2017年7月30日日曜日

彼らの「いらないものは、いらない」を、理解する。



僕は昨年の8月に、“日本人は、親切ではない!”という記事を書きました。今回は、しばらく間が空きましたが、それの第二弾のような気持ちで書きます。


前回、僕は日本人の親切心の問題点として、アクティブ(能動的)ではなくパッシブ(受動的)なのが良くない!と訴えました。日本人は、困っていたり具合が悪かったりな人に対して、向こうが「助けて!」と訴えれば皆で助けに向かうものの、そうではない人に対して「何かお困りですか?」「大丈夫ですか?」と能動的に声をかける者は皆無だと。特に日本人の“電車での席を譲らないっぷり”は、外国人達はちゃんと観察していて、けっこう失望しているんですよ、と。


なので、アクティブに親切な行動を起こせる人は素晴らしいと僕は思うのですが、そのアクティブな方々にも、伝えておくべきことがあります。



以前、まだ肌寒い時期の夜に、イギリス人カップルのゲストがYAWPに来泊しました。彼らがウチに着き、チェックインの手続きを進めていると、大きな袋を持つ一人の中年女性(地元の方)が、ふらりとウチにやって来まして。話を聞くと、イギリスの彼らが高砂の駅近くで、その中年女性にウチまでの道のりを聞いたのだそうです。

そのカップルの彼氏さんの方はその時、上半身はTシャツ一枚でして。それを見た中年女性が、そんな彼のために、家に帰りジャケット等の洋服類(旦那さんが着なくなった物だそうです)を袋につめてウチまで持って来た、という状況だったのでした。


・・・この中年女性は、間違いなく、とても親切な方です。彼を見て、「きっと寒いだろうから、助けてあげなきゃ」との親切心が働き、能動的な行動に移したわけですからね。なので、以下に書くことは決して彼女への批判ではないのですが。



「寒いだろうと思って」ということで、いきなり大量の洋服を渡されて、そのイギリス人カップル、喜んだと思いますか? 渡された際の彼らのリアクションは、ズバリ、苦笑いです。そして、その中年女性がいなくなった後に、彼が言ったのは「日本人って、優しいね」ではなく、「日本人って、変わってるね」でした。そしてその大量の洋服達は、一度も着られることなく、袋が開かれることすらなく、受付カウンター横にポイッと放置され、その状態にしたまま彼らは数日間の滞在の後に、ウチを出発して行きました。


人から貰った物を、そんなぞんざいな扱いにするなんてヒドぉ〜い!・・と感じた方がいるかもしれませんが、僕は全くそう思いません。彼らは、バックパッカーです。基本的には、旅の荷物はできるだけ少ないのが良し、という価値観の者々です。そしてもちろん、そのイギリスの彼は彼で、ちゃんと上着を持っていました。Tシャツ一枚でも寒くないとか、それが気持ちいいとか、理由は知りませんが、彼の判断であえてその時はその恰好だっただけなのです。


外国人(欧米人)はドライというか、合理的というか、その点では日本人とは大きく違います。以前、僕はゲストのチェックインの際にテキトウに手元にあったチョコレートや飴をあげていたことがあるのですが、まぁ驚くほどにゴミ箱にそのまま捨てられてありました。また、僕はゴミをまとめる際には、分別のために袋をそれなりにガサガサするのですが、中からはゲストが誰かからもらった品や手紙のようなものも、けっこうしょっちゅう発見します。


彼らは、どんなに良質な贈り物でも、誰から貰った物でも、いらなければ、使わないのです。食べないのです。袋を開けすらしないのです。仮に使ったとしても、用が済めば、あっさり捨てるのです。“必要ではないけれど貰いものだから大事にとっておこう”や“今、これを食べたい気分じゃないけれどせっかく貰ったから食べよう”的な、ウェットな感覚の持ち様は、日本人とは雲泥の差です。



さらに話を広げまして。特に食に関しては、日本人に“出された物は全部食べる”傾向が強いのは、残すことが「料理してくれた人に申しわけない」や「農家さんに申しわけない」、さらには根本的な価値観としての「捨てるのはもったいない」という気持ちが、多少なりともあるからだと僕は思います。なので、味が好みでなくても、量が多くても、完食することを是とする。

