の駅近くで、その中年女性にウチまでの道のりを聞いたのだそうです。

そのカップルの彼氏さんの方はその時、上半身はTシャツ一枚でして。それを見た中年女性が、そんな彼のために、家に帰りジャケット等の洋服類(旦那さんが着なくなった物だそうです)を袋につめてウチまで持って来た、という状況だったのでした。


・・・この中年女性は、間違いなく、とても親切な方です。彼を見て、「きっと寒いだろうから、助けてあげなきゃ」との親切心が働き、能動的な行動に移したわけですからね。なので、以下に書くことは決して彼女への批判ではないのですが。



「寒いだろうと思って」ということで、いきなり大量の洋服を渡されて、そのイギリス人カップル、喜んだと思いますか? 渡された際の彼らのリアクションは、ズバリ、苦笑いです。そして、その中年女性がいなくなった後に、彼が言ったのは「日本人って、優しいね」ではなく、「日本人って、変わってるね」でした。そしてその大量の洋服達は、一度も着られることなく、袋が開かれることすらなく、受付カウンター横にポイッと放置され、その状態にしたまま彼らは数日間の滞在の後に、ウチを出発して行きました。


人から貰った物を、そんなぞんざいな扱いにするなんてヒドぉ〜い!・・と感じた方がいるかもしれませんが、僕は全くそう思いません。彼らは、バックパッカーです。基本的には、旅の荷物はできるだけ少ないのが良し、という価値観の者々です。そしてもちろん、そのイギリスの彼は彼で、ちゃんと上着を持っていました。Tシャツ一枚でも寒くないとか、それが気持ちいいとか、理由は知りませんが、彼の判断であえてその時はその恰好だっただけなのです。


外国人(欧米人)はドライというか、合理的というか、その点では日本人とは大きく違います。以前、僕はゲストのチェックインの際にテキトウに手元にあったチョコレートや飴をあげていたことがあるのですが、まぁ驚くほどにゴミ箱にそのまま捨てられてありました。また、僕はゴミをまとめる際には、分別のために袋をそれなりにガサガサするのですが、中からはゲストが誰かからもらった品や手紙のようなものも、けっこうしょっちゅう発見します。


彼らは、どんなに良質な贈り物でも、誰から貰った物でも、いらなければ、使わないのです。食べないのです。袋を開けすらしないのです。仮に使ったとしても、用が済めば、あっさり捨てるのです。“必要ではないけれど貰いものだから大事にとっておこう”や“今、これを食べたい気分じゃないけれどせっかく貰ったから食べよう”的な、ウェットな感覚の持ち様は、日本人とは雲泥の差です。



さらに話を広げまして。特に食に関しては、日本人に“出された物は全部食べる”傾向が強いのは、残すことが「料理してくれた人に申しわけない」や「農家さんに申しわけない」、さらには根本的な価値観としての「捨てるのはもったいない」という気持ちが、多少なりともあるからだと僕は思います。なので、味が好みでなくても、量が多くても、完食することを是とする。

一方で外国人(欧米人)は、美味しくないと感じれば、その瞬間に食べるのをやめます。ウチのゴミ箱には、食べかけのおにぎりやら饅頭やらが、いつも大量に捨てられてあります。ウチが無料で提供しているパンが、たったひとカジリされただけの状態で捨てられていたりもします。食パンの味なんて、想像通りで波のない、特段に旨いもマズいもないもんだと僕は思いますけどねぇ。

レストランでの【客:「美味しくない! 作り直せ!」】が、当たり前の文化の国だってあります。日本人の僕からすれば、美味しくないのなら次回以降はそこに行かなきゃいいだけじゃんか、と思いますが。その根本には、“捨てる”という行為への意識の違いが、大きくあります。


