2022年2月26日土曜日

ロシア・ウクライナ戦争について、僕が思うこと。

 



今回は、三ヶ月に一度のペースになっている“最近のアレやコレやに対する僕なりの意見〜”を書いていたのですが、話題たちの中に入れていた〈ロシア・ウクライナ戦争について〉が、数行ではとても済まないものだったので、記事の順番を入れ替えて先にそちらのみを語ります。


いきなりですが、まず最初に、“架空”の話をします。かなりデリケートで難しい問題ですが、あくまでも“架空”なので「そんな事態はありえないだろ!」等とは捉えずにで、よろしくお願いします。


〈架空の話〉

日本と中国の関係性を飛躍的に改善させる、素晴らしい出来事が立て続けに起こり、多くの日本人からの対中イメージは凄まじく良好に。その流れで、“親中”を理念の軸にする政党Aが結成され、選挙では日米安保同盟の破棄や在日米軍の完全撤退を公約に掲げ、結果、勝利します。

それが世論なわけですから、政党Aは公約の遂行を試みます。すると、、、怒ったアメリカは、日本への軍事攻撃を決断します。日本対アメリカの、戦争が勃発します。親中路線は日本人が選挙によって自らで進んだ道ですが、シーソーのようにアメリカへの敵対を表明したわけでもなく、攻撃される筋合いはないわけで、多くの日本人はアメリカに対して激怒します。戦力は圧倒的にアメリカが上なので助けを求めましたが、仲良くなったはずの中国はなんと、何もしてくれません・・・

日本にはもちろん、政党Aに投票しなかった者々も多くいます。政党Aが議員数で過半を越えたとしても、それは選挙制度の歪みによるもので、他政党の得票数を合計すると、政党Aを上回っていたかもしれない。そんな、親中路線を歓迎していなかった者々からすれば、アメリカに対する怒りと同時に、政党Aやその支持者に対しての「失政だ!」という憤りもあるはずです。

〈架空の話、了〉



今回のロシア・ウクライナ戦争を、日本(もちろん=ウクライナ)に置き換えて、かなり無理のある架空話を用いましたが、ザックリと簡単に言って「このような状況である」と、僕は捉えているということです。日本もウクライナも、二つの強大国に挟まれ、双方に振り回されまくる立場であるという点で、すごく似ております。ここで僕が最も訴えたいのは、上記の話の最後の段落です。


元々、ソビエト連邦に所属していたウクライナは、連邦が崩壊し独立に至ってからも、政権はずっと親露の傾向でした。しかし2014年に革命が起き、当時のヤヌコビッチ大統領は失脚しロシアに亡命、その後の大統領選挙に勝ったポロシェンコにより、一気に親米(西側)路線へと舵を切ります。それに対してロシアは、報復のような形でクリミアに侵攻し、半島を実効支配します(それを求めたのは、親露派が大多数を占めるクリミアの住民たちですが)。

2014年の革命を、裏で操ったのは誰か、どこの国か、、の話には諸説ありますし、これを語ると陰謀論めいてくるので割愛しますが。とにかく今のウクライナは、元は家族のような関係であったロシアに対して、明確に“お別れ”を告げた状態なわけですが、それが公正な選挙によって国民が選んだ結果だというのは間違いなく、フラれたロシアがブチ切れてミサイルを撃ちまくっていいはずがありません。ウクライナの人々が怒るのは当然です。


しかしながら先日、僕はこのような内容の発信を目にしまして。「ウクライナの友人から届いたメッセージを日本語に訳した」といった入りでしたが・・・その内容はというと

・ウクライナ人で親露の者なんていない。東部にそんな地域があるのは、過去にロシアが強引に入植を進めたからであり、それは侵略の足がかりにするために行ったことだ
・政府による親露派に対する迫害なんて、あるわけがない。それはロシアによるプロパガンダだ
・ロシア側から発せられる情報は嘘ばかり。それらを信じて騙されて、彼らの擁護なんてしないで

といったもので(たしかツイッターでしたが、削除された?のか、見つからず)。僕は直感的に、「これは・・・・危ないわ!」と思いました。「ロシアは嘘ばかり」に対する「気をつけなきゃ!」という意味の、危ない!ではないですよ。この発信そのものに対しての、「こういうのは冷静に、フラット意識を強めに捉えなきゃマズい!」という、危ない!です。

「ウクライナ人で親露の者はいない」・・・の時点でもう、僕は強い違和感を覚えます。8年前の選挙から親米の政党が実権を握っているからといって、ウクライナ人の中にも親露政党を支持した人、今でも支持している人は、それなりの割合で確実にいるはずです。戦争が勃発した今、その方達は、親米に偏りすぎてロシアの怒りを買うに至った現政権に対して、強烈な憤りの最中なはずです。 日本でも、「アメリカと仲良くするべき」という意見の者が多数派な一方で、「中国と仲良くするべき」という意見の者だってたくさんいるでしょう? それは、当たり前のことでしょう? 成熟した民主主義社会では、「人々にはいろいろな意見があって、誰でもそれを表明することができる」はずです。ウクライナは、そうではないのですか?