一方で外国人(欧米人)は、美味しくないと感じれば、その瞬間に食べるのをやめます。ウチのゴミ箱には、食べかけのおにぎりやら饅頭やらが、いつも大量に捨てられてあります。ウチが無料で提供しているパンが、たったひとカジリされただけの状態で捨てられていたりもします。食パンの味なんて、想像通りで波のない、特段に旨いもマズいもないもんだと僕は思いますけどねぇ。

レストランでの【客:「美味しくない! 作り直せ!」】が、当たり前の文化の国だってあります。日本人の僕からすれば、美味しくないのなら次回以降はそこに行かなきゃいいだけじゃんか、と思いますが。その根本には、“捨てる”という行為への意識の違いが、大きくあります。


僕は、日本人でアクティブ・カインドネス(能動的・親切心)をお持ちの希少な方々には、その点を理解していただいた方がいいと思うのです。たいていの外国人(欧米人)は、いらないものはいらない、美味しくなければ食べない、そんな人たちなのだと。なので基本的には、僕らの「これをあげたい!」という目線のみで、物を渡しても、食べ物を出しても、彼らにはほとんど喜ばれません。受け取ったからには使ってくれるだろうとか、箸をつけたからには全部食べてくれるだろうとか、差し出す側のそんな淡い期待には、彼らは応えてくれません。僕はそんな彼らの一面が、善いか悪いかを問うているのではなく、「この文化の違いを理解しましょう、皆さん!」と、訴えたいということです。



なので、日本人のあなたが欧米人の誰かに何かを贈ろう、となった場合には、彼らのその文化「いらないものは、いらない」を理解した上で、「相手が今、何を望んでいるか」の、相当なセンスが問われるわけです。Tシャツ1枚のバックパッカーを見て、「寒そうだから助けたい」となったところまでは、いいと思います(勘違いではあるものの)。しかし、その解決方法に選んだ「洋服をたくさんあげよう」が、大きくセンスに欠けたのです。なので、感謝よりも「なんで?」が勝ってしまった。そしてそのまま関心すら持たれず、ポイ捨てされてしまった。


あの場はせめて、ホッカイロを渡すくらいの程よさであれば、それなりに感謝されたのではないのでしょうか? せっかくのアクティブな親切心が、苦笑いで受け入れられてしまうのは、すごく哀しいことですよ〜。



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・・・と、この文章。ここまでは2ヵ月ほど前に書き上げておりまして、そのまま更新待機状態で、特に理由もなくしばらく寝かせていたのですが。


先日、葛飾区の花火大会がありまして。その前の晩に僕がゲストたちに伝えると、その内5人が興味を示したため、「それじゃあ、皆で一緒に行こうか。場所取りをしておくからさ」「Oh, it's a good idea !」「大会は19時20分からだから、18時半に宿に集合ね」「OK〜」というやりとりがあり。

花火大会当日、僕はレジャーシートを買った後、江戸川河川敷の会場まで行き、場所取りを。皆の喉が渇いてもいいようにと、大ペットボトル×4をシートの重りに。そんな、朝からなかなか忙しい一日でして。


そして、夜。約束の、18時半。

・・・なんと、誰一人として、帰って来ませんでした。やや遅れて19時に帰って来たとか、そういうのすらなく。彼ら5人は、2・2・1人のゲストでしたが、皆、23時以降にバラけて帰って来まして・・・そして帰宿後の彼らからは、花火大会については話題にすら上がらず(よって彼らが、単に忘れていたのか、気が変わったのかは、僕は知りません)。皆、僕とは何度か一緒に飲んだりして打ち解け済みの、いい関係のゲストだったんですけどねぇ。


場所取りとして置いておいたシートや飲み物は当然、そのまま放置するわけにはいきませんので、僕はそれを取りに会場に向かいましたが、その道中の切なさ?虚しさ?ったらなかったですよ・・・。そこで、このストック記事を思い出しまして。「あぁ、俺もゲストたちが実はたいして興味のない物(サービス)を、提供しようとしていたんやなぁ」「いらないサービスやったさかいに、あっさり捨てられてもうたんやなぁ」となり、今回のこの更新に繋がっているわけです。自分で書いていた文章が、自分への教訓になってしまった、ということです!!




しかしまぁ、それにしてもですよ・・・。


たいして興味がないのなら、最初っからそう反応してよ!!

エネルギーが、枯渇するってばよ!!!

もう二度と、「花火大会に皆で行こか」は、プロデュースせぇへんでワイは!!!!

(僕は千葉県出身ですが、心が荒れ気味なので!)




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