僕は、日本人でアクティブ・カインドネス(能動的・親切心)をお持ちの希少な方々には、その点を理解していただいた方がいいと思うのです。たいていの外国人(欧米人)は、いらないものはいらない、美味しくなければ食べない、そんな人たちなのだと。なので基本的には、僕らの「これをあげたい!」という目線のみで、物を渡しても、食べ物を出しても、彼らにはほとんど喜ばれません。受け取ったからには使ってくれるだろうとか、箸をつけたからには全部食べてくれるだろうとか、差し出す側のそんな淡い期待には、彼らは応えてくれません。僕はそんな彼らの一面が、善いか悪いかを問うているのではなく、「この文化の違いを理解しましょう、皆さん!」と、訴えたいということです。



なので、日本人のあなたが欧米人の誰かに何かを贈ろう、となった場合には、彼らのその文化「いらないものは、いらない」を理解した上で、「相手が今、何を望んでいるか」の、相当なセンスが問われるわけです。Tシャツ1枚のバックパッカーを見て、「寒そうだから助けたい」となったところまでは、いいと思います(勘違いではあるものの)。しかし、その解決方法に選んだ「洋服をたくさんあげよう」が、大きくセンスに欠けたのです。なので、感謝よりも「なんで?」が勝ってしまった。そしてそのまま関心すら持たれず、ポイ捨てされてしまった。


あの場はせめて、ホッカイロを渡すくらいの程よさであれば、それなりに感謝されたのではないのでしょうか? せっかくのアクティブな親切心が、苦笑いで受け入れられてしまうのは、すごく哀しいことですよ〜。



↑↑↑

・・・と、この文章。ここまでは2ヵ月ほど前に書き上げておりまして、そのまま更新待機状態で、特に理由もなくしばらく寝かせていたのですが。


先日、葛飾区の花火大会がありまして。その前の晩に僕がゲストたちに伝えると、その内5人が興味を示したため、「それじゃあ、皆で一緒に行こうか。場所取りをしておくからさ」「Oh, it's a good idea !」「大会は19時20分からだから、18時半に宿に集合ね」「OK〜」というやりとりがあり。

花火大会当日、僕はレジャーシートを買った後、江戸川河川敷の会場まで行き、場所取りを。皆の喉が渇いてもいいようにと、大ペットボトル×4をシートの重りに。そんな、朝からなかなか忙しい一日でして。


そして、夜。約束の、18時半。

・・・なんと、誰一人として、帰って来ませんでした。やや遅れて19時に帰って来たとか、そういうのすらなく。彼ら5人は、2・2・1人のゲストでしたが、皆、23時以降にバラけて帰って来まして・・・そして帰宿後の彼らからは、花火大会については話題にすら上がらず(よって彼らが、単に忘れていたのか、気が変わったのかは、僕は知りません)。皆、僕とは何度か一緒に飲んだりして打ち解け済みの、いい関係のゲストだったんですけどねぇ。


場所取りとして置いておいたシートや飲み物は当然、そのまま放置するわけにはいきませんので、僕はそれを取りに会場に向かいましたが、その道中の切なさ?虚しさ?ったらなかったですよ・・・。そこで、このストック記事を思い出しまして。「あぁ、俺もゲストたちが実はたいして興味のない物(サービス)を、提供しようとしていたんやなぁ」「いらないサービスやったさかいに、あっさり捨てられてもうたんやなぁ」となり、今回のこの更新に繋がっているわけです。自分で書いていた文章が、自分への教訓になってしまった、ということです!!




しかしまぁ、それにしてもですよ・・・。


たいして興味がないのなら、最初っからそう反応してよ!!

エネルギーが、枯渇するってばよ!!!

もう二度と、「花火大会に皆で行こか」は、プロデュースせぇへんでワイは!!!!

(僕は千葉県出身ですが、心が荒れ気味なので!)




