2016年10月21日金曜日

業界がハチャメチャだぁ〜!!




10月! ズバリ、厳しいです!! 何がって、経営状況がです!!


昨年10月は、稼働が94%だったんですけどねぇ。今年は、さすがに50を切ることはなさそうですが、60%とか、その程度になりそうです。なんせ、7日に再開してからの二週間で、フルになった日が二日しかないので・・・。

近頃はウチは、ゲスト数5〜8人くらいの間を彷徨っているのですが、3人しかいなかった日も三日あり。なので、稼働は60%程度になると予想されるわけでして。そんな感じで余裕はないのですが、まぁ、ボーダーラインの50%を下回るほどではなさそうなので、とりあえずはOKですかね。先月は好調でしたし。



ところで先日、秋休みの最中に一度、実家へ帰ったのですが、ヒマだったので母親のipadを借りて、ネットサーフィンをしまして。たまにはhostelworld以外のブッキングサイトを掘り下げてみようかと、久しぶりに業界最大手のbooking.comに潜ってみまして。

すると、あらビックリ。知らない宿がいきなり大量に増えている!! 前回見たのは多分、7月の上旬でしたから、このたった三ヵ月の間に、10軒以上増えている!!(先ほど改めて開いて数えたら、14軒でした)


その多くが、最近の流れとは逆行する、比較的小さめの宿です。昨年末頃から、都内には100床以上の巨大ホステルばかりオープンしていましたので、それ自体はとても嬉しいことです。東京には小さい宿がもっと増えて欲しい、と僕は以前から言い続けております。


しかし、失礼を承知でハッキリ言いますが、それら最近オープンした宿の中には、見るからに残念なところが数軒ありました。残念な宿とは、いたって普通の何の変哲もない一般住居で、部屋にただベッドを並べただけ、という類いの物です。もちろんベッドはパイプベッド。立地もよくない。しかし値段は、3000円とかに設定しちゃっている・・・。


この業界の、どれだけ多くの宿が、開業までにどれだけの資金を投入し、内装や設備等にこだわりぬき、にもかかわらず今どれだけ集客に苦労しているのか、全く研究をされていないのでしょうか? これって例えば、ラーメン激戦区のとある街で、多くの優良店がギリギリの経営状況で、他店との価格競争の結果480円とかで売るようになった頃に、近くにインスタントラーメンを800円で売る店がオープンしたような・・・まさに「なんでやねん!」な状態。正直、突っ込まずにはいられません。


きっとすぐに現実を知るだろうと思われますので、完全に余計なお世話なのですが。それにしても、わかっていない人が多過ぎます! 前回の記事でも似たような事を書きましたが、今は、カッコよくて快適・立地もよく・スタッフの質も高く・文句無しで素晴らしい!・・・でオープンした宿でも、経営が全く成り立っていません。理由は単純です。市場が完全に飽和しているからです。

せめて、そういう残念なところは1000円台に設定するのならば、まだ理解が出来るのですが。それならば、とにかく質は度外視、価格のみで勝負!でわかりやすい。しかし今は、安けりゃ入る、というわけでもないのです。都内のホステル・ゲストハウス業界は今、すさまじい値下げ合戦中です。平均価格が、一年前ならば2800円くらいだったのが、今は2600円ほどに落ちています。


ブッキングサイトhostelworldでは、日付を入れずに“Tokyo”だけで検索すると、登録のある都内の全宿の、最低価格が表示されます。ここに、そのデータをまとめてみます。


hostelworldに登録中の ホステル or ゲストハウス
(ホテル、カプセルホテルは除く)
10月21日現在 最低価格まとめ
(100円未満の端数は四捨五入)

価格(円)  軒数
1600  2
1800  1 
2000  7 
2100  4 
2200  3 
2300  2 
2400  3 
2500  6 (←YAWP!)
2600  4 
2700  2  
2800  3  
2900  2  
3000  7 
3200  2 
3300  3 
3500  1 
3900  1
4000  1
4500  1

価格平均値:2614円
価格中央値:2500円
最頻値:2000円、3000円(7軒)


はい。ご覧のとおりです。平均値は2614円ですが、これは一部の宿が4000円以上のビックリ価格を継続しているせいもあり。中央値にいたっては、すでに2500円です。一年前には、3000円台の宿もかなり多く存在していたのですが、それらのほとんどはこの一年の間に軒並み2000円台に値下げされました。さすがに1000円台に突入した宿はまださほど多くありませんが、ギリギリの2000円で踏ん張っている宿がたくさんあります。