さらに言うと、プーチンは2000年の大統領就任当時から「ウクライナのNATO加盟だけは絶対に認めない。その際にはあらゆる手段を用いて踏みつぶす」と公に発言しております。ご丁寧にも西側諸国に、“デンジャーライン”と教えてくれていたわけですが、ウクライナ政府はなぜ、その一線を越える決断をしたのでしょうか? このラインを知っていたくせにNATO加盟を裏で後押ししていたのは、どこの国ですか?


こういうことを書くと、「お前はロシアの味方か!?」などと解釈するアホがそれなりに湧き出そうですが。僕はもちろんそんなつもりはなく、あくまでも、フラットな目線で世界を捉えようと、努めているだけです。世界的な重大事象の裏にはいろいろな要素(多くの国の思惑、企て)が複雑に絡み合っており、“ロシアは加害者で悪”、“ウクライナは被害者で正義”などと、単色で塗りつぶしていいものではありません


以前、YAWPに泊まってくれたルーマニア人のゲストは、チャウセスク政権による社会主義の時代について「あの頃の僕らは幸せだったのに・・・」としみじみ、語ってくれました。チャウセスクは、革命によって処刑されたこともあってか、西側諸国(日本を含む)における一般的な報道ではまるで、長年に渡り“恐怖政治”を行った“極悪な独裁者”という評価です。

ヨルダン人の僕の友人は、イラクの元大統領サダム・フセインのことを「彼は、英雄だ」と、キッパリと言い切りました。西側諸国(日本を含む)でのサダムに対する評価も、言わずもがなで皆さんご存知の通りに、“極悪な独裁者”ですね。

僕が中東のシリアを旅した際に、仲良くなった現地の学生たちは、アサド大統領について「彼がベストではないのは、わかっている。しかしこの国を一つにまとめられるのは彼しかおらず、ベターな選択なんだ」と語ってくれました。対する西側諸国(日本を含む)での評価もまた“極悪な独裁者”ですが、アサドはプーチンと親友で“一筋縄では行かない”存在なので、今でも現役です。


上に挙げた三つの例で、僕はもちろん「チャウセスクやサダム、アサドは実は、悪人ではないのだ!」などと言いたいのではありません。一つの国の中でも、いろいろな意見があるのは当然で、人それぞれで支持・不支持が分かれるのも当然で、「あの国の民意はこうだ」などと単色で塗っていいものではない!と言いたいのです。ちなみに上記三人に共通するのは皆、【アメリカ(西側諸国)と敵対していた】ことです。さらに言えば、プーチンはアメリカ前大統領トランプ(共和党)とズブズブでしたが(というか、プーチンにとっては扱いやすい相手で、手のひらで転がすような関係だったのでしょう)、ここ8年間のウクライナ政権はオバマ〜バイデン(民主党)とズブズブで、親米というよりも親・民主党。僕はトランプのことは全く支持しておりませんが、仮に彼が大統領のままであったならば、今回の戦争は勃発していなかったことでしょう。



旧ユーゴスラビアの内戦についてを深く学び、現地をしばらく旅したことがきっかけで、僕には「日本で流布されているメディア情報は、西側寄りに偏ったものばかりだ!」という強烈な目覚めが、すでにあります。世界情勢や戦争・紛争のアレコレについて、専門家の方々には足元にも及びませんが、世間一般よりは知っているはずだという、自負もあります。僕はもちろん「戦争を許せません」。どんな理由、どんな大義名分であれど、「戦争は絶対に許せません」

よって僕は、「ロシアの意図を理解できる」とか言うつもりは、全くないです。ロシアへの擁護や共感などは、全くしていないですし、するつもりもないです。しかし少なくとも僕は、プーチンの思惑や狙いを知りたいですし、彼を支持する方々の意見も聞いてみたいと思います。特に、親露のウクライナ人で、ウクライナ政府に怒っている方々の意見を、ぜひとも聞いてみたい。もちろん、ウクライナ国民の多くがなぜロシアとの別離を望んだのか、危険を顧みずになぜそこまでNATOへの加盟を強く願うのか、、も、より広く深く知りたい。

逆に言えば、「ロシア側から発せられる情報は嘘ばかりだから、耳を塞ぐ」などというスタンスは極めて愚かであると、僕は断言します。平和への第一歩は“相互理解”だという信念が僕にはあり、“Aが正義、Bは悪”、“Aが真実、Bは虚偽”というような短絡的思考、断定バイアスこそが、平和(相互理解)とは真逆に位置するものであると考えるからです。



何よりも、一刻でも早い戦争の終結、平和の実現を、心より祈念いたします。







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