2017年7月24日月曜日

何処も儲からなくて・・・夏。



キレイな指してません、タクロウです。


友人から、前回の記事について、【序盤に「好調」と書いてあるのに、終盤には「経営がだいぶキツくなってる」とある。どっちやねん!?】 ・・・とのツッコミをいただいてしまいました。たしかに、最初と最後で大きく矛盾していましたね。


僕が設定している目標値の“新規予約獲得:一日2件”は、あくまで、最低ラインです。「それを越えれば僕はとりあえず食べて行ける」というだけのことで、「儲かっている」レベルでは全くありません。僕がそもそも、「食うのに困らなければいいや」のスタンスでビジネスをしているので、この目標値なわけです。その「食えればいい」も、独身一人暮らしで、大きな貯金をする気も無い、そんな無責任で気ままな生活の上での話なので、相当に低い設定です。


そこで、そういえば一昨年と昨年は、7月中旬の一週間に入った新規予約数を公表していたなぁと思い出しまして。昨年は一昨年と比較するために、わざわざ予約をしばらく止めてhostelworldに参入した当時のような状況をあえて作っていたっけ、と。


その結果の詳細は、このブログの昨年7月18日の記事

この業界は、今まさに下り坂!

に載せておりますが、いちいち開くのは面倒でしょうからここに書きますと、

2015年 7月 9日〜15日 50件
2016年 7月12日〜18日 40件

だったということで。この50件→40件は、泊数で言うとおよそマイナス60泊。そしてその通りに実際に、8月の稼働率を比較すると、

2015年 93%
2016年 66%

で、その落差たるや、−27%でした。


そして2017年。今年は予約の受付を止めることはしませんでしたので、正確な比較にはなりませんが、前回書きました通り、

2017年 7月 8日〜14日 18件

でして。今年はhostelworldだけではなく、expediaにも載っている状態での、この件数です。

“今年は予約を止めてはいない=この18件の以前にも、受けていた予約はそれなりにある”なので、40件が18件に減ったからといって、稼働率も半分以下になるわけではないのですが(すみませんね、ややこしくて)。しかしながらこの夏の稼働率は、間違いなく昨年を下回ると予想します。


なので要するに、冒頭の僕の矛盾は、

好調です。→「まぁ、なんとか食えそうだな」
経営がキツくなっている。→「しかし昨年より確実にマイナスだぜ」

との意だったわけです。



ところで同じく、昨年のその記事には、都内にあるゲストハウス&ホステルのおおよその軒数を、

〜2013年末まで   35軒
 2014年     +15軒
 2015年     +20軒
 2016年     +15軒
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 2016年末予想  計85軒

と書いていますね。これは完全に大ハズレでした! 正直、恥ずかしい!!


正しくは、

〜2013年末まで   35軒
 2014年     +15軒
 2015年     +20軒
 2016年     +40
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 2016年末   計110


でして、昨年の後半は僕の予想をはるかに上回る、新規オープンがあったわけです。


そして今年はというと、この7月末の時点で、さらに30軒ほど増えています。よって間違いなく、今年中には合計が150軒を越えます


僕がYAWP! をオープンした2015年春は、都内には50軒くらいしかなかったんだけどなぁ。それがもうすぐ、150軒。たったの二年ちょっとで、3倍か・・・。



なので、同記事に添付した画像【今後は最悪、こうなる】の表も、今年のこの業界全体の悲惨な現状を踏まえ、下方修正します(↓)。まさか、“最悪”よりも悪い展開になるとは・・・。



今後は最悪、こうなる(訂正版)



来年以降の簡易宿の増加数を鈍化させたのは、閉宿もますます多くなるだろうという予測の上です。オリンピックまでは、このまま変わらず年40軒ペースで増えるが、同じく毎年10軒程度は潰れるだろうと。




そういえば実は以前、ウチに開業の相談に来た方から、「タクロウさんのブログを読んでると、“この人ってほんとネガティブだなぁ”と思います」と言われたことがあります(笑)。う〜ん、僕としては、“僕ほどポジティブな奴はめったにいない”と自己評価しているんですけどねぇ。ポジティブの塊みたいな母親の元で育ちましたし。


ポジティブだからこそ、悪い方に予想がはずれているのです。僕の“ホステル業界の未来予測”は、これまでずっと、下方修正ばっかりです(笑)。ポジティブだからこそ、2012年に僕がホステル開業を決意した際に、「このビジネスの未来は明るい!」と勘違い(?)してしまったのです。