特に、大きな会社がバックについている巨大ホステルは、たいていは3200〜4800円でオープン。それがたった一年ほどの間に、2000〜3000円にまで値を落としている。何度も目にした、どこもかしこも「またそれかよぉ〜」のパターンです。


みなさんそれぞれで、素晴らしい宿を経営している上での、この価格設定状況です。1000円台の宿々には、さすがに値段勝負な一面も見受けられますが、2000円台の宿には、驚くほどのクオリティの宿がたくさんあります。2000円を出せば、けっこうな良宿の選択肢がたくさんあります。



これを読むと、僕が最近オープンした残念な宿々にケンカを売っていると思われるかもしれませんが、そういうつもりはありません。

僕はあくまで、今後のゲストハウスの起業を夢見ている方々に向けて、書いています。

ウチには、そういう方が今だに月に2〜3人はいらっしゃいますが、この業界の現状を、彼らにはもっともっと知って欲しいと思います。あなたのそのお金を、大切にしてください。この業界に参入するのであれば、業界の現状をとことんまでに研究し、綿密な事業計画と成功戦略を練り、完璧なオペレーションを組み、その上で挑んでください。何も調べず考えず、何も努力せずに、「ブームだから」「外国人が増えてるから」「楽しそうだから」といった安易な理由で参入するのは、もはや資金をドブに捨てるのと等しい、愚かな行為です。

ゲストハウス開業セミナー、ゲストハウス起業コンサルタント、といったものとも、距離を置いてください。それは巷に溢れる、“ひっかかっちゃう人”向けの商売の一種です。彼らは開業に至るまでがビジネスなわけですから、基本的にはポジティブなことしか言いません。キラキラした理想、机上の空論ばかりで、具体的な市場分析、経営における厳しい数字等は出してきません。そんなものには、騙されないでください。そんな無責任で胡散臭い連中に、あなたの大事なお金を落とさないでください。



僕は7月上旬に、都内のホステル&ゲストハウス数は、今年いっぱいで85軒ほどになる、と予想しました。それは、悪い意味でハズレました。開業のピークは、去年ではありませんでした。開業予定の宿で、僕の知らないところがこんなにあったとは。完全に調査不足でした。


都内ゲストハウス数(おおよそ)

〜2013年末まで   35軒
 2014年     +15軒
 2015年     +20軒
 2016年     +25軒
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 2016年末予想  計95軒


稼働率平均も、来年は60%ほどになると僕は予想しておりましたが、このすさまじい増えっぷりに合わせて、50%に下方修正します。

稼働率は、スタッフの努力次第でどうにかなる、とお考えの方もいるかもしれませんが、それは確実に間違いです。東京都内の宿々のレベルの高さは、世界でも有数です。レビュー評価は、90%を越えるのが当たり前になってきています。どこの宿も、スタッフは最大限の努力をしています。ウチは、努力をしているかは何とも言えませんが、レビュー評価は90〜92%の間にずっと居続けています。よってこの稼働率の低下は確実に、供給があまりに増え過ぎたから、なのです。もはや、努力でどうにかなるレベルではないのです。


よって、価格は2500円、稼働率は50%。都内でゲストウス起業を目指す方は、まずはこれをベースに事業計画の利回りオペレーションを組んでください。都内には今や、20〜30%しか埋まらない宿がザラにあり、70%で回せれば大成功です。宿のオーナーさんたちは、みんな、苦しんでいます。その中には、現状を素直に伝えるこのブログを、応援してくれている方もいます。それが、正真正銘の、業界に浸かっている人間(僕)が訴える、紛れもない現実です。


さらにブッチャケると、ここに気軽に書けないほどの、極めて景気の悪い話&噂が最近、多発しています。それも僕が「もうヤバいぜ、この業界」と捉える、一因です。タイトルの“業界がハチャメチャ”を見て、この業界の現状に詳しい方は「えっ、あの話を書いちゃうの?」と思ったかもしれませんね(笑)。そういう意味では、この記事は期待ハズレ?だったかもしれません。



ウチはオープン以来、ハイもローも平日も週末も一律で、値段を2400円(hostelworldでは2500円)に固定し続けて来ましたが、都内の平均価格が落ち続けているわけですし、そろそろ値下げを検討しなければいけないのかもしれません。いろいろ面倒なので、たぶん結局、しないと思いますが(笑)。


前回のカラオケは、みんな歌ウマだった



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