二ヵ月前にバズったこのブログの記事の影響か、2月にテレビ出演した影響か、僕は最近また、開業の相談を受ける機会が増えました。しかしいまだに「宿をやりたい!」と、瞳をキラキラさせている若者(年配の方もいますが)に、夢も希望もない話をしてその光が消えて行くのを見るのは僕としても哀しいことなので、今後は

持ち物件での開業 or 
賃貸ならば自己資金が1000万以上、

その上で稼働50%値段2000円のオペレーションを組める

・・・そうではない方からのご相談は、僕はキッパリとお断りします!! 




2020年の東京オリンピックの開催が決定してから、もうすぐ4年。政府が観光立国を目指すと宣言してから、3年。アンテナの感度が高い人、ビジネスの嗅覚のある人は、それから今日に至るまでに、とっくに動いています。そして今では僕以外にも、「このビジネスは危ない!」と発信している方が、それなりにいます。


なので、今さら宿の経営に興味を持ったという方は、自身のその鈍さ、センスのなさ、現状を気付いていないっぷりを、まずは自覚してくださいです。

3年前にすでに、この業界の未来への警鐘を鳴らす方もいたくらいなので、これは、以前の自分に対しても言えることなのですが(笑)!





2017年7月16日日曜日

エネルギーが枯れる感覚に、すごく共感する!!



いきなりですが前回、exipediaに載せてからの一週間で、新規予約は17件入りましたぜ、と書きました。そして二週目はというと、

expedia       :6件
hostelworld     :5件
ホームページから直接 :7件

の計18件で、変わらず目標の一日平均2件は越えており、好調です。早くも、expediaからの申し込み数がhostelworldを抜いちゃいましたね。やるなぁ、expedia。



しかしながらウチは、今月いっぱいは金・土・日曜日以外は、すごく空いています。新規に入って来る予約のほとんどは、金・土・日曜のものか、8月以降のものでして。なので、週末は稼働率平均が80%を越えるでしょうが、平日が軒並み50%を下回っておりますので、このままだと月の全体平均は60%くらいになりそうです。


expediaに載せたというのに、今月も相変わらずの60%程度かぁ〜。ほんと、マイッちゃう。まぁ、来月は前半にすでにフルの日が多く発生しておりますので、きっと大丈夫だと思います・・・。



ところで先日あった出来事なのですが、僕が朝10時頃に出勤すると、既存のゲストたちはすでに皆、街に出かけており。しかし、知らない外国人の男女がなぜかリビングでくつろいでおりまして。

その日は外国人ゲストのインの予定は無かったので、僕は「えぇ!? 誰ですの!??」だったわけですが、彼らはアポ(予約)無しの飛び込みで、しかも朝9時に来て、中にいたゲストに入口のドアを開けてもらい、リビングルームに突入。そのうち既存ゲスト達がみんな出かけてしまい、僕が来た時には彼らだけがいた、という状況だったわけです(もちろん、あまりよろしくないシチュエーションです)。


僕は、事前連絡無しでの時間外チェックインを基本的には受け付けておりませんが、飛び込みのゲスト自体は歓迎しておりますので、「ま、いっか」と受け入れることにしまして。しかし、話を聞くと「ここに泊まるかは、まだ決めていない」とのこと・・。なんじゃそりゃ! そんな前提で、よくぞ勝手に宿のコーヒーを飲んだりしていたもんだ!!


それから僕は、彼らの求める通りにベッドルームを見せ、システムやサービスについてを説明し、「ウム、ここでいいんやないか〜」という流れで言われたのが「他より高いからディスカウントしてよ」。・・・どうやら彼らは、僕を待っている間にブッキングサイトで他の宿もいろいろ調べたようでして、「例えばA宿は、もっと都心にあるのに1800円だっていうし」とかいう展開になり。


これまで僕は、「長く泊まるから、ちょっと安くならない?」的なリクエストを受けたことは何度かありましたが、「他の宿と比べて高いから安くして」と言われたのは、これが初めてでした(ちなみに彼らは、“1泊”です)。僕はもちろん断りまして、さらにそれらの流れ全体を通して、正直、彼らに対してのウェルカム熱が冷めてしまったため、「じゃあ、その安いところに行きなよ」と返し、実際に彼らはウチに泊まることなく出て行きました。



まぁ、その件は経営的にはダメージは全くないのですが、そんな出来事から僕は刺激され、再び都内の他の宿々の価格設定っぷりを調べてみまして。すると相変わらず、たしかにウチより安い宿が大量にある。前回、このブログで価格調査を報告したのは5月でしたが、それよりも増えているのは間違いない。あまり似たような記事を連発したくないし、面倒だしで、いつものような分析の詳細は今回は書きませんが。


今は、7月。一年の内で特に外国人観光客が多い、繁忙期です。にもかかわらず、このホステル業界の平均価格はさらに安くなっています。2月(ローシーズン)→5月(ハイシーズン)→7月(超ハイシーズン)で、需要は確実に増えているはずなのに、業界全体の設定価格は落ち続けているのです。僕は5月の時点で、“ハイシーズンなのに供給過多の飽和状態”だと報告しましたが、それはますます拍車がかかっているということです。このままだと、需要が下り坂になる8月のお盆から先は、どうなってしまうのでしょうか!? 7月に、価格設定:一泊2400円のウチで「高い」と言われてしまう時代が、こんなにも早く来るとはっ!! これは、けっこうショックです!!!





ちなみに、“ジモコロ”というサイトの、今年の2月の記事に、


というのがあります。僕は、この記事を発見して読んだ際には、ほぼ100%同意の「わかるわかる!」となり、なんだかシビれました。


特に、

「愛=他者に優しく接するエネルギーみたいなもんですね。ゲストハウスの仕事って、愛をみんなに振り分けることでもあると思うんですよ。でも、振り分けられる愛には限りがある」

愛がゼロになると、ホントにしんどい。その状態で人と接しても、絶対にいい感じでは返せないわけで……

の部分。いやぁ、まったくもってその通りです!!



ゲストハウスというのは、飲食店の「美味しさ」や物販店の「品物の質」等とは違い、なんというか「ウェルカム度」といいますか、「あなたがウチに来てくれて私は幸せです」感が特に求められるビジネスだと思うんですよね。顧客との関係性を、時間的な密度で単純比較しても、飲食店ではせいぜい30分〜1時間、飲み屋でも2時間。物販店では長くても20分とかでしょうが、ゲストハウスは平均で3日、なんなら一週間を越えることすらザラにあるわけです。

なので、この仕事は他のサービス業と比べて、スタッフが一人の“人間”として顧客と接する度合いが高いのは間違いないのですが、その面で、確実にエネルギーが必要となります。穏やかでフレンドリー、ルールをちゃんと守りワガママも言わず面倒くさくもなく、さらには日本文化をリスペクト・・・ゲストの全員がそんなだったら、僕のエネルギーは減らずに済みそうですが。残念ながら、そうではないゲストは、少なからず存在します。


そのため、常にエネルギーを使います。ルールを全然守らないゲストがいても、グッと我慢。ワガママな要望だらけなゲストに対しても、それに応える努力を、出来る限りはします。「このゲスト、メンドいなぁ」「そんなことは、自分でやって欲しいなぁ」といった感情は、絶対に顔には出しません。日本とは文化や常識の全く違う国から来たゲストが、自分のそれを完全キープで日本に合わせる気が全くない、というケースも多々ありますが、そんな彼らの非常識行為にも、僕は理解を示します。ルール違反が度を超える者に対して注意をする際も、“怒っている”テイではなく、笑顔で言います(これは僕は苦手ですが)。そうやって、「私はあなたを歓迎していますよ」感を、出来る限り最大限に保ち続けます。


このエネルギーが“愛”と定義されるのかどうかは、よくわかりませんが、とにかく、確実に消耗して行きます。「楽しそうだね〜」と言われることの多いこの仕事ですが、他のいろいろな仕事と、なんら変わりません。「楽しい」と「楽しくない」が、共存しています。

ゲストハウス経営の仕事は、すこぶる楽しいのですが、同時に、メチャクチャ頭に来ることや残念に思うことも、大量に発生します。その極端な両面性と、うまく付き合う必要があります。



それの限界が来たときが、前述のジモコロさんの記事で言うところの「愛がゼロになる」という状態ですね。なので僕も、ときたま長期のお休みをいただき、海外に行ったりひたすらダラダラしたりして、このエネルギーをチャージしております(なんだかカッコいい表現!笑)。基本的には休みの期間中は、“独り”になりたいです。



そして、記事では

「結局、経営がうまくいって、ある程度の経済的な余裕もできてこないと、さっき言ってた『愛』だって、枯渇したままでチャージされない。『愛を与えたい→でも経営が不安定→愛が充電されない→愛が枯渇する→体力&精神的にもきつくなる』という負のスパイラルに陥るわけで」


とも書いています。これもまた、すごくわかります。飲食店で経営がうまくいっていない場合には、シェフのメンタル面のせいで料理の味が落ちる、なんてことはめったにないと思います。しかしゲストハウス業は、スタッフが“人間”として接する度合いが高いので、経済面の余裕のなさ、メンタル面のダメージは、確実に負の影響を与えます。



前述のように最近は、経営難で値下げをしまくって1000円台に設定している宿が都内に大量発生しておりますが、彼らはどうやってこの問題と接しているのでしょうか? 仮に1500円でフルになったとしても、その値段でゲスト全員にエネルギーを降り注ぐことができ、さらにそれが枯れずにいれるのだとしたら、すごいことだと思います。僕にはとてもできないことなので、リスペクトします。お金の問題じゃないですけどね。しかし単純&正直に言って、「割に合わない」です。


なんだか今のこの業界は、経営面に限らず、スタッフのメンタルの面でも疲弊が進んでいると思います。利益薄傾向が止まらないのに、必要になるエネルギーが多過ぎます。バランスが、悪過ぎます。なのでか最近は、業界から去る方がすごく多いです。どんどん、辞めちゃっています。



というわけで今回は、ざっくり言うと「この仕事、ただでさえ精神的にキツいのに、他が値下げをしまくるせいで経営面もだいぶキツくなってるぜ〜」という、二重苦な話だったのでした。


・・・まぁ、僕は僕です。信念を持って、やり続けるしかない。

がんばりまっしょい!!


7月なのに、1000円台だらけ




2017年7月8日土曜日

ブッキングサイトを、増やしました!!



んぁ〜・・・暑いっ! 夏が前のめりすぎてる!! 図書館とかで涼みたいっ!!!



暑くて何もやる気にならないけれど、とりあえずまずは、月初めのいつものやつです!



【YAWP!来泊ゲスト国籍 トップ10(2015年4月〜:計1585)】

 ①アメリカ     268名(+3)

 ②イギリス     187 (+1)
 ③オーストラリア  174 
 ④日本       169 (+2)
 カナダ      140 (+1)
 ⑥ドイツ       85
↑⑦台湾        49 (+3)
↓⑧フランス      47
 ⑨ニュージーランド  40 
 ⑩スウェーデン    35 (+6)



【新規ゲスト数(泊数:日数平均:稼働率(キャパ))月別まとめ】

2015】
4月:22( 81:3.68:22%(12))
5月:28(132:4.71:35%(12)
6月:11( 60:5.45:17%(12)
7月:65(205:3.15:59%(12)
8月:98(312:3.18:93%(12)
9月:79(278:3.52:93%(10)
10月:91(253:2.78:94%(10)
11月:74(227:3.07:84%(10)
12月:84(229:2.73:82%(10)
【2016】
1月:59(198:3.36:73%(10)
2月:55(194:3.53:78%(10)
3月:72(242:3.36:83%(10)
4月:83(275:3.31:85%(12)
5月:100(278:2.78:80%(12)
6月:26( 72:2.77:60%(10)
7月:45(139:3.09:61%(12)
8月:81(247:3.05:66%(12)
9月:64(215:3.36:90%(10)
10月:56(152:2.71:61%(10)
11月:42(112:2.67:45%(10)
12月:68(191:2.81:68%(10)
【2017
1月:50(190:3.80:79%(10)
2月:22( 81:3.68:58%(10)
3月:55(151:2.75:97%(12))
4月:75(238:3.17:79%(12)
5月:61(185:3.03:57%(12)
6月:19(126:6.63:84%(10)

計:1585(5058:3.19:70%※)
※稼働率のみ、直前一年間の平均




オゥ! 滞在日数平均の
6.63は、過去最高値です!! 先月は月の半分も休んだ上に長期泊だらけで、僕的には超・楽チンでハッピー&ラッキーな一ヵ月でした!!しかし前々回のブログで、総泊数は130泊ほどになるだろう、と書きましたが、結果は126泊だったわけで、それには届かず。その投稿から月〆の一週間の間に、新規の予約申し込みは+10泊分くらいありましたが、その一方でノーショウが3件・4人・9泊分 & 直前(前日or当日)キャンセルが2件・3人・8泊分。合わせて−17泊だったわけで、そりゃあ、予想を下回っちゃいますよ(涙)!!


たった一週間の間に、5件もノーショウ&ドタキャンが発生したというのは、YAWPがオープンしてからの二年三ヶ月で、初めての経験かもしれません。しかもその内の3件・4人分は、同じ日の出来事です。この4人、一つのグループではなく、1・1・2人の別々のゲストですよ! それがなんと、一人も来ないとは!!


先月は、上旬にも1件ノーショウ(1名・3泊分)があったので、合計で8人。6月全体のノーショウ(&ドタキャン)率は、8÷27(総予約人数)×100≒30となり。実に30%ものゲストが来なかったわけです。これまた、YAWPの過去、最高率だと思われます。


この多発傾向は、4月・5月・6月と、ここのところずっと続いています。ホント、まいっちゃうなぁ。しかも(ここからはグチ)、そのノーショウの内の1件は、いろいろと要望だらけの外国人ゲストで、事前のメールのやりとりを何度もして、「早朝7時にチェックインしたい」というのも了承し。よって僕は普段より3時間も早く出勤して彼女の到着を待つも、なんと・・・来ないっ! おいおい勘弁してよ、と思い「今どこですか〜?」的なメールをしても、返事は無し。で、そのままずっと音沙汰なしで、今に至ります。・・・なんなのよ、コレ!!?




まぁ、この業界は、他のホステルのスタッフ(友人)からも、「今日はウチは10人インの予定が、9人ノーショウだったわ〜笑」みたいな連絡をもらったりする世界ですからねぇ。率が30%というのは、平均的か、なんなら平均よりも低いといえます。

ノーショウなので、顔を知りもしないゲストです。というかもはや、ゲストですらない。そんな相手にいちいちイラついていてはこの仕事は続けられませんので、僕はポジティブに、気にしないようにしています。こうやってこのブログでネタにして、ストレスをベントして、それでスッキリです!




さてさて、話は変わりまして。何度も宣言していた通り、YAWP! backpackersは7月1日より、hostelworldに続く2つ目のブッキングサイトでの、予約の受付が始まりました。 そのサイトは、expediaです!


ウチの予約受付の土台は、
2015年4月〜6月がホームページのみで、
2015年7月〜2017年6月の二年間が、+hostelworld。
なので、+expediaの2サイト&ホームページ体制も、とりあえずは二年後の2019年6月までを目標とします。逆に言うと、二年後までは増やさないつもりですので、しばらくは営業の電話(メッチャ、かかって来る)はご遠慮くださいです(笑)。


ブッキングサイトが増えたばかりの今は、僕としては二年前にhostelworldに初めて載せた時と同じようなワクワク感がありまして、なんだかフェーズ2に突入した気分です。オープンからhostelworldに載せる前までの三ヵ月は、フェーズ0というか、アイドリング期間のような位置付けです。


ちなみにexpediaでの受付を開始してから昨日までの一週間の、新規予約の申し込み状況はといいますと、

expedia       :6件
hostelworld     :7件
ホームページから直接 :4件

で、計17件です。オゥ!expedia、けっこう入るじゃないか!!


登録ブッキングサイトを増やすにあたり、僕はもちろん、事業者側からの目線での各サイトごとの是非、集客力やサポート体制の質等を業界内の知り合いに聞きまくりでして、それを踏まえた上で今回、expediaを選んでいます。彼らからは概ね、集客力においては「expediaはhostelworldと似たようなもん」と聞いておりまして、実際にその通りの出だしとなりました。僕はいちおう、予約の申し込み受付の目標を“一日2件”としておりますので(1件あたり平均1.5名×3泊、要は2件で+9泊)、一週間で17件もの申し込みがあったというのは、万々歳のスーパーハッピーです。


もちろん、増やしたことによるデメリットはあります。何よりも、予約の管理がすごくややこしくなりました。当然、OB(オーバーブッキング)の危険性も増しており、例えば、とある土曜日の空きベッドが残り1だった場合、ある時、確認すると2サイトどちらもからそこに予約が入っていて、要は“残り1が二つ売れた”状態になっていたりするので、焦ります。まぁ、ウチは常に空きベッドを確保しているシステムなので、そんな状況でも基本的にはOBを発生させずに済みますが。


あとは、これは登録してから気付いたことなのですが、expediaでは、予約の際にゲストから到着時刻を聞かないんですねぇ。ゲストへの質問事項に、おそらく入っていない。これ、けっこう不便です。ゲストが来る時刻を考慮しながら、テキトウなタイミングに掃除等をしている僕からすると、この“ゲストが何時に来るかわからない”環境の発生は、けっこうなマイナスです。hostelworldでは、到着時間の連絡が来ます(ほとんど守られないですが)ので、「今日のゲストは23時着だから、22時頃までは皆と外で飲もうか」的なことが気軽にできたのですが(万が一のため、置き手紙は書きます)。今後は「今日のゲスト、まだ来てないから宿に居続けなきゃなぁ」状態で、ゲストと飲みに行けなくなることが、増えそうです。


他には、expediaでは予約ゲストの性別が分からないのも、すごく不便です。ウチは、女性専用の部屋はありませんが、女性専用のベッドはありますので。ベッドの振り分けのコントロールのために、“今日は女性が何人来る”は、できれば把握しておきたいのですが。

そしてさらには、予約ゲストの国籍が分からないのも、残念です。別に、国籍を知ったところで、何かが変わるわけではないのですが。とにかく、総じてexpediaでは、宿に対しての予約ゲストの情報開示は、ほとんど無いということです。hostelworldでは、到着時刻も性別も国籍も全部伝わって来ますので、例えば「おっ、ウルグアイからのゲストか。珍しい!初めてかも!!」とワクワクしたり、「深夜着の1泊か。では出発も早朝のアッサリ滞在さんだろうな〜」と過去の傾向を元に予測したり、そういったことができます。


要はhostelworldでは、開示されたゲストの情報を元に“どんなゲストなのかを想像して楽しむ”ことが出来るのに対し、expediaでは、“どんな人が来るのかさっぱりわからない”状態になるわけです。う〜ん、これは不便だし、つまらないなぁ。


まぁ、贅沢は言っていられません。数あるブッキングサイト、それぞれに良い点・悪い点があるのは当然です。それに、expediaでは今のところ、予約の多くは日本人の方から(名前から推測)ですので、“さっぱりわからない”だらけというわけでもないです。



とにかく、これから二年間は2サイト&ホームページ体制で、なんとかしぶとく業界の荒波を乗り越えて行きたいと思います!!

 expediaさん、今後ともよろしくお願いいたします